東電は無制限賠償責任を負うことが法律で定められている! 国家・国民を食い物にする経団連の主張に騙されるな!

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もう何度もこの御仁とその団体の話を書きたくもないのだが、経団連の米倉弘昌会長は今回の福島原発事故被害への損害賠償に関して、政府が補償を負うべきだとの考えを改めて表明した。以下、電気業界紙『電気新聞』4月27日付記事より。

<引用開始>————————-
福島賠償問題で経団連会長「原賠法適用を」
日本経団連の米倉弘昌会長(住友化学会長)は26日の定例会見で、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けた被害者への賠償問題について「原子力損害賠償法という法律にのっとって行うべき。国民感情に配慮し法律適用しないと行政が判断することが間違い」と発言し、政府が補償を担うべきとの考えをあらためて示した。
賠償機構の設置など検討が進められている補償スキームについても「スキームの議論よりまず政府が責任表明するべき」と強調。「日本のエネルギー政策や将来像について政府が考え発言した上で、そこから被害者補償の金額や支払い形態について考えていくべき」との考えを示した。
<引用終わり>————————

米倉氏の話では、あたかも政府は「国民感情に配慮」しているために原子力損害賠償法を適用せず、そのために政府は補償をしないかのような主張であるが、これは明らかに間違いである。政府は原子力損害賠償法を適用するからこそ、東京電力が無限賠償責任を負うということが明確になるのである。ここには「国民感情」なるものの介在する余地はない。米倉氏の主張していることはあべこべである。

[事故を起こした原子力事業者は過失の有無に拘らず無制限賠償責任を負う *1200億円ではなく無制限!]
原子力損害賠償法の内容について検証してみたい。ウィキペディアに解説が出ている。そこから部分的に引用する。(法律全文はこちら→原子力損害の賠償に関する法律)

<引用開始>————————-
「原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない」(3条1項)
・事故を起こした原子力事業者に対しては、事故の過失・無過失にかかわらず、無制限の賠償責任がある(無限責任主義)。
・賠償措置額は原子炉の運転等の種類により異なり、通常の商業規模の原子炉の場合は1200億円と定められる(第7条)。
「異常に巨大な天変地異又は社会的動乱」について、地震であれば関東大震災の3倍以上の加速度をもつものをいうと解されているが、政府は隕石の落下や戦争などを想定したもの(文部科学省幹部より)として福島第一原子力発電所事故には適用されないとの方針を示している。
責任集中の原則
・賠償責任を負う原子力事業者以外の者は、一切の責任を負わない。被害者が容易に賠償責任の相手方を知り得、賠償を確保することができるようにするためのものである。
・責任者たる原子力事業者に機器等を提供している関連事業者を、被害者の賠償請求との関係において免責する。関連事業者が安定的に資材を供給し、原子力事業の健全な発達に資するためのものである。
<引用終わり>————————

すなわち原子力関連産業の中で原子力事業者のみが過失の有無にかかわらず、無限賠償責任を負うと明記されているのである。その中で「賠償措置額は1200億円」という表現があり、「無限賠償責任」と矛盾するように見えるが、文部科学省のページにその疑問に対する答えが書かれていたのでご紹介する。

<引用開始>————————-
原賠法では、万一原子力損害が発生した場合、原子力事業者は生じた原子力損害の全額を賠償する義務を負っています(無限責任主義)。
従って、1200億円を支払えばそれ以上は賠償請求に応じなくてもよいのではなくて、この1200億円は、万一原子力損害が発生した場合、被害者に対して迅速かつ確実に賠償の支払いを行うための保険に過ぎません。1200億円を超える損害額については、自らの財力をもって支払う義務が残ります。
なお、事業者の財力等から見て必要があれば、国が必要な援助を行うことが可能となっており、被害者の保護に遺漏がないよう措置されています。
<引用終わり>————————-

すなわち、事故を起こした原子力事業者が迅速に支払うために政府が手助けするというだけのことであり、賠償責任は原子力事業者が無制限に負うのである。

上記の通り、「異常に巨大な天変地異又は社会的動乱」について、政府は隕石の落下や戦争などを想定したもの(文部科学省幹部より)として福島第一原子力発電所事故には適用されないとの方針を政府が示している。

地震に関しては「関東大震災の3倍の加速度をもつもの」とは認めがたく、また津波に関しても、もっぱら「千年に一度」などと言われるが、これも誤りであってこのような誤解を招く表現は用いるべきではない。三陸地方は過去に何度も大津波に襲われており、近年では1896年(明治29年)の大津波は海抜38.2mを記録し、その後1933年(昭和8年)にも大津波に襲われている。また今回の福島原発事故では、津波が襲う前に地震のみによって既に原子炉の冷却機能が失われていたことが判明している(参照記事)。

さらに付け加えれば、自然災害による原発の電源喪失と炉心溶融の危険性については国会でも過去に既に取り上げられていたのであり(下の動画及び記事参照)、「想定外」などという子どもじみた言い訳は通用しない。「予想されていたにも拘らず、対策を怠ってきた」というのが的確な表現である。対策を怠ってきたという点に関してはもちろん政府、原子力安全委員会、原子力安全保安院などの政府機関、御用学者たちにも責任があるだろうが、賠償責任に関しては原子力事業者のみが無制限に負うものと法律で明確に定められている以上、争う余地はないのである。マスコミは米倉氏の談話を報じるのみであるが、無制限の賠償責任が東京電力にあるということをはっきりと報道すべきである(経済界の飼い犬であるマスコミに期待しても無駄であろうが)。

米倉・経団連会長は法律の内容を知らずに述べているのか、知った上で半ば居直って述べているのか不明であるが、米倉氏の主張通り原子力損害賠償法を適用すれば、米倉氏の意図とは逆に、今回の福島原発事故に関して東京電力のみが無限賠償責任を負うということがむしろ明確になるだけという誠に滑稽な結果となるのである。政府が補償しろなどという米倉氏の主張自体が、法律そのものを捻じ曲げたとんでもない無理筋のものであり、論外であるということを明確にしておきたい。米倉氏は「国民感情」云々と述べているが、経団連仲間である東京電力を守ろうと感情論を持ち込んで法を曲げようと画策しているのは米倉氏本人ではないのか。

上記引用の通り、「賠償責任を負う原子力事業者以外の者は、一切の責任を負わない。被害者が容易に賠償責任の相手方を知り得、賠償を確保することができるようにするためのものである」というのがそもそものこの法律の主旨であるのだから、政府は原子力損害賠償法を適用し、賠償責任は東京電力のみが無制限に負うものであることをまず表明すべきである。経団連の感情論に屈服して、法を捻じ曲げてはならない。
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国政の場で指摘されていた 福島第一原発への「不安」(東洋経済、3月28日)
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福島第1原発事故は二重の人災だった 日本共産党・吉井英勝衆院議員に聞く(上)(J-CASTニュース、4月23日)

[経団連にはこのような過去も]
キヤノン偽装請負 告発されて 御手洗経団連会長“法律が悪い” 「制度見直せ」と居直り(しんぶん赤旗、2006年10月20日)

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