【続報・参院選】自民党全候補者78名中TPP反対はたったの7名であることが判明 /それでもまだ安倍自民を支持しますか?

<当ブログ重要記事>
安倍政権は紛れもない新自由主義政権である。茶番と嘘の上塗りとナイーブな傷の舐め合いをやめ、現実を直視せよ!
TPP反対運動が失敗に終わる理由。本当にこのまま国を売られてよいのか。
奢り高ぶる安倍自民・壊滅に向かう健全野党と危機に陥る民主主義/私の山本太郎擁護論
【参院選】「地方の反乱」こそが日本を守る。ふざけきった安倍・新自由主義政権を信任してはならない!<比例代表・全選挙区推奨候補リスト付>

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前回の記事では安倍政権の新自由主義的性格について述べ、この政権の下ではTPP撤退はあり得ないということを述べた。それに加え、TPP反対という観点から、当ブログによる全選挙区・比例区での推奨候補リストも前回記事の下に付したので、投票の際のご参考にしていただければ幸いである。

比例区の社民党に関して私は特定の候補を推奨しなかったが、記事をお読みになられた方から、鴨桃代氏を推す声が寄せられたので、この場を借りてご紹介しておきたい。

また大阪選挙区の方から、地元の共産党候補に投票するのは嫌だという声が寄せられた。大阪選挙区では、新党大地から吉羽美華という候補が出馬しているので、共産党候補に入れるのが嫌な方はそちらに投票されればよいかと思う。
私自身は吉羽候補がどのような候補でどういう経緯で新党大地から出馬することになったのか知らず、また吉羽氏のブログを以前に見たことがあるが、感心するような内容ではなかったので、推奨しなかった。

私は共産党について支持しているのではなく、むしろ実際にはこの党は時に不可解な動きをすることもあり、首をかしげることも多いというのが正直なところだ。だが現在のような状況では、売国TPPを推進するようなふざけた政党の候補に投票するよりははるかにマシな選択であると思う。各選挙区においてよりよい現実的な選択肢を合理的に選んでいって、共産党候補を推さざるを得ない選挙区についてやむなくそうしているだけなのであるが、その結果大量の共産党候補を推奨する羽目になった。勿論やりたくてそうしているのではないということは当ブログの読者の皆様にはご理解いただけるものと信じている。

自分の選挙区で選択肢に困るという声もよく聞くのであるが、そもそもこのような状況をもたらした元凶は、昨年末の衆院選で国民が自民を圧勝させ、一方中道政党を壊滅状態に追いやったことにあることは言うまでもない。中道政党は息も絶え絶えの状態となり、満足に候補を立てることすらできない状況に追い込まれたわけである。昨年末の衆院選は致命的であったと言える。安倍政権が暴走するのを止める手だてが非常に限定的になり、案の定、安倍政権は好き勝手に新自由主義グローバリズム路線の暴走を始めた。平時の思考をしていては庶民は殺られることは間違いない。

[自民党全候補者78名中TPP反対は僅か7名であることが判明 /それでもまだ安倍自民を支持しますか?]

前回のブログ記事を書いたあと、念のために参考にした朝日新聞ANNによるアンケート調査の自民党候補者のTPPに対する賛否を調べていて、愕然とした。なんとTPPに「反対」と回答した候補者は全78名中僅か7名しかいないことが判明したのである。下の表にまとめた。(* 取り急ぎまとめたものであるので、間違いがあるかも知れない。詳細はソースをあたっていただければ幸いである。)

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選挙区の自民党候補全49名中、「反対」は僅か6名、「どちらかと言えば反対」の8名とあわせて14名に過ぎない。
更にひどいのが比例区の候補者の方で、全29名中「反対」と答えたのはJA出身で現職の山田俊男候補1名だけで、「どちらかと言えば反対」も2名しかいない。あわせてもたったの3名だ。

選挙区と比例区をあわせると、全78名中「反対」はたったの7名、「どちらかと言えば反対」は10名だけという寒々とした結果になる。
これに対し、「賛成」は9名、「どちらかと言えば賛成」は13名で、「反対」「どちらかと言えば反対」をそれぞれ上回っている。

そして嘆かわしいのが、未だに「どちらとも言えない」などと回答する候補者の多いことである。菅直人がTPPを持ち出して2年にもなるのであるが、TPPという国の在り方を大きく左右する事案に対して、いやしくも国会議員になろうと名乗りをあげる者が自らの態度を表明できぬというのである。
あるいは既に結論は決まっているが、TPP反対の有権者の手前、選挙戦の間は態度を曖昧にしてごまかしているのである。その点で「どちらかと言えば賛成/反対」という回答も非常にまどろっこしく、誠意を欠いたものである。

そもそも自民党候補者はTPPを推進している政権与党から公認を得て出馬をしているわけで、いざTPP交渉が妥結し批准に持ち込まれれば、「どちらかと言えば反対」と言っている候補も含め、圧倒的多数の議員は執行部に逆らわず、批准に賛成するであろうと思う。いま「反対」と言っている候補者も怪しいものだと私は思う。恐らく批准で実際に造反するのは西田昌司氏と山田俊男氏だけではないだろうか。

TPP反対の有権者が自民党に投票するのは自殺行為に等しいものであり、決してすべきでない選択であるということが、候補者へのアンケートのデータからも裏付けられた格好だと言える。
また自民党に投票することでワタミを当選させてしまうという点でも、私は今回全く自民を推さないということを再度述べておく。

(* 京都選挙区の西田昌司候補に関しては推奨候補リストに加えるかどうか迷ったのだが、氏はTPPやJAL問題などで国会で鋭い追及をこれまでしてきており、また西田昌司氏には新自由主義者・安倍晋三を担いだ重大な責任があり、落とし前をつけさせるためにも再度国会に送り込んで、責任を取らさせないといけないと考え、推奨リストに加えた。)

こちらの続編記事もあわせてどうぞ。
【参院選】比例区・一人のTPP反対派を当選させるために複数の推進派を当選させてしまう戦術をJAは見直すべきである」(7月14日)

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【参院選】「地方の反乱」こそが日本を守る。ふざけきった安倍・新自由主義政権を信任してはならない!<比例代表・全選挙区推奨候補リスト付>

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奢り高ぶる安倍自民・壊滅に向かう健全野党と危機に陥る民主主義/私の山本太郎擁護論

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安倍政権を信任するか否かのかかった参院選が公示された。投票日は7月21日(日)である。マスコミの報道では自民圧勝の情勢が伝えられているが、それは高い投票率を想定していないものであり、投票率が上がれば情勢は変わる。決して諦めてはならない。ぜひ皆様には棄権することなく、ご近所ご友人をお誘いの上、投票に行っていただきたいと願う。

今回の選挙からネット選挙が解禁となったので、拙ブログでも記事下に推奨投票先を付すことにした。ご参照いただければ幸いである。私はTPPに反対するという観点で、今回の参院選において、みんな・維新・公明は全候補を非推奨、自民は2名を除く全候補を非推奨、民主もほぼ全候補を非推奨とする。TPP反対の読者の皆様におかれては、これらの党以外の党及びその候補者に票を投じていただければ幸いである。なおここに付す表はあくまでも私個人が仮にそこの選挙区の有権者であったらこの候補に入れるという私的見解であり、投票は各自の判断で行っていただきたい。

<安倍自民を信任することはTPPを信任することに等しい>

[壊国兵器・アベノドリルの前に立たされている「抵抗勢力」とは99%の国民である]

安倍晋三については拙ブログでは昨年末の衆院選の前からその危険性を指摘してきたのであるが、政権発足直後から私が従来から危惧していた通り、安倍政権は極端な新自由主義グローバリズム・構造改革路線に邁進している。日本を極端な格差社会に突き落とした張本人で、橋下維新のブレーンであり、かつ米韓FTAを強行批准採決した韓国の李明博・新自由主義政権の大統領顧問を務めた竹中平蔵を安倍はブレーンとして政権に加え、また伊藤元重・楽天の三木谷浩史といった人物を起用するという新自由主義グローバリズム丸出しの非常にふざけた布陣を敷いた。

安倍は早々と国民を裏切ってTPP交渉加盟を宣言し、さらに自らを構造改革をやり抜く「ドリルの刃」に例え、固い岩盤を突き破ると宣言した(ポン吉のブログ「安倍晋三VS安倍信者」より)。安倍政権がTPP交渉から離脱などしないというのはこうしたことからもはや明白である。

「アベノドリル」の仕組みを見ていこう。ドリルの刃は安倍であり、その刃を回転させているドリルの本体は竹中平蔵・伊藤元重などの新自由主義者たちと売国官僚そしてグローバル企業の代表者たちである。そのドリルに電気を供給しているのが日米多国籍資本である。それを素晴らしいドリルであるかのように報じるのが大手マスコミだ。そのマスコミに電気を供給しているのもやはり日米多国籍資本である。それを見て喝采しているのが安倍支持者やマスコミを鵜呑みにする一般国民という構図になる。

そして安倍がそのドリルで打ち砕く「岩盤」とは一体何であろうか。それは「抵抗勢力」「既得権益者」である。
新自由主義者たちから「抵抗勢力」「既得権益者」と呼ばれるこれらの人たちは、不思議なことに、高級官僚や法人税も収めぬグローバル化した大企業やそれらの大株主といった、日常生活で決してお目にかかることのない上位1%側のことでは決してない。

新自由主義者たちの言う「抵抗勢力」「既得権益者」とは、具体的にはサラリーマンであり、農家の人々であり、役場の下っ端職員であり、学校の教員であり、中小企業であり、低賃金労働者であり、社会的弱者といった人々である。つまり私やあなたのことであり、私たちの身の回りにいる日常生活で出会う人たちのことなのだ。つまるところ「抵抗勢力」「既得権益者」とは、99%の国民なのであり、国民生活を野蛮で無慈悲な弱肉強食の競争から守る国民国家そのものなのである。つまりアベノドリルとは99%の国民生活を打ち砕くためのドリルであり、国民国家を破壊するためのドリルであり、究極の売国・壊国兵器なのである。

[自民が撤回したのはワタミ公認ではなく、ブラック企業対策の方だった]

前回の記事では自民党がブラック企業対策を参院選の公約に盛り込むことを検討している一方、安倍晋三が直々に世間ではブラック企業と言われているワタミの渡邉美樹に党の看板である比例候補として出馬を要請したという滑稽で皮肉極まりないニュースをお伝えした。

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自民党のワタミ擁立は大きな批判を浴び、ワタミで過労の末に自殺した社員の遺族が自民党にワタミ公認を撤回するよう求め抗議をする事態になった(田中龍作ジャーナル記事リンク)。

ところが自民党が撤回したのは、ワタミ公認ではなく、ブラック企業対策の方だったというから、開いた口が塞がらない。安倍自民がどちらの方向を向いているのか、このことから推して知るべきである。安倍政権の行く末、日本の行く末は決してバラ色ではなく、「ブラック」に相違ない。決して日本は「瑞穂の国」ではなく、終わってみれば「黄泉の国」となっていることだろう。

私自身はこれまで無闇な反自民を主張してきたつもりはないが、安倍のおふざけは度を過ぎており、今回だけは許し難いものがある。

[ネオ植民地から脱しスノーデン亡命受け入れを表明した南米諸国 / 盗聴するような国と貿易交渉をしネオ植民地化される日本]

この後来るメニューは、日米二国間協議及びTPP推進、それに並行して規制緩和・構造改革・更なる民営化といった新自由主義路線が進められ、そこに原発再稼働・消費税増税・サラリーマン使い捨て・弱者切り捨てが断行され、憲法改正や児童ポルノ法という「児童を守るため」などという美名に名を借りた言論弾圧法案や刑務所の民営化に見られるように、新自由主義型警察国家化が一気に進められることになるだろう。そして日本は「新自由主義・コーポレート・ファシズム」と呼ぶべき政体の国になるだろう。それはかつての中南米であり、現在の米国であり、「多国籍資本のネオ植民地化」が完成した韓国と同じである。

南米諸国はかつて「米国の裏庭」と呼ばれていたが、近年ベネズエラを筆頭に相次いで社会主義政権が誕生し、米国を事実上駆逐した。米国はかつてキューバに仕掛けたのと同様に、2002年4月ベネズエラに対してもベネズエラ1%富裕層と結託してクーデターを側面支援して政権転覆を仕掛けたが、チャベスは大統領辞任を拒否して、身柄を拘束監禁された。民衆が結束してチャベスを支持し、軍もチャベス側に寝返ることでクーデターは3日で失敗に終わった。この顛末はアイルランドのドキュメンタリー映画『The Revolution Will Not Be Televised – Chavez: Inside the Coup』(「マスコミが決して報じない革命」と意訳すればよいか)に詳しい。

こうした結果米国は南米から締め出され、北米のNAFTAに閉じ込められる結果となった。米国及び多国籍資本がアジア太平洋地域に覇権を求めだしたのは、南米から排除されたことも重要な背景としてあるだろう。

米国政府機関・国家安全保障局(NSA)が「テロ対策」という口実の下に秘密裏にインターネットの個人情報を収集し、事実上国民を監視してきたことが元CIA職員のエドワード・スノーデン氏によって暴露された。その後暴露された情報によれば、同盟国の大使館も諜報の対象にされており、日本大使館も含まれていたという。
その後スノーデン氏はロシアに逃れ、そこから欧州諸国・中南米諸国に向けて亡命申請をした。

ところが普段は自由やら人権やらを声高に叫ぶ欧州諸国は、米国という国家による犯罪を暴露したスノーデン氏の亡命を拒否。スノーデン氏の亡命受け入れを表明したのは、ベネズエラ・ニカラグア・ボリビアという米国からの「独立」を果たした南米諸国であった。欧州の掲げる人権とは一体何なのか。「ジャイアンがいない間だけの人権」なのであろうか。いま世界で起きているのは価値の逆転現象である。米国の振りかざす「正義」のメッキがブッシュの時から一気に剥げ落ちてきている。

さて話がそれたが、日本は自国の大使館が米国の諜報のターゲットにされてきた疑惑が暴露されたというのに、安倍政権の対応は「外交ルートを通じて問い合わせる」というのみの非常に弱腰の情けないもので、かつその米国と二国間協議を続け、TPP交渉にも加盟するのだという。通常の神経とは思われない。対米従属に慣らされ続けた国の成れの果ての姿である。この一事のみをとっても、十分なTPP撤退の理由となりうるものである。安倍政権ではTPP交渉撤退はありえないことだというのがこの異常なまでの対米従属姿勢からも明らかである。

[岐路に立たされた日本 / 自ら首を絞めた韓国国民の失敗から学ぶべし]

97年から98年にかけてのアジア通貨危機は多国籍資本がIMFと米国のバックアップでアジア各国に仕掛けた乗っ取り戦争の様相を呈したものであったことは当ブログでお伝えしてきた。マレーシアはマハティールがIMFの罠を看破し、IMF策を拒否して自力で短期に国内経済を立て直すことに成功したのに対し、インドネシア・タイ・韓国はIMFの勧告を受け入れたがために、国民は大きな被害を蒙ることとなった。中でも韓国はIMF支配を通じて、極端な民営化と構造改革を無理強いされ、国内経済を事実上外資に乗っ取られ、更に米韓FTAでネオ植民地化が完成し、トドメを刺されたといって等しい状況である。以下の過去記事をご参照いただければ幸いである。

IMFと戦い国民・国家を守ったマハティールに学ぶべし!②IMF「救済策」が明暗を分けた
IMFと戦い国民・国家を守ったマハティールに学ぶべし!③:野党指導者アンワルとその「グローバル」人脈
日本の「韓国化」を阻止せよ!:TPPによって日本の「韓国化」「ネオ植民地化」完成を目論むBKDを討て!

李明博・新自由主義政権は米韓FTAの批准を強行採決した(竹中平蔵はこの李政権の大統領顧問であった)。その後行われた韓国大統領選挙では、韓国国民はなぜか米韓FTA破棄を主張する野党側の候補ではなく、李明博の後継で米韓FTA是認の朴槿恵を勝たせるという致命的な選択をし、自らの首を絞めた。我々は韓国国民と同じような取り返しのつかぬ選択を決してしてはならない。ここで安倍自民を勝たせることは、韓国と同じ失敗を意味する。

TPP反対でありながら前回の衆院選で自民に投票した人々は、自民の二枚舌に騙され裏切られたのであるから、今回はきちんと怒り灸をすえるべきである。

新自由主義者たちのふざけた詭弁・議論の挿げ替えといったものに対しては毅然と対処し、これ以上甘やかしてはならない。彼らの詭弁・議論の挿げ替えの典型が「農業所得倍増」「攻めの農業」といったキャッチ・フレーズである。これはTPP加盟と農業の企業参入を前提としたものであることは言うまでもない。このような政策を掲げる政党に農家が投票するのは、自らの首を絞めるのに等しい。屠殺業者に自らの屠殺を託して投票するようなものである。

[TPP下での国土強靭化によって潰される地方の建設業 / 自民に献金している場合ではない]

国土強靭化を起草した藤井聡・京都大学教授(安倍内閣参与)は土木の専門家で、強硬なTPP反対派としてもも知られ、TPPに加盟すれば地方の建設業が潰れると予てから警告を発してきた(資料リンク)。藤井教授が策定した国土強靭化は、公共事業として老朽化したインフラの整備をし、国内経済・地方経済を刺激し、それによってデフレ脱却を目指すという素晴らしいものとなるはずであった。

ところがTPPに加盟することで、公共事業の入札に外資が参入することとなり、地方の建設業者は淘汰され、かつ仕事まで外国から連れてこられた労働者によって奪われるといった事態になりかねない情勢となった。200兆円もの血税が国内経済を循環せず、海外にダダ漏れになり、地方の土建屋が淘汰されてバタバタ潰れていくという、当初の強靭化とは全く逆の「インフラだけ強靭化して、国民は益々弱体化する」という悪夢のようなシナリオになる可能性が高い。恐らく政権中枢の新自由主義グローバリストたちは、そうしたことも計算に入れて、TPPによる「開国」を推し進めている可能性が高い。

恐らくTPP反対派である藤井教授は国土強靭化を策定した時点で、まさか国土強靭化を推進する政権が同時にTPP推進をするとは想定していなかったのだろうと思うが、藤井教授の意図とは正反対の結果を招く恐れが十分に出てきた。この点に関して、未だに安倍政権の内閣参与であり続けている藤井教授の意見を伺いたいところである。

自民党がゼネコンに対して4.7億円もの献金を要求していることが赤旗(7月4日付)によってスクープされたが、建設業界はTPPを推し進める政権与党に対して献金などしている場合であろうか。ゼネコンのレベルであればまだ多少のおこぼれにあずかれる可能性もあるのだろうが、地方の零細業者にとっては死活問題である。自民党に献金などしている場合ではない。これも屠殺業者に自らの屠殺を託して献金しているようなものに見える。

野党が問題なのは、未だに強靭化に対して、「バラマキだ。無駄だ」という緊縮路線の観点からの批判しかしないという点である。この点で緊縮脳から脱却できない民主党にはもはやつける薬がない状態だ。そうではなく、TPPに加盟することで強靭化の本来の趣旨である内需刺激とデフレ脱却が覆され、下手をすると却って逆効果になりかねないという観点から批判をすべきなのである。批判の対象は強靭化ではなくTPPに向けなければならない。TPP加盟・外資参入のない国土強靭化であれば、ぜひともやるべきものである。

[「地方の反乱」が日本を守る / 安倍支持論者のプロパガンダ言説に惑わされてはならない]

維新政権を戴く大阪や先の都議会選挙で自公を圧勝させた東京を見てもわかるように、実はアベノドリルとTPPで最も先に殺られる都市部の多数の人々が未だにその危険性に気づいていない状態である。このような状況では日本を守ることができるのは「地方の反乱」のみであると考える。

選挙区が一人区で自民と共産しか候補がいないがどうしようという意見もあるだろう。自民の候補者が本物のTPP反対派ではなく「農業所得倍増」「攻めの農業」などと新自由主義者の口上をそのまま言っている隠れ推進派の候補であるなら、私は共産党支持者ではないが、今回は迷いなく共産党候補に票を入れる。その方が推進派を当選させるよりはるかにマシであり、合理的な選択であるからである。TPP推進では選挙に勝てないということを自民党に思い知らせるべきである。さもなければ自民党TPP対策委員長の西川公也衆院議員が農家を恫喝した一件に見られるように、つけあがるだけなのだ。ここで委縮してはならない。

安倍支持論者やチャンネル桜から発せられる矛盾を多分に孕んだ、わけのわからないメッセージに惑わされず、事実を合理的に思考し判断することが肝要である。「安倍さんは愛国者である」「安倍さんを信じよう」「安倍さん以外に誰もいない」「安倍さんを支持しないのは保守分断である」といった言葉が盛んに繰り返し連呼されるのであるが、ここにある「愛国者の安倍さん」とは偶像化された想像上のものでしかない。先に述べた通り、新自由主義者たちを重用し、TPPで国を売り、構造改革路線に邁進し、道州制で国家を解体し、弱者を切り捨て、日本に小泉・竹中以上の悲劇をもたらそうとしているのが実物の「安倍さん」である。

「安倍さんの他に誰がいる」という意見も自民支持者からよく聞く。この「安倍さんの他に誰がいる」という問いは、「否、誰もいない」という答えを最初から半ば強要したものであることに注意を払うべきである。石破や小泉Jrに比べたら安倍はマシという論理だ。多くの人はそこで思考停止に陥り、「安倍さんしかいない」と思い込むのかも知れない。

しかし思考を停止せずに考えを巡らせれば、答えはそれだけではないのは明白だ。単に自民党内で過半数を占めると言われるTPP反対派の中から筋金入りの反対派を選べばよいだけの非常に簡単な話である。自民党内に人材がいないのだとすれば、党外で探せばいいだけの話である。予てから超党派救国政権樹立を訴えていた亀井静香がいるではないか。「安倍さんしかいない」というのは自民党内でしか通じない話であり、安倍政権を支持させるためのプロパガンダなのであり、単なる言い訳に過ぎない。「安倍さん」を引き摺り下ろさないと、日本はとんでもないことになるだろう。

安倍政権に信任を与えることはTPP加盟を認めるのと同じことである。「安倍さん」の地位と国民国家とでは、どちらがより大切なものであろうか。

「地方の反乱」が日本を守る。それが起こらなければ、米韓FTAを推進する政権をわざわざ選んだ韓国国民と同じ過ちを犯すことになる。その過ちは後戻りのできない致命的なものだ。

[東京都民は山本太郎に票を集め、抵抗の旗を掲げていただきたい]

報じられている選挙予想では、5議席の東京選挙区は、二人を擁立した自民候補が1位2位を独占する勢いで、公明候補がその次を伺い、次に共産党候補が来るという都議会選挙の勢いそのままの情勢である。前回の記事の山本太郎擁護論でも書いたように、私は山本太郎と考えが同じというわけではないのであるが、不条理に対して立ち上がったその姿勢を高く評価し、全面的に支持を表明する。

ワタミが当選する一方、山本太郎が落選するなどということがあってはならない。同じ選挙区を見ても、トップを走る自民の丸川珠代という人物が山本太郎よりも優れた候補であるとは私には到底思えない。

山本太郎を単なるタレント候補と見る人もいるだろうが、政党に所属せず、ボランティアのスタッフに支えられ、選挙カーを使わず、人々と同じ目線で群衆の中を練り歩いて支持を訴えるというスタイルは、距離は稼げないが、非常に好感が持てるものだ。

組織に頼らないものの、多くのフリージャーナリスト、政治ブロガーが山本候補の支援をしているというのも、これまでのタレント候補に全く見られない新しい現象である。新たなオールタナティブ運動の可能性を感じさせるものだ。

政策においても、山本太郎は東京選挙区の候補者の中で最もTPPについてよく勉強し、その危険性を訴えている候補であると思う。また日米原子力協定の問題を訴えている候補者は山本太郎だけであると思う。そうした点からも東京選挙区では山本太郎を一番に推したい。

友人の芸術家が山本太郎を評してこういった。全く同感である。

「権威のあるものではなく、自分でこれだって、ピックできる人。
実は、太郎さんではなく、東京市民が試されてるのにな。
太郎さんがお願いするんじゃなくて、市民が太郎さんに自分の変わりにってお願いするべきことなんだけど」

ぜひ東京の皆様におかれては、「王様は裸だ!」と叫ぶことのできる男・山本太郎を抵抗と希望の旗印として国会に送り込み、気概を示していただきたいと切に望むものである。

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<2013年参院選-拙ブログによる全選挙区推奨・非推奨候補一覧>

作成にあたっては、朝日新聞による各候補者へのアンケート調査中田安彦氏による推奨・非推奨候補リストを参照した。冒頭に述べたように維新・みんな・公明は全候補を非推奨。自民・民主は若干名のみ推奨で、殆ど全候補を非推奨とした。下のリストで非推奨に敢えて記しているのは、これらの候補は当選させることで却って庶民が打撃を受けることになるであろうと思われる候補であるからである。つまり当選させるべきではないと考える人物である(この非推奨候補は中田安彦氏のリストと同じである。非推奨の理由は中田氏が述べておられるのでそちらをご参照いただきたい)。

各選挙区においては、各候補の主張を見たうえで、よりよい候補者のいない選挙区は全て共産党候補を推奨。私は共産党支持者ではないが、結果として大量の共産党候補者を推奨する羽目になった。それだけ良い候補者がいないということの証左である。自民党と民主党の候補者を若干名推奨したが、自信があるわけではなく、他党の候補者(自ずと共産党になってしまう)を当選させた方がマシかも知れない。

投票の際の参考にしていただければ幸いである。

* なおこのリストは取り急ぎ作成したもので、名前や所属に誤りがある可能性があるので、ぜひ公式の資料をご参照の上、各自の判断で投票していただきたい。

<7月11日追記>
1) 自民党の各候補の主張を調べていくと、TPPに「反対」と回答したのは自民党候補全78名中たったの7名であることが判明した。別記事に記したので、そちらも併せてご参照いただければ幸いである。
2) 千葉選挙区の太田和美候補の推奨度を当初星3つとしていたが、再考の上2つとした。神奈川選挙区の松沢成文候補を非推奨に加えた。比例区社民党の鴨桃代候補を推奨とした。

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こちらの続編記事も併せてどうぞ↓
【続報・参院選】自民党全候補者78名中TPP反対はたったの7名であることが判明 /それでもまだ安倍自民を支持しますか?

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奢り高ぶる安倍自民・壊滅に向かう健全野党と危機に陥る民主主義/私の山本太郎擁護論

<当ブログ「橋下維新は答えではない!」シリーズ:橋下維新の正体↓>
その①ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける
その②形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている
その③選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影
その④【地下鉄利権】関西私鉄幹部が大量に大阪市参与に就任していたことが判明。裏で進められる公共財の解体と簒奪。/一刻も早く橋下リコール運動を開始すべし。
その⑤【大阪地下鉄民営化利権続報】在阪マスコミは関西私鉄の事実上支配下にある!マスコミが橋下維新・地下鉄「民営化」問題を報じない理由

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[壮絶な参院選選挙予想・自民党の圧勝と新自由主義翼賛体制の成立]

7月の参院選の選挙予想が週刊現代(5月25日号)産経新聞(5月29日付)で出ていたのでご紹介したい。産経の方は比例代表のみの予想である。週刊現代の方は各選挙区も含めた詳細な予想が出ている。
なお参議院は定数242で任期は6年。衆議院のような任期途中の解散はなく、定数の半分を3年ごとに改選する方式。選挙は都道府県ごとの大選挙区(定数1~5)と全国区の比例代表制(非拘束名簿)の並立制で、選挙区と比例の重複立候補はできない。

クリックすると大きく鮮明な画像が別窓で開きます。

この資料の見方―左の「現有議席数」は現在の議席であり、すぐ右の「非改選」は現有議席数に占める非改選議席数。「予想獲得議席数」は今回の選挙で獲得が予想される議席数。先程の非改選議席数と予想獲得議席数を併せたものが太字で示した「予想議席数」となる。この「予想議席数」が次期参議院の勢力分布の予想となる。「予想議席数」から「現有議席数」を引くと、今回の選挙での増減の予想となる。
右側の累計は与党の自民・公明(青色)及びそこに「ゆ党」である維新・みんな・民主を足していった累積議席数とそれが全議席に占める割合、さらに完全野党と言える共産・生活・社民・みどりの累積議席数と割合を「与ゆ党」と「野党」にわけて表示。

<予想される自民の圧勝>

週刊現代は、自民党は選挙区の1人区全てで勝利し、2~5人区の全てでも当選者を出す「完全勝利」という圧勝を予測している。もちろんこれは単なる調査に基づく予想でしかなく、これがそのまま当たるとは限らない。投票率が上がれば、大きく異なる結果となる可能性もある。しかし現在の内閣支持率の高さやマスコミの報道も鑑みれば、7月までに波乱が起きず、このままの情勢であるとしたら、これに近い結果となるのではないかと私は思う。

大きく異なるとすれば維新が獲得議席を減らす可能性があるということであろう。週刊現代の調査では2~5人区で維新の候補の当選が見込まれているが、ひょっとすれば調査の時期が古く、直近の橋下徹の騒動の余波を反映していない可能性がある。他の政党が付け入るチャンスがあるとすればこうした選挙区であるはずだ。

クリックすると大きく鮮明な画像が別窓で開きます。

しかし、週刊現代よりも調査データが新しいと思われる産経の比例代表の調査の1月と5月を比較すれば、維新が徐々に支持を失っている分を他の野党が吸収できず、自公が吸収していることが見て取れる。生活がかろうじて1議席を取れるかどうかというところである。

仮にこの選挙予測で示された通りの結果になれば、最初の表で示したように、自民は単独過半数を獲得し、公明とあわせて安定多数を確保する。さらに維新あるいはみんなの党のいずれかの協力を取り付けることができれば絶対安定多数を確保する。

そしてみんなの党と維新の双方の協力を取り付ければ、参議院の3分の2を制することとなる。憲法96条の改正について、維新はそもそも賛成である。みんなの党に関しては党首の渡辺喜美が「公務員制度改革などが実現しない場合は反対する考え」(毎日、5月10日付)を示しているものの、憲法改正そのものについて反対しているのではない。

民主は改憲に反対するということを参議院選の公約に掲げることにしている(ANN、5月31日)。しかし民主党内部でも改憲派はおり、一旦改憲案が提出されれば、それをきっかけに党が二分する可能性もある。

<新自由主義翼賛体制の成立>

民主党はそもそも政権与党時代から、菅・野田内閣のTPP推進・消費税増税という財界マスコミ重視・反国民生活路線によって党内で二分し、その結果民主党内の意見集約をせず、党内反対派を干しあげ、野党である自民党・公明党と「民自公」協力関係を築くという、非常に歪な形で自民・公明と協力関係を維持してきた間柄である。こうした経緯から民主党も健全な野党と呼ぶには程遠く、与党と野党の間の「ゆ党」と呼ぶに相応しい。

また極端な新自由主義・構造改革路線の政策を掲げる維新とみんなの党はそもそもから政策に大きな隔たりはなく、両党は共同公約を掲げるべく作業を進めてきた。選挙協力が破談になったのは橋下徹の一連の慰安婦騒動のためである。そして従来から指摘してきた通り、安倍晋三と橋下徹は蜜月関係にあり、安倍は橋下を「同志」と呼んできた。安倍政権が維新のブレーンだった竹中平蔵を起用し、TPP推進・道州制推進・構造改革推進・憲法改正という新自由主義路線に突き進み、もはや自民と維新の路線は同じものとなってしまった。みんなの党も維新も当然健全な野党とは言えず、民主党よりもより自民に近い「ゆ党」と言えるであろう。これら政策的に同質的な自民・公明・維新・みんな・民主をあわせると、なんと参議院の94%を占めるという恐るべき事態になろうとしている。

マスコミは国民に対して、あたかも自民・公明の与党に対して、民主・みんな・維新が野党として存立しているかのように構図を描いて報じ、維新・みんなを「第三極」などと名付け、朝日新聞などはあたかも民主が「リベラル勢力」であるかのような取り扱いをしているが、こうしたマスコミの報道は欺瞞も甚だしく、実態を覆い隠してしまうものだ。

TPP反対派の国民が非新自由主義グローバリズムの選択を託して誕生させた安倍政権が、政権発足と同時に瞬く間に人々を裏切って新自由主義グローバリズム路線に走った今となっては、これらの政党は表面に見える差異はあれど、全てバックボーンは新自由主義によって貫かれており、もはや大きな違いはないといっていい状況である。
このまま参院選に突入すれば、衆参ともに立法府が新自由主義勢力によってほぼ占拠されるという異常事態が訪れることになる。

<TPPの批准阻止は絶望的・日米協議を潰すべし>

このような状況下で、TPP交渉が妥結すれば、批准阻止は絶望的である。安倍政権がTPPを推進している以上はたとえ自民党の半数がTPP反対を言っても、実際に批准で造反し反対に回るのはごく少数にとどまることが予想される。自民が選挙予想の通り圧勝すれば、安倍政権の基盤は盤石となり、造反はより難しいものとなる。しかも名目は「野党」とされる民主・維新・みんなが賛成に回れば、自民から多少の造反が出たとしても容易に過半数を取れてしまう。衆議院においても同様で、条約の批准は衆議院の優越が認められている。

繰り返しになるが、安倍政権発足直後からの暴走ぶりを見てもわかる通り、TPPで被害を蒙ることが必至の中間団体は選挙に際してより高いハードルを設定しなければ、また容易に裏切られることになるであろう。自民が圧勝すれば、それは安倍政権の信任であり、安倍政権の進めるTPP・道州制・新自由主義構造改革も全て信任されたと見做される公算が高く、少なくともマスコミはその論調で報じ、ムードを作ってくるに違いないからだ。

TPPが潰れる可能性があるとすれば、交渉そのものが妥結しないこと、そして日米協議が合意に至らないことである。TPPは表面上の報道とは異なり、実際は交渉が難航していると言われる。交渉が決裂すれば、TPPは潰える。しかし我々が注意を払わなければならないのが日米交渉である。TPPが潰れたとしても、日米交渉が残れば、日米FTAに持ち込まれる可能性がある。グローバル資本による韓国のネオ植民地化の総仕上げである米韓FTAと同じ結果になることが予想される。我々は今後自民党の圧勝がそのままTPP信任と見做されぬよう工夫を凝らすとともに、TPP反対派を一人でも多く当選させ、かつ日米協議の動向を監視し、これを潰すべく戦術を転換していく必要がある。

[調子に乗り傲慢になる自民]

<ブラック・ワタミを参院選の看板候補として比例で擁立>

「自民党はブラック企業対策として、社名の公表も含めて検討すべきだとする提言をまとめた。今夏の参院選の公約にも反映させる方向」(弁護士ドットコム)という記事は5月28日付のものであるが、驚くべきことに自民党は7月の参院選で、ネット上では「ブラック企業」として名高いワタミ会長の渡邉美樹を比例で擁立することを決めた。安倍晋三が直接会って出馬を要請したという(記事リンク)。

ブラック企業対策を公約に盛り込む政党が、党の顔である看板候補としてブラック企業の経営者を擁立するというのであるから、まさに「安倍こべ」であり、「ブラック・ジョーク」そのものである。こんな党が掲げるブラック企業対策なるものも有名無実のもので、却ってブラック企業にお墨付きを与え跋扈させるものになるだろうことは想像に難くない。

*関連記事『ワタミ社内文書入手 渡辺美樹会長が「365日24時間死ぬまで働け」』(週刊文春、6月5日)

<反旗を翻したJA山形県連と農家を恫喝した自民党・西川公也衆議院議員>

5月30日、山形県農協政治連盟が反TPPを掲げる現職でみどりの風政調会長の舟山康江の推薦を決めた。翌31日、自民党TPP対策委員長の西川公也衆院議員が来県。『米沢市内で農業関係者や地元議員ら約50人を前に「いま自民党を敵にして農業が大丈夫だと思っているのか」と、県農政連の対応に怒りをあらわにした』(毎日新聞6月2日)。

選挙の際には支持者にペコペコと頭を下げる政治家も、一旦権力を手にすれば豹変するという見本のようである。一体何様のつもりなのであろうか。彼らはTPPに邁進する安倍の暴走を体を張って止めようとしただろうか。民主党政権時代の山田正彦元農水相を筆頭に民主党TPP反対派の方が断然TPP阻止のために努力をしたと言える。自民党に政権交代をしてからというもの、権力中枢からの情報が全くといっていいほど出てこなくなったのはどうしてなのか。

私はJA山形の英断に心から拍手を送りたい。また、舟山康江氏の健闘を祈る。こうした動きが大きくなることで、前述の選挙予想も覆ることにつながり、またTPP反対の民意を選挙結果に反映させることができるであろうと思う。他のJAもJA山形に続くべきであろう。

[選挙協力すらままならぬ野党の惨状と山本太郎の奮闘]

ここで論じる野党とは民主・維新・みんなの党というTPP推進を掲げる新自由主義「ゆ党」のことではなく、TPP反対を掲げる非新自由主義勢力の生活・社民・みどり・共産のことである。上記の選挙予想では、これらの政党の予想獲得議席数は全国組織を維持している共産党の5議席のみで、辛うじて生活が比例で1議席取れるかどうかという情勢である。そして非改選の議席を含めた予想議席数ではこれら全ての政党をあわせても12議席・全体の5%という存亡の危機に立たされている。

一般国民にすればなぜこれらの政党が選挙協力を大々的にしないのか謎であると思う。党の当事者・関係者にすれば護持すべき主張やプライドといったものが当然あるだろう。しかし、一般国民の殆どは例えば社民党と共産党の政策の差異、みどりの風と生活の党の政策の差異を明確に説明することができるであろうか。

民主主義の理想を信奉し、今目の前にある日本の危機的な民主主義の現状という現実から目を背けて、ひたすら己の殻に閉じこもっていくのであれば、結局どこの党も「私だけが正しい」といった共産党と同じ類の独善性の罠に陥ることになるのではないかと思う。小さいながらも政党助成金の給付を受けず全国組織を維持できている共産党を別にして、政党助成金に依存する生活・社民・みどりの3党にとっては、今後の選挙活動を考えると、ここでの敗北は致命的なものとなるかも知れない。議席数が少なくなればなるほど、政党助成金は減り、活動の範囲は狭められ、候補の擁立が益々困難になっていくのだ。是非とも立法府で活躍して頂きたい人材が溢れるこれらの党であるが、このまま手を打たねばかなり苦しい状況になることが予想される。

そしてこれらの党の敗北は、党の敗北のみならず、日本の議会制民主主義にとっても危機的な状況を現出することになる。もはや「非新自由主義」という選択肢は国民に提示されず、いずれの政党も1%新自由主義という中から政党を選択せねばならぬという恐ろしい状況になるのである。すべからく新自由主義であり、あるのは「極右風の新自由主義」か「リベラル風の新自由主義」かといった違いだけという事態になりかねない。

<山本太郎の提唱した統一戦線とその不成立>

こうした状況下で有権者から野党の統一戦線結成を求める声が上がるのはむしろ当然のことと言える。山本太郎はこれに応えるべく、野党各党に呼び掛けた。4月22日に行われた最初の会合の様子を私はネットで視聴した。この時の模様はフリージャーナリストの田中龍作氏が記事にしているのでご参照頂きたい(記事リンク)。

実は私が前回のブログ記事「TPP反対運動が失敗に終わる理由。本当にこのまま国を売られてよいのか」を書いたのは、これを見て、脱原発に大きく傾倒したその戦術の危うさを感じたことも大きい。私は山本氏ともちろんお会いしたこともないし、ツイッターで相互フォローをしてはいるものの、これまでメッセージのやりとりをしたこともない。まさかこのしがないブログの記事を山本氏にお読みいただけるとは思ってもみなかったのだが、山本氏が私のこのブログ記事のツイートをリツイートして下さったことを知った。そのお蔭で多くの方にこの記事を読んでいただくことができた。

この動画は先日5月27日に開かれた2回目の会合の様子である。ここで山本氏は第1回目の会合とは若干軌道修正をし、反TPP一本で統一戦線を組むことを提唱した。私のブログでの主張を取り入れてくれたのだと私は確信している。

動画と私の記事の論旨を比較して頂ければおわかりいただけることと思うが、私の主張と山本氏の主張が一致しているわけではない。私は政党間よりもむしろ中間団体が反TPPで統一戦線を組むことに重きを置いている。また反TPPで協力すべきは与野党問わずという点でも趣旨は異なっており、私は無闇な反自民を主張しているのではない。しかし、政党のレベルでは全くと言っていいほど取り上げられなかったこの主張・私が発した重要な問いを山本氏は取り上げ、前面に提示してくれたことにこの場を借りて感謝を申し上げたい。

第1回目の会合では比較的和やかなムードであったが、第2回目の会合はどちらかというと緊張感に包まれたものとなった。それは各政党の代表が統一戦線を組むことがそれぞれの事情から事実上難しいことを述べたからである。山本太郎は自分が当選するかどうかということよりも、統一戦線を作ることを重視していたのは明らかであるが、しかし各党思惑の違いが見え隠れし、いつの間にか各党代表は山本氏をいかにして当選させるかという規模の小さい話に話を挿げ替えようとしているように見受けられた。山本太郎氏は出馬を宣言したものの、氏が願った統一戦線は結局頓挫する羽目になった。

大きな受け皿を作ってほしいと願う会場に訪れた人々からはたびたび厳しいヤジが政治家に浴びせられた。特に共産党の代表とは緊迫したやりとりが行われていた。聴衆の一人が「(人々と政治家の間に)温度差を感じる」と述べたのには全く同感である。

[山本太郎論・山本太郎はポピュリストなのか]

<ある知識人による山本太郎への批判>

脱原発の急先鋒である山本太郎は言動が目立つ分、攻撃にも晒されやすい。傍から見ていて危なっかしく、時折失言もする。するとネトウヨまがいの人々がここぞとばかりに些末な揚げ足を取るだけのことをあたかも鬼の首を取ったかのように一斉に攻撃を仕掛ける。

こうしたレベルの批判とは別に、今回の統一戦線の動きのあと、私が敬意を払うある知識人から山本太郎批判が展開された。その方と非建設的な論争をしたりその方の人物批判をするのが目的ではないので、実名を挙げることはしないが(ここではA氏とする)、それは山本太郎が協力を呼びかけた政党のうちの一つである某党の有力支持者であるだけに、ヤジとはいっても外野席からのヤジとは次元が異なるものである。解説者によるボックス席からのヤジと言えばよいだろうか。

実は、私は今年初めに日本でこのA氏に直接お会いする機会に恵まれた。知性溢れる温厚な紳士で、多少の見解の相違はあれ、私はA氏を非常に尊敬している。お会いした際も若輩者の私を相手に気さくに話してくださり、私の青臭い書生論に耳を傾けてくださり、和やかなムードで楽しくお話しすることができた。

実は私はこの時、別れ際にA氏に、「山本太郎にいろいろ問題があるのは承知だが、山本太郎の批判をしないで見守ってやって頂きたい」とお願いしたのである。そして私は「(そんな機会は訪れることはないでしょうが、)もし山本太郎と一緒に仕事をするようなことがあれば、山本太郎がおかしな方向に暴走するのを防ぎ、引き戻して見せます」とA氏に言った。

勿論私は山本太郎氏と面識があるわけでもないし、主張も異なる部分も多く全面的に支持しているわけでもない。また海外に生活拠点を置く私が実際に日本に戻り、ましてや山本太郎から声を掛けられることなどありえないだろうということは十分承知しているのだが、私はA氏がそれ以前に山本太郎をツイッターで批判したことを知っていたので、これだけはA氏にどうしても伝えておかなければならないことだと思い、A氏に伝えた。

勿論A氏が自分の考えを表明するのは自由であり、私にそれを封じる資格はないのは自明のことだが、今回のことは個人的に非常に残念に思っている。A氏は某党の党首や政治家と精力的に公開対談をする方であり、私のような一般庶民とはレベルが異なるので、A氏の見解が某党や支持者に与える影響も大きいことかと思う。

私は危機状態にある議会制民主主義がいよいよデッドロックに陥り、内部からの自浄作用が失われ、日本をニヒリズムが覆うようになった場合には(それは実際そう遠くないかも知れない)、いよいよ山本太郎のような人材が必要になると思っている。
A氏は議会制民主主義が中から自浄作用を発揮し、正常に機能を回復する可能性を強く信じそこに賭けているのだと氏の言説から私は確信している。私はその点に全く同感であるのだが、しかし、かと言って山本太郎を叩き潰してしまおうといわんばかりの氏の言動には首をかしげざるを得ない。A氏はそうすることが知識人としての義務だと信じておられるのだと思う。

私はいざというときのために山本太郎という人材は大切に守ってとっておかなければいけないと思っている。何よりも首をかしげるのは、こうした批判が潜在的な味方や応援団を後ろから撃つマネに見えてしまうことである。こうしたことは委縮の効果を及ぼし、疑心暗鬼を生じさせ、一般人が声をあげることがやりづらくなるのではないかと思う。

私は山本太郎の主張に全面的に賛同するわけでないというのは、当ブログの読者の皆様はその論調からおわかりいただけることと思うが、また当ブログを時々読んでくださっていると思われる山本太郎氏のためにここで敢えて山本太郎・擁護論を展開したい。

<未来の党の失敗を山本太郎に帰することのおかしさ>

A氏が山本太郎に関して指摘したいくつかの点について私の個人的見解を述べておきたい。

A氏は昨年末の「未来の党」の失敗を山本太郎ないし山本太郎的なもののせいだとする主旨のツイートをしているが、これは事実としても間違いであると私は考える。

まず未来の党は急ごしらえであったことが大きい。そして嘉田由紀子・飯田哲也という疑問符のつく人物と組んだことがあげられる。

山本太郎は(恐らく)未来の党から出馬を打診されたが、むしろ飯田の胡散臭さを見抜いたのであろう、そこから距離を置き、他の党派にも配慮する形で無所属(新党・今はひとり)で小選挙区から出馬をした。「未来の党」には「国民の生活が第一」と亀井静香らが合流したのみで、他の党は合流せず、国民連合が事実上成立しなかったため、山本はむしろ他の党派に配慮して無所属で出馬することで、将来的な連携の芽を残そうとしたのだと思う。

みどりの風の谷岡郁子参議院議員は未来の党の失敗に関して、次のように述べている。
「日本未来の党がうまくいかなかったのは、(脱原発を唱える各党が結集する)統一名簿を作るはずだったのが、嘉田さんのところと小沢さんの党が一緒になったため」(田中龍作ジャーナル、4月23日

こうした経緯や各党の思惑があったので、未来の党はうまくいかなかったというのが真相であろう。むしろ最初から大きく勢力を糾合することに失敗したことが失敗の主要因ではないだろうか。

また、未来の党に関しては、飯田が公示日に比例名簿を巡って大混乱を引き起こして醜態を晒し、ダメージを与えたことも忘れてはならないだろう。

これを山本太郎のせいにするには無理があり、山本にとっても不本意であろう。

(私個人は、従来からブログで主張してきた通り、未来の党以前の問題として、そもそもの政界再編の対立軸の設定自体が失敗する要因であったと思っている。消費税と原発ではなく、TPPで線を引いてもらいたかった。今でもそう思っている。相手もあることだからそう簡単にはいかないのは承知の上だが。)

<山本太郎は橋下徹と同じ類のポピュリストであるのか>

(*「ポピュリズム」とは本来の意味では「民衆主義」であって、民衆のための政治を行う政治家を指して「ポピュリスト」と呼ぶのだそうだが、この言葉は通俗的にはそのポジティブな意味は失われ、人気取りのための「大衆迎合」や「大衆扇動」を指すものとして使われることが殆どである。私も後者のネガティブな意味における「ポピュリスト」をここでは使うこととする。)

次に、A氏は山本太郎は橋下徹と同じ類のポピュリストであると述べている。私はそうは思わない。仮に百歩譲って山本太郎がポピュリストであるのだとしても、「橋下徹と同じ類のポピュリスト」では決してない。
テレビで人気を博したという点で共通するだろうが、橋下は当ブログで検証した通り、そのままマスコミにヨイショされ、関西財界の支援があり、そこに小泉政権の残党のブレーンたちがバックアップをするという「仕込み」を経た人物である。それに対して、山本太郎はこうしたいかがわしいバックはなく、しかもテレビを事実上干された人間である。そもそもからの出発点が異なる。

A氏は「大衆扇動」と言うが、権力者が上からマスコミを通じて大衆を扇動するのと、下から草の根レベルの運動に支えられて訴えを広めていくのとではベクトルの向き自体も意味も異なる。また山本太郎は感情をこめて必死に話す分、冷静な人からは危険視されるところの「理性なき扇動」と同一視される危険性もあると思うが、少なくとも私は山本が橋下のような詭弁を弄して話すのは見たことはない。私には山本太郎が人を騙すために話しているようには見えず、単に一生懸命に話しているだけのように見える。

<職業人としての政治家とポピュリズム>

私はA氏の主張の根幹にあるのは、「職業人としての政治家」「プロフェッショナルとしての政治家」というものを高く評価しているという点であると思う。この点は私も全く同感である。政治と言うものは知識と経験を積んだプロになってやっと担いうるものであり、一朝一夕にして政治家になったど素人の手におえる代物ではないし、そうした人物を為政者に置くことは時に危険ですらある。また、恐らくA氏はしっかりとした知識や政策・経験を持った政治家たちと実際に対談し、感銘を受けたに違いないと思う。そのことがインスタントなポピュリズムに対する危機感をより切実なものにしているのだろうと思う。
橋下徹という悪しき例を見れば、真面目に政治を見る者にとっては大切なものを踏みつけにされた気分になることと思う。私も誠に同感である。

しかし我々が注意を払わなければならないのは、橋下のようにセンセーショナルな言動でパッとテレビで持てはやされ、時代の寵児として政治家になったものだけが、このような悪しきポピュリズム政治を行うのではないという点である。

橋下には手本がある。それは小泉純一郎である。橋下を担いだ人々はきっと橋下なら小泉のマネができると踏んで白羽の矢を立てたに違いないと私は思う。
小泉は紛れもない、経験を積んだプロの政治家である。そのプロ政治家である小泉は、広告代理店を使って、民衆が本来理性的に考えれば到底受け入れるべきではない政策に、いかにして好ましいイメージを植え付けて賛同するように仕向けるかを企画立案させ、それを実行するという恐るべきポピュリズム政治を行ったのである。

つまり「プロの政治家」といっても、あるべき理想形としてのそれと、実際にあるそれは大きく乖離している可能性があるという点に我々は注意を払うべきなのである。そしてその真偽の判別は容易ではない。本物だと今信じているものが、実は唾棄すべきものであったり、またその逆の場合もある。

私が間違っているかも知れず、A氏の判断が正しいのかも知れないが、山本太郎に関するA氏の評価は早計に過ぎると私は思う。もう少し待ってやっていただけないでしょうか。

またA氏は従来から「福島のエートス」を擁護しており、過激な脱原発派の主張を毛嫌いしていると見受けられる側面があり、それが山本太郎への否定的な印象と評価につながっている面もあるだろうと思う。これは理性と言うよりはむしろ生理的なもの・情念的なものに由来すると言えるかも知れないと私は感じる。

私がブログを一旦休止したのは、そろそろ脱原発派と原発安全派が被災者の方々をも巻き込んで、非常に非生産的な罵りあいを始めるのではないかと予感したときであった。人々のエネルギーが負の方向にしか向かわず、ただ分断を深め、何も建設する方向へ向かわないのではないかと感じたからだ。誰にとってもよいことではない。

ブログを再開するにあたって、自分が考えたのは国民国家として日本を再構築していく上でのカギは何なのかということであった。そしてTPP問題こそがその答えを実は内包しているものであると確信した。それに基づいた視点でブログを綴っているということは、当ブログを長きにわたってお読み頂いている皆様にはご理解いただけるものと信じている。

[最後に]

<Aさまへ、もしお読みいただいていたら>

文中に失礼な箇所が多々あることと思いますが、お詫びさせていただきます。
見解は個人的なものであり、若輩者のたわごととして読み捨て下されば幸いに存じます。
大変失礼いたしました。

<山本太郎さまへ、もしお読みいただいていたら>

私はあなたを「向う見ずな愛すべきアホ」(関西弁のニュアンスの「アホ」です)であり、「王様は裸だ!」と叫ぶことのできる子どもだと思っています。

今回出馬するかどうかの判断は難しいことと想像しますが、もし出られるのだとしたら、当選をして暴れてくださることを祈っております。

私は書くことしかできないけれど、あなたにはそれを形にする力があると思います。

謙虚さを忘れず、その上で自分を信じてください。

批判者の言い分にもぜひ耳を傾けてください。

悪い方のポピュリスト(人気取りの大衆迎合や大衆扇動)ではなく、本来の意味でのよいポピュリスト(民衆とともに民衆のためになる政治をする政治家)を目指してください。

厳しい道のりと思いますが、ぜひ亀井静香さんの門を叩き、弟子入りさせてもらってください。

あなたに活躍を期待している人は私の周りにも大勢います。がんばってください。

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Posted in anti TPP, ネオリベ, ファシズム, TPP, 原発, 反ネオリベ, 反TPP, 反新自由主義, 政治, 政治・時事問題, 新自由主義, 日本, 日本社会, 民主主義 | 2 Comments

TPP反対運動が失敗に終わる理由。本当にこのまま国を売られてよいのか。

<当ブログ「橋下維新は答えではない!」シリーズ:橋下維新の正体↓>
その①ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける
その②形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている
その③選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影
その④【地下鉄利権】関西私鉄幹部が大量に大阪市参与に就任していたことが判明。裏で進められる公共財の解体と簒奪。/一刻も早く橋下リコール運動を開始すべし。
その⑤【大阪地下鉄民営化利権続報】在阪マスコミは関西私鉄の事実上支配下にある!マスコミが橋下維新・地下鉄「民営化」問題を報じない理由

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5月13日追記:
この記事はアップした直後から多数のアクセスを頂きました。お読みいただいた皆様、拡散して下さった皆様に御礼申し上げます。なお、当ブログでは党派・団体を超えた救国戦線と「1%新自由主義グローバリズムvs99%国民国家・国民経済」の争点を浮上させることの重要性を度々訴えてきましたが、以下の記事もご参照いただければ幸いです。
1%新自由主義グローバリズムに対抗する政治思潮を顕在化させる必要性。現代日本の政治はなぜ行き詰るのか。後編 2012年4月3日

[論争で敗れた上にさらに恥の上塗りをするTPP推進派/論理性の崩壊した風景]

TPPに関する米国政府との事前交渉で、安倍政権は結局日本側の主張を通すことはできず、一方的な譲歩を強いられ、相手の言い分ばかりを飲まされたことが明らかになった。当初は安倍支持の論客からは盛んに「安倍さんの交渉力はハンパない」などという根拠なき主張が行われ、「安倍さんを信じよう」というなどというもはや新興宗教の如きキャンペーンが張られていた。

日本政府が譲歩をしたのは米国ばかりではない。その後事前交渉を行った豪州・ニュージーランド・カナダといった国々にも早期交渉参加の承認を得るために譲歩を行ったことが明らかになった。しかしTPP参加をさんざん煽ってきた大手マスコミは、これらの国々との事前交渉で日本政府がいかなる譲歩をしたのかについて、政府の無言をそのまま報じるのみで、自ら取材して内容を明らかにするといったことは全く行っていない。

事態はTPP反対論者が当初から危惧していた通りの展開となっているにも拘らず、推進論者は自らの誤りを認めるどころか、挙句の果てには日米安保まで持ち出すトンデモぶりを発揮している。

しかも、皆様によくよく思い出していただきたいのであるが、「交渉参加をしてみて内容が日本に不利になるのであれば途中離脱すればよい」と主張したのは他ならぬ推進論者である。反対論者はそもそもから一旦交渉参加すれば途中離脱は不能と繰り返し警告をしてきた。事前交渉において、いわゆる「聖域」の確保は何ら保障されぬまま各国に対して譲歩を繰り返す有様で、これでは本交渉では、「聖域」どころかより過酷な条件を飲まされるであろうことがもはや明白になったのであるから、「国益がないのなら離脱すればよい」と主張した推進論者は、なぜ今その主張を声高に叫ばないのであろうか。

この論理性の崩壊は一体何なのであろうか。彼らは撤退を主張する気など端から毛頭ないのだ。最初から離脱できぬのを承知で、ただ交渉に参加させ、既成事実化させるためだけにこうしたことを言っているからだ。彼らは国民が彼らの発言をすぐに忘れてしまうと踏んでいるのだろう。推進派は最初から国民の利益など考える連中ではなく、その主張は常に嘘と詭弁にまみれてきた。

5月3日に茂木敏充経済産業相が訪米した際に述べた以下のコメントが推進派の詭弁を象徴している。「(民主党の)前政権は2年かけても結局、参加を表明することはできなかった。安倍政権では非常に速いスピードで物事が進んでいる」(リンク)。茂木の言う「物事」とは「売国」に他ならず、茂木はそのスピードが民主党政権よりも自民党政権の方が早いと誇示して、居直り、胸を張ってみせたのである。恥の上塗りである。

グローバリストと化した彼らは国民なんぞとうに裏切っている。だからTPPで国民がいかなるメリットを享受するのか全く提示することができない。1%側TPP推進派の狙いはもう国益云々の話ではないのだ。彼らの狙いは、多国籍資本が国家を事実上形骸化・ネオ植民地化してその上に君臨し、民主的手段をもってしても覆せぬようにすることである。それを何としても達成せんがために、論拠が完全崩壊し、論理破綻をしたこの期に及んでも、強硬になし崩し的に参加して抜けられなくすることを目論んでいるのであろう。巨大多国籍資本1%側の利益のために99%の国民を犠牲にするのがTPPの本質である。推進派は国を売ってでも1%側のおこぼれにあずかろうというさもしい性根の連中なのであろう。

[自民党「農業所得倍増」に騙されるな/企業経営化される農業]

自民党は4月25日に参院選公約に盛り込む「農業・農村所得倍増目標10カ年戦略」なるものを決めた(リンク)。しかし、この背後にあるものは「農地集積の加速化」であり、「農業の企業化」である。

これに先立つ4月19日及び23日に、政府は産業競争力会議において、TPP参加を前提として見据え、「生産性向上に向けた農地の集約化と経営の大規模化」が議論された(リンク1リンク2)。自民党の「農業所得倍増」なるものはそれを受けて発表されたものであり、農をマーケットの俎上にのせるという市場原理主義思想の上に立脚したものであることに注意を払う必要がある。

早い話が、「農業所得倍増」は「農業」の所得倍増なのであって、今ある「農家」の所得を倍増するということを意味しているのではないということに注意すべきである。農地集約化と大規模化とはすなわち企業の農業参入を前提としたものである。そうした企業経営者になりうる農家の数は非常に限られたものとなる。企業が農業に参入することとなれば、既存の農家が農業を続けるためには、今の独立した個々の農家としてではなく、企業の下で雇われて働く賃金労働者となることになるのではないだろうか。独立した農家から現代の小作人へと転落させられるのがオチである。その過程で多くの農家が廃業に追い込まれ、失業者となるであろう。つまり淘汰の過程で生き残った「農業企業家」だけが「農業所得倍増」の恩恵に浴するという代物である可能性が高い。

先程のリンク記事中にあるように、これは「TPP参加を見据え」(産経)たものであり、「TPP参加に対する農家の不安を払拭する狙い」(時事)なのである。前回の総選挙でTPP反対を掲げて当選した議員たちは、安倍政権がTPP交渉に参加するとなった途端、それを阻止するどころか、TPP加盟を前提にした農業の企業化に邁進しているのである。つまりTPP推進の立場に転換したものと見なされてしかるべきである。

農家の有権者が衆院選で自民の候補者に票を投じたとき、TPP阻止を彼らに託したのであって、TPP参加を見据えた農業企業化などというものを姑息にオブラートに包んだ「農業所得倍増」なんぞを提示するよう依頼したのでは決してないのである。こんな馬鹿な話があるだろうか。ここでも我々は論理性の崩壊を見ることができるのである。農家の方々にはTPPを前提とした「農業所得倍増」などに騙されることなく、衆院選での彼らの公約である「TPP反対」を遵守するよう代議士たちに迫っていただきたいと希望する。条件闘争には決して乗ってはならない。

[TPP反対運動が失敗する理由/党派・団体・個人の壁と「不作為の作為」]

これまで当ブログでもお伝えしてきた通り、TPP反対派は論争という点では完勝を収めている。しかしながら実際の政治戦では推進派に完敗している。このまま何の手だても講じないのであれば、きっとこのまま負け続け、TPPに加盟することになるだろう。

では論争上は圧勝しているにも拘らず、現実には推進派に完全にしてやられている理由は何であろうか。いくつか理由は挙げられる。

1)瀕死のジャーナリズム
本来中立的立場で、賛成の立場も反対の立場も公平に扱って広く国民に情報を提供すべきである大手メディアが推進の立場であり、推進論ばかりを垂れ流す一方、反対論を農業ないし農協の問題として矮小化すると同時に、反対論を殆どと言っていいほど取り扱ってこなかった。現在ジャーナリストと呼びうる人たちは非常に少なく、そうした人々は限られた予算の中で、ネットメディアを駆使して必死にジャーナリズムを死守しようとしている。その一方、大手マスコミで働く人々はもはやジャーナリストと呼びうる状態ではなく、マスコミそのものが報道機関というよりも、プロパガンダ機関と言うべき役割を担っている。

2)瀕死のアカデミズム
資本の側に立ってテレビ雑誌やネットメディアや政府諮問会議で推進論を展開する夥しい数の「資本の御用学者」たちがいる一方で、批判的精神を有するとされる知識人なるものが非常に少ない状態であり、アカデミズムが機能不全に陥っており瀕死状態といって差し支えない状態である。

3)アトム化された個人
今生きる人々の多くはアトム化されている。都市になればなるほどその傾向は強いものとなる。土地・郷土・共同体から切り離される。そして非正規雇用が増えるに従い、組織における繋がりも希薄なものとなる。「自由で個性的な生き方」と呼べば体裁も良いが、同じ現象は同時に切り離された多数の個々人が彷徨う様にも見える。他と繋がるために現代人は共同体ではなく、永続性の保証のない「場」を求める。

1)のマスコミ問題に関しては当ブログではブログを開始した当時から関心を寄せてきた問題であり、当ブログの読者の皆様にはお馴染みのことであると思われるので、詳細をここでは省く。
2)のアカデミズムの問題に関しては、過去の記事でなぜ機能不全に陥ったのかについての仮説を立ててきたが、詳しくは検証してこなかった。最近興味深い小論文を読んだところであり、近くこの問題について書きたいと思う。

さて、そもそもTPP反対運動は1)も2)も織り込み済みの状態でスタートした。つまりTPP反対運動はジャーナリズムもアカデミズムも当てにならぬという条件で始まったわけだ。そして3)も言うなれば所与の条件といって等しい。私自身もアトム化された個人に過ぎない。しかしアトム化された個々人は微力ながらもネットを使ってリアルのネットワークを緩いながらも築く努力をしてきている。

一方の推進派である1%側は、数は少ないのであるが、1)マスコミを味方につけ、というよりもマスコミそのものを宣伝媒体として駆使し、2)御用学者を子飼いにし、政府諮問会議に送り込んだり、テレビのコメンテーターに出して宣伝をさせ、3)しかも国民をアトム化した状態においている状態である。つまり1%資本の側は宣伝媒体を有するという圧倒的に有利な条件から始まり、反対派は圧倒的に不利な条件で始まったわけである。

しかし反対派はこれらのハンディキャップを跳ね除け、論戦においては推進派を完全に粉砕するに至っている。だが実際の政治戦では勝つことができないでいる。その要因は何なのか。
私は「党派・団体・個人の壁」なのだと思う。

4)救国戦線を阻む党派・団体の壁と「不作為の作為」
当ブログで最初にTPP関連記事を出したのは2年以上前の2011年1月16日のことである。私はこのときこう書いた。
TPPで被害を蒙ることが必至の業界団体や組合などにも呼びかけていただきたい。党派・政治信条・主義主張を超えて、日本を守るため立ち上がっていただきたいと強く望むものである。日本を守ろう!
この2年の間に「党派・政治信条・主義主張を超えて、日本を守るため」の統一戦線が形成されたであろうか。

反対を標榜する政党、あるいはあなたの選挙区の個々の政治家はこう言うだろう、「私(私の党)はTPPに断固反対です」と。こういう政治家に皆様からぜひ次のように訊いていただきたい。「結構です。反対なのはわかりました。ひとつ質問があります。一体どのようにしてTPPを阻止するのか具体策を教えていただきたい」。

また、反対を標榜する団体の人もあなたに同じことを言うかも知れない。「私どもはTPPに断固反対です」と。では再び同じ質問をしていただきたい。「結構です。反対なのはわかりました。ひとつ質問があります。一体どのようにしてTPPを阻止するのか具体策を教えていただきたい」。

TPP反対の国民が求めているのは、「政党や団体にTPP反対のスタンスをとってもらうこと」なのではなく、「TPPを阻止すること」なのである。個々の政党や団体がそれぞれのタコツボの中に籠って反対を叫んでも、TPPは阻止できっこないということは、本当は政治家も中間団体もわかっている自明のことではないか。

TPP反対の全ての政治家・団体・個々人によくよく考えて頂きたい。野党だけの反対ではTPPは阻止できないのと同様に、与党内の反対派のみで阻止することもできはしない。しかも野党であっても、維新の会・みんなの党・民主党は推進派である。与党に数多くいるとされる反対派と反対派の野党が1%グローバリストと戦うための救国戦線を組まない限り、現在の政党の枠組みでは阻止できないのは自明のことである。いずれの党派にせよ、「我が党を選挙で勝たせればTPPは阻止できる」といった言説は無効であり、阻止する具体策の提示なしにそうしたレトリックを使用することは詐欺的であるとすら言える。

TPPは目に見えぬ経済戦争なのである。これを感じるためには目に見える実際の戦争をイメージしたほうが早い。実際の戦争であったとしたら、侵略者から国を守るため、党派の違い・団体の垣根を越えて一致団結し、救国戦線は容易に形成されることであろう。しかし今回の目に見えぬ戦争においては、国民も反対を標榜する政治家も平和ボケしているようにしか見えない。現実に残された時間はあと僅かであるというのに、救国戦線が結成される気配もないのはどうしたことであろうか。

反対派が統一歩調をとれぬ間に、原発や改憲の争点が浮上し、党派の内部における引締めが行われ、更に党派の分断が著しくなることだろう。これでは推進派の思う壺である。TPPという国を売るか否かという最も重要な懸案も「数ある懸案の一つ」として扱われることになるのだ。

改憲といったイッシューによって、党派・左右の対立という構図が鮮明にされればされるほどに、実際に国民が最も関心を払って対処すべき新自由主義グローバリズムの問題は顕在化せず、覆い隠されてしまう。その結果、常にグローバリストは漁夫の利を得るのである。いま最も争点として浮上させなければならないのは、「1%のために99%を犠牲にする新自由主義グローバリズム」vs「国民国家・国民経済」の戦いの構図である。

党派の壁・団体の壁、そして内なる心の壁。これらの壁を乗り越えて他と共闘することをせず「私たちは反対しています」などといっても、現実としてTPPを阻止できないのは、当事者はうすうす気づいているはずだ。単なる言い訳に過ぎぬのである。他と協力なしに阻止できないのは自明のことである以上、協力しようとしないのであれば、本気で阻止する気がないのと同義であり、「不作為の作為」に等しい。茶番劇である。

全ての政党、政治家とその支持団体に問いたい。守りたいのは一体どちらなのか? TPPを本当に阻止して国家・国民生活を守りたいのか、あるいは自分の党派・団体・個人の面子を守り、アリバイを作りたいだけなのか。政党や団体の面子やアリバイは、国家や国民の生活よりも価値を置くべきものであるのか。きれいごとはよせと言いたい。

このまま、党派・団体・その構成員である個々人が自分のタコツボに籠ってその中だけで「反対」を連呼しつつ、事実上の「不作為の作為」を続ける以上は、何らかの外的要因でTPPが潰れぬ限りは、日本国民自らの力で潰すことはできないだろうと思う。

仮にTPPが通ってしまった際は、「自分(たち)は反対でした」などという言い訳はしないでいただきたいと願う。壁を越えられなかった自分たちを恥じ、後の世代への責任を感じるべきであると思う。

残された時間は僅かであるが、まだある。以前の記事で検証した通り、安倍政権はTPP推進の新自由主義グローバリズム政権であり、この政権ではTPP撤退はありえぬことである。参院選で何の工夫もせず自民を勝たせると、それこそTPP信任と見做され、交渉妥結・批准までスムーズに事を運ばれることとなる。恐らく参院選もこのままでは自民の圧勝となることと思うが、そうした選挙結果がTPP信任と見做されぬ、むしろTPP反対の民意を反映するものとなるよう工夫をする必要が最低でもある。各政党が動かぬのであれば、中間団体が他の団体と協力して、TPP反対一点でティーパーティー(政策は米国のそれと大きく異なるが)のような政治プラットフォームを結成してはいかがだろうか。もはや平時ではない。平時の頭で思考していては現実を動かせない状況に突入している。

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<拙ブログ重要関連記事>
1%新自由主義グローバリズムに対抗する政治思潮を顕在化させる必要性。現代日本の政治はなぜ行き詰るのか。後編 (2012年4月3日)

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安倍自民と橋下維新のウルトラ新自由主義亡国連立が近づいている。安倍と橋下を結びつけるもの

<当ブログ「橋下維新は答えではない!」シリーズ:橋下維新の正体↓>
その①ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける
その②形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている
その③選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影
その④【地下鉄利権】関西私鉄幹部が大量に大阪市参与に就任していたことが判明。裏で進められる公共財の解体と簒奪。/一刻も早く橋下リコール運動を開始すべし。
その⑤【大阪地下鉄民営化利権続報】在阪マスコミは関西私鉄の事実上支配下にある!マスコミが橋下維新・地下鉄「民営化」問題を報じない理由

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[安倍と橋下維新の蜜月関係:「橋下氏は戦いの同志」]

今回は前回の記事の続編である。前回記事「安倍政権は紛れもない新自由主義政権である。茶番と嘘の上塗りとナイーブな傷の舐め合いをやめ、現実を直視せよ!」を先にお読みいただければ幸いである。
ここでは安倍のここに至るまでの動向を橋下維新の関係を交えて時系列的に追いたいと思う。当ブログの読者の皆様には橋下維新が新自由主義グローバリズム政党であることはもうお分かりのことと思う。当ブログでは「橋下維新は答えではない!」シリーズを組んで、その政策・人脈について検証してきた。詳しくはこのページの上部にあるリンクをご参照いただきたい。最も重要な記事は「選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影」である。また橋下維新については中野剛志や藤井聡をはじめとする多くの保守系論者が既にその新自由主義グローバリズムの性格と危険性を指摘してきたので、敢えて繰り返す必要もないことと思う。

今回の記事では安倍晋三と橋下維新との結びつきやバックグラウンドを追っていき、参院選後に予期される安倍自民と橋下維新との連立・連携構想について述べたい。

<TPP・構造改革・道州制・憲法改正>

前回の記事では、安倍はTPPに反対する西田昌司らに推されて自民総裁となり、首相に返り咲いたのであるが、政権発足直後から新自由主義者やグローバル資本の代表者ばかりをブレーンにかき集め、TPP交渉参加を安倍は恐らく昨年末には決意し、党内の慎重論を安倍自身が押し切ってTPP交渉参加表明を強行したことを述べ、安倍内閣は極端な新自由主義政権となっていることをお伝えした。安倍は訪米から帰国した直後に維新の橋下徹と松井一郎に電話を入れ、「TPP交渉への参加問題をめぐるオバマ米大統領との会談内容を伝えていた」(リンク)。
また以前の記事でお伝えした通り、橋下維新のブレーンには竹中平蔵に連なる構造改革派が大量に登用されており、あたかも竹中残党の集まりのような状態となっている。竹中は維新の黒幕的存在となって、維新の政策策定や候補者選定に携わってきた。これは前回の記事で既に書いたが、その竹中を安倍はまず経済財政諮問会議の民間委員に起用しようとしたが、飯島勲内閣参与の反対で断念、その後産業競争力会議のメンバーに登用した。そして安倍は産業競争力会議の提言に基づき、今後構造改革を推進していくことを表明した。つまり維新と安倍自民の路線にもはや大差はないということである。

橋下維新が道州制推進のブレーンを集めていることも以前の記事で既にお伝えした。橋下維新のブレーンの大半が道州制賛成と見て間違いないと思う。橋下の指南役の大前研一もまた過去に元祖新自由主義政党「平成維新の会」を立ち上げ、道州制を訴えていたことが想起される。橋下徹大阪市長と村井嘉浩宮城県知事が共同代表の「道州制推進知事・指定都市市長連合」は2月12日、2回目の総会を東京都内で開き、地方の声を反映した道州制の早期実現を求める要請文をまとめた(リンク)。
安倍もまた道州制の推進を明言しており、3月8日、「道州制基本法制定についての、日本維新の会との協力に前向きな姿勢を示した」(リンク)。3月22日には自民・公明の幹事長が会談し、「道州制基本法案や児童買春・ポルノ禁止法改正案など十数本程度」を議員立法で今国会に提出する方針を確認している(リンク)。今回道州制がまたもや俎上に上ってきているが、これは各州が規制緩和競争を繰り広げる市場原理主義の極みとも言えるもので、国家の解体と言える代物である。これはTPPと密接に関連したものであると言えるだろう。

安倍がさらに狙うのは憲法改正である。私は改憲議論自体を否定しないが、以前にも述べたように在日米軍総撤退・基地の総返還なしの憲法9条改正には断固反対である。自主憲法を言う前に、在日米軍という敗戦以来続く占領軍の総撤退と自主防衛を先に議論をして道筋をつけなければならない。現在の改憲論は本末転倒しているのだ。TPPすら蹴れずに、国を売り払うような人間が自主憲法を言うこと自体がそもそもおかしいのである。このような人物たちが主導する改憲など、ろくな結果にならないと思う。
IMFに屈服し、外資に食い荒らされて資本のネオ植民地となった韓国は、昔から軍隊を有しているが、米軍が駐留しており、韓国軍の有事指揮権は米軍にある。軍を持ったところで、外国軍の駐留を認める間は、真の独立国家となりえないのは韓国の例が示している。韓国の如く、戦争屋の儲けのために、米国の言いなりで大義名分なき局地紛争に遣い走り的に派兵されられ、巻き込まれるだけというオチになりかねない危険な代物だ。

<「親学」による結びつき>

安倍と橋下を結びつけるもう一つの点は「教育改革」なるものである。安倍は「維新の会が進めてきた教育条例について、(第一次)安倍政権で改正した教育基本法の精神を現場で実行していこうとするものだ」として評価している(リンク)。ところが、この維新の教育条例は市民の大きな批判を浴びて撤回されている。安倍と維新の「教育改革」なるものに横たわっているのは、疑似科学と批判を浴びている「親学」である。

安倍と橋下維新の接触は2012年2月の教育関係の講演会で、松井一郎と対談したことに始まると安倍自身がインタビューで述べている(リンク)。このインタビュー記事では触れられていないが、この「教育関係の講演会での対談」とは、「日本教育再生機構」という団体が発行する雑誌が企画したパネルディスカッションで、2012年2月26日に行われた(リンク)。

この「日本教育再生機構」という団体は「新しい教科書を作る会」の元メンバーで安倍のブレーンであった八木秀次が結成した保守系団体で、この安倍と松井が対談した時のパネルディスカッションに八木もパネリストとして参加している。この団体の理事には「親学」を提唱する高橋史郎も理事に名を連ねている。これらの団体・人脈は安倍の教育観に大きな影響を与えており、安倍は親学推進議員連盟の会長となっている。また「日本教育再生機構」は維新の会との関係を深めており、また排外主義団体である在特会関係者もパネルディスカッションに招いたりしている(リンク)。在特会と維新の会の関係についてはさまざまな所で指摘されている(リンク1 リンク2リンク3)。また小林よしのり氏は安倍晋三の背後にも在特会の存在があると指摘している(リンク)。

大阪維新の会は高橋の助言を得て「家庭教育支援条例」案を2012年5月に提出したが、条例案の内容が公になり、医師や市民から大きな批判を浴び、橋下徹大阪市長がその批判に同調する体裁を取って維新の会のみに責任をなすりつけて梯子を外し、撤回に追い込まれる騒ぎとなった(リンク)。

<カジノとパチンコによる類似性と結びつき>

さて前項で見てきたように、復古的な教育を目指すという点で共通し関係性を持つに至った維新の会と安倍であるが、その「復古的な教育」のイメージとは全く対照的に、両者は賭博関連においても結びついている。

大阪カジノ構想は橋下が大阪府知事だった2009年から立ち上げられ、企画は着実に進められている。2010年10月28日にカジノ議連所属の国会議員を招いて東京都内で開かれた「ギャンブリング・ゲーミング学会」の総会に出席した橋下知事(当時)は「日本はギャンブルを遠ざけてお坊ちゃま、お嬢ちゃまの国になっている。ちっちゃい頃からギャンブルを積み重ね、勝負師にならないと世界に勝てない」と、自身の教育観を披歴している(リンク)。

2013年1月11日に安倍が大阪まで出向き、橋下と会談した際、橋下は安倍にカジノ実現のための法整備を要請した(リンク)。そのすぐ後の1月23日に安倍首相直属の「産業競争力会議」の第1回会合で、委員である三木谷浩史・楽天社長がカジノの開設と風営法の緩和を提案した(リンク)。1月26日、大阪市はカジノ・リゾート施設の誘致に向けて調査費用を2013年度予算に計上する案を示した。日本維新の会も通常国会にカジノ合法化法案を提出する予定だという。

この「大阪カジノ構想」の過程でこれに興味を示した在日韓国系パチンコ大手マルハンと橋下との結びつきについては週刊誌で既に報じられている(リンク)(*なおマルハンの経営者は日本国籍取得済みとのことである)。その他橋下維新の有力パトロンとしてこの記事で報じられている南部靖之・パソナ社長と、橋下と意見交換をした孫正義とは第一次安倍政権の経済ブレーンである。

橋下が大阪カジノ構想をぶち上げたのは2009年9月のことであるが、ちょうどそれに呼応するように、翌2010年4月10日に通称「カジノ議連」と呼ばれる国際観光産業振興議員連盟が結成された。実は安倍晋三はその議連の最高顧問に名を連ねている。ウィキペディアによれば、『初期の報道では、この議連は通称カジノ議連と呼ばれ、「カジノの合法化による観光産業の振興を行うと同時に、パチンコの換金合法化を目的としている」とされたが、あたかもそれだけを目的とするものであるかのような誤解を招くことから、略称を正式にIR議連とした』とのことである。しかし、別の略称を定めたとて、「パチンコの換金合法化」をその目的から外したわけではない。

安倍晋三の父・晋太郎は義父の岸信介と同様、韓国政界と太いパイプを有していたことで知られるが、在日韓国系のコネクションも強かった模様である。晋太郎は地元の在日韓国系パチンコ企業である七洋物産の経営者と親密な関係で、晋太郎の福岡事務所はそのパチンコ企業の所有であったといい、息子・安倍晋三の下関事務所も同じくそのパチンコ企業のものだ報じられている。同じ記事によれば安倍家とこのパチンコ経営者の関係は、「1980年代末に癒着批判が出るほど緊密だった」という(ウィキペディア「安倍晋太郎」 / 朝鮮日報記事(ウェブ魚拓)リンク)(*なおこのパチンコ企業の経営者は日本国籍取得済みとのことである)。

<安倍晋三と暴力団関係者のスキャンダル>

話は少々脱線するが、週刊ポストが2012年10月15日の記事で流した、2008年に撮影された安倍晋三と暴力団関係者とマイク・ハッカビー元アーカンソー州知事の3人が映った写真について述べておく。ハッカビーは2008年の大統領選挙に立候補を表明し共和党予備選を戦ったが後に撤退。その後来日した。写真はその時のものである。ハッカビーのブログからは、氏が6月16日頃に来日して数日間日本に滞在し、東京や東北大学で講演を行ったということがわかるのだが、前年9月まで日本の首相であった安倍と会談したことについてはなぜか触れられていない。2012年末にこのスキャンダルが明るみに出た後、ハッカビーはこの暴力団関係者については初めて会った、会談のセッティングは第三者によって行われたとし、自身と暴力団との結びつきを否定している(リンク)。

abe_nagamoto安倍とハッカビーと共に写真に写っているこの渦中の人物は永本壹桂こと孫壹桂(ソン・イルジュ)という男で、山口組系暴力団の企業舎弟の実質オーナーで大物金融マフィアと言われるばかりでなく、北朝鮮にカネを大量送金をしている疑いのある在日朝鮮人でもある(国籍は韓国となっているが、もともとは北朝鮮系とのこと)。孫は井上工業架空増資事件で無登録貸付の疑いで2012年3月に逃亡先の韓国から戻った後逮捕され(リンク)、12月に東京地裁によって懲役3年、執行猶予5年、罰金2500万円の判決を言い渡された(リンク)。週刊ポストに流出写真が掲載されたのは、孫への判決が出る前の10月のことである。

孫壹桂の関与が疑われたのは井上工業の事件のみではない。2008年4月に発覚したインデックス所有の学研株が流出した事件でも関与が取り沙汰された。また、同年6月12日には、サハダイヤモンド所有の田崎真珠株が孫が実質支配する「神商」に渡っていたことも発覚している(リンク)。
更に同年8月にはトランスデジタルの株券乱発事件に関連して、またしてもその名が浮上している。このトランスデジタル事件に関しては、8月7日にトランスデジタルの子会社であるメディア241がチャンネル桜の協力で『ガンバレ自衛隊!』という番組の制作を発表し、「歴代の防衛大臣をはじめ自民党防衛族、在日米軍や防衛省関係者など400人を招いた。出席した歴代の防衛大臣は、現職の林芳正のほか、石波茂、小池百合子の3氏。トランス社が不渡りを出す3週間前のことであった」(リンク)。この盛大な制作発表会は、前もって仕組まれたトランスデジタルの計画倒産の一部として利用されたのではないかと指摘する声もあり、メディア241の親会社トランスデジタルと反社会勢力の関連から、チャンネル桜の水島聡は苦しい弁明に追われている(リンク)。
孫は捜査当局が長らくマークを続けていた人物であったのだが、井上工業架空増資事件でようやく逮捕にこぎつけたと言える。

また孫壹桂の北朝鮮送金疑惑に関しては実態はどのようなものかわからぬが、以下のような孫の知人の証言がある。
『永本氏を昔から知る人物は次のようにいう。「常々、永本さんは自分を愛国者だと周りに言っている。日本人から巻き上げた金を北朝鮮に送金しているんだ、と自慢していましたからね」』(2008年9月の「東京アウトローズの記事
『大学時代、永本氏と同窓だった実業家が振り返る。「朝鮮大学校というのは、朝鮮総連のエリート養成機関ですわ。たとえ韓国籍に変えても、そこの卒業生である永本は当然、北に対する愛国心はあるわね。実際、巨額のカネを動かすようになった永本は 〝北に30億円を送った〟〝オレが呼べば許宗萬(ホジヨンマン)(現朝鮮総連議長)はすぐに来る〟などと公言しとった。本来ならば、北朝鮮に対して強硬派の安倍氏とは相容れない関係のはずなんやけどな」』(流出写真の掲載された2012年10月の週刊ポストの記事

問題の写真が撮影されるいきさつについて週刊ポストの記事によれば、安倍の地元後援者が孫と親しくしており、その紹介によるものということで安倍と孫の見解は概ね一致している。しかし、安倍が地元後援者が親しくするほどの人物と、その素性を知らぬままに面談し、他の支持者にもするのと同じような形で無邪気に写真に納まったなどということがありうるのであろうか。しかもサハダイヤモンド所有の田崎真珠株が孫が実質オーナーである「神商」に渡っていたことが発覚したのは、先述の通り安倍が孫とハッカビーと面談する数日前の2008年6月12日で、捜査当局が動き出した時期であるにもかかわらずである。つい9か月前まで首相の地位にあり、対北朝鮮強硬派としてならした人物である安倍自身も、その秘書も、関係者も揃いも揃って、孫がそのような人物とは知らずに面会をセッティングしたなどという間の抜けた話が果たして現実にあるのだろうか。

[統一教会と清和会と保守]

2012年6月28日付のしんぶん赤旗は橋下徹・大阪市長が公募で採用した吉田康人・住吉区長が統一教会と深い関係のある人物であると報じた(リンク)。週刊誌の報道によればこの区長はもともと松井一郎・大阪府知事(維新の会幹事長)と関係があったという(リンク)。

松井一郎の父で元大阪府議会議長だった松井良夫に関しては、日刊ゲンダイがインタビューした地元関係者の話によれば「元大阪府議会議長まで務めた自民党府連の実力者の父・良夫氏は、競艇場の照明設備を担う会社の経営者です。日本の競艇会のドン・笹川良一氏の運転手をしていたことがあり、その関係で住之江競艇の仕事を請け負いました。笹川氏が福岡工大高の理事だったことから、松井知事は編入できた」とのことだ。つまり松井の父は笹川の子分格であったことになる。

拙ブログでご紹介した橋下維新の人脈は竹中平蔵系の新自由主義・構造改革派と大前研一系外資系のコンサルタントが中心をなしているのが特徴であるが、ブレーン筆頭格の上山信一はマッキンゼー出身であるが同時に笹川良一の日本財団・東京財団とも関係の深い。その他の橋下応援団には屋山太郎(日本財団)がおり、維新塾講師には北岡伸一(東京財団)がいることも、こうした松井の人脈と無関係ではなかろう。
橋下維新と統一教会が直接関係があるのかどうかは、ネット上では様々な意見が出ているが、決定的な証拠はなく、実態はよくわからない。しかし、こうした人間関係や腐れ縁から統一教会関係者が入り込んだり、橋下維新への支援活動を行う可能性は十分に考えられるだろう。上述の2012年9月1日付週刊誌記事は、橋下徹が尖閣・竹島問題について沈黙する理由に関して、吉田康人・住吉区長の件を挙げ、統一教会と橋下維新との関係を示唆している(リンク)。物議を醸した橋下の竹島日韓共同管理提唱はこの記事の出たすぐ後の2012年9月23日である(リンク)。

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勝共連合のホームページ
安倍の写真の上は文鮮明

安倍晋三と統一教会の関係については表立った情報は少ないのであるが、既にさまざまな所で指摘されてきており、皆様もご承知のことと思う。政治学を学ぶ者の間では安倍の祖父・岸信介から続く統一教会との関係は半ば常識であるが、それが政治学者によって語られることも、主流メディアによって報じられることも殆どない(報じられるとすれば週刊誌のみ)。これに関してネット上ではさまざまな情報が提示されているが、記述者の主観や憶測を含むものが多く、検証が不十分のものが多いのが実態である。以下、比較的客観的に記述されていると思われるウィキペディアの記述を主に参考にして簡単におさらいをしておきたい。なお、記事下に99年に週刊現代が報じた記事のリンクを掲示しておくので、ぜひご参照いただきたい。

安倍晋三という政治家を見る上で不可欠であるのは、父・晋太郎の義父・岸信介から続く韓国人脈と統一教会との関係である。岸は商工省官僚として満州国の計画経済の運営に携わってきたが、笹川良一・児玉誉士夫らとの満州人脈が戦後にも受け継がれる。岸は日韓国交回復を強く後押ししたが、その時の韓国大統領朴正煕(現大統領・朴槿恵の父)は元満州国将校のいわゆる満州人脈である。

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勝共連合の月刊誌『世界思想』

岸・笹川・児玉らは韓国のカルト教団である世界基督教統一神霊協会(統一教会)の教祖・文鮮明と1968年に国際勝共連合を設立する。初代会長は統一教会信者であった久保木修己で、「歴代会長の全員や役員の多くは統一教会の幹部であり、活動する会員も統一教会の信者であることが多いため統一教会の事実上の下部組織である」(ウィキペディア)。また韓国でも勝共運動は満州人脈の朴政権下で庇護を受けた。こうして霊感商法・洗脳・集団結婚で悪名高いカルト教団が日本の政界・社会に蔓延る下地が形成されることとなった。なお笹川良一は初代名誉会長となったが1972年に辞任している。

岸派の流れを汲む清和会は「反共」を掲げると共に「親韓・親台」路線であるが、これにはこうした歴史的経緯がある。勝共連合は自民党の政治家に秘書を送り込んだり、選挙を支援するなどして影響力を拡大した。岸の娘婿で安倍晋三の父の安倍晋太郎は「勝共推進議員名簿に名を連ね、教団も安倍晋太郎政権の実現のために積極的に動いた」(ウィキペディア)。また安倍晋太郎は韓国政界と太いパイプを有していたことで有名である。こうした関係は岸から晋太郎を経て晋三にまで受け継がれていると考えるのが妥当であろう。

なお自民党の歴史において清和会は決して主流の派閥ではなく、保守本流と呼ばれる田中派(木曜クラブのち竹下派(経世会))と池田派(宏池会)の2派閥に対して、傍流であった。しかし経世会や宏池会は後に分裂して弱体化したこともあり、清和会は近年小泉純一郎の時に最大派閥となり、小泉純一郎の前の森喜朗から小泉の後の安倍晋三・福田康夫と4人続けて総理総裁を輩出している。清和会が他を圧倒するに至って、今ではかつての保守本流は傍流となり、「保守本流」そのものが死語となる、或いは、清和会の政治家が自ら「保守本流」を名乗ったりする現象が現れている。一般においても、「保守本流」の本来の意味を無視あるいは誤解して、現在自民党で最大勢力となった清和会系の流れを指して使うといった倒錯現象が起きている。

また統一教会は勝共連合を通じて日本の保守団体との結びつきを強めた。その結果、現在保守論壇では主流である「親米保守」という「反共」のみを殊更強調し、米国には協調(従属)するという対米従属思想の形成に大きな影響を与えている。「保守」はかつては多様な思想を縫合するものであったが、清和会の拡大と並行して、「保守」も多様性が狭められ、かつてと比べればかなり偏狭な思想の枠の中に自らを集約していっている傾向がみられる。

以上見てきたように、統一教会の下部組織である勝共連合との関係が岸から安倍に受け継がれていること、および日本の保守政界・論壇とも関係し、少なからぬ影響力を保持しているのは明らかであり、逆に無関係を証明することは非常に困難である。

民主党政権末期には「自民党は変わった」と自民党自らが喧伝していたが、果たしてそうであろうか。安倍政権が誕生して現在進められているのはまたしても急進的な構造改革路線に他ならない。中野剛志は「小泉・竹中路線の総括」の必要性を強調しており、私も全く同感であるが、それは同時に現在自民党の最大勢力である「清和会的なるもの」の清算・総括を意味するものに他ならず、現実には清和会が最大勢力である自民党が自らそうしたものを総括したり決別をしたりするようには到底思えない。

スクープ! 公安の極秘資料入手現職国会議員128人の「勝共連合・統一教会」関係度リスト」(週刊現代, 99年2月27日号)

[着々と進められている安倍橋下連携と新自由主義連立政権構想]

話が多岐に渡ったが、話を安倍と橋下の連携に戻そう。安倍と橋下は昨年2012年から連携の話をずっと進めてきており、このままいけば参院選後には維新も連立に加わって究極の新自由主義・売国連立政権となるのではないかと危惧している。これまでの安倍と維新の関係を時系列で追ってみることとしたい。

安倍が維新の会と最初の接触を持ったのは、2012年2月に開かれた「親学」教育に関するフォーラムであることは既に述べた通りである。この時安倍は松井一郎と会談したのであるが、4月に入って大阪市内で2回、6月に1回、橋下徹と面談している(リンク)。

8月に入って橋下が安倍に新党参加を要請したことは大きく報じられた(リンク1リンク2)。安倍はその要請を断るものの、直後に行われた産経新聞のインタビューで安倍は「橋下氏は同志」と持ち上げ、連携に強い意欲を示した(リンク)。私が安倍に大いなる不信感を抱いたのもこの時期である。更に安倍は同じ時期に行われた週刊ポストのインタビュー記事で橋下維新と協力して民自公談合を潰すと明言している(リンク)。現在に至るまでの安倍と橋下維新の動向はまさに安倍の明言した通りに進んでいる。

ご存知の通り9月の自民党総裁選で安倍は総裁に返り咲き、一方の維新は石原慎太郎・平沼赳夫らの合流で日本維新の会となった。9月27日、維新の会の公認候補の選定委員会委員長に竹中平蔵を起用することが発表された。橋下は「竹中さんの考え方に僕は大賛成」「基本的には竹中さんの価値感、哲学と僕らの価値感、哲学はまったく一緒」と述べている(リンク)。竹中は「TPPに心から賛成しているか」を候補選定の基準として挙げている(リンク)。

12月16日に行われた衆議院選では、自民は単独で絶対安定多数を獲得し、自公のみで再可決ラインの衆議院の3分の2以上を制するという圧勝を収め、自動的に民主と提携をせずに済む形となった。ここで注目すべきは、衆院選当日の夜に既に橋下が首班指名で安倍に投票することを主張していたということである(リンク)。

12月26日、第二次安倍政権が発足。今年2013年1月8日には、安倍は維新の候補選定委員長を務めた竹中を産業競争力会議のメンバーに選出した。この間のいきさつについては前回の記事で既に述べた。その直後の1月11日に、安倍は自ら大阪に出向き橋下と会談し、参院選後の連携を睨んだ動きとして報じられている(リンク)。先述の通り、この時の会談で橋下は、首相でかつ「カジノ議連」最高顧問である安倍にカジノ構想を提示し、カジノ実現のための法整備を要請している(リンク)。安倍首相直属の「産業競争力会議」の第1回会合で、委員である三木谷浩史・楽天社長がカジノの開設と風営法の緩和を提案したのはこの会談のすぐ後の1月23日のことである(リンク)。

2月24日に日米首脳会談から帰国した安倍はすぐさま橋下と松井一郎に電話を入れ、TPP交渉参加問題をめぐるオバマ大統領との会談内容を伝え、TPPや日本銀行総裁人事への協力を要請していた(リンク1リンク2)。

安倍は3月15日にTPP交渉参加を表明。翌16日橋下は安倍がTPP交渉参加表明をしたことについて、『「僕らの存在があったからこそTPPの交渉に参加できた」と述べた。日本維新は以前からTPPの交渉参加を主張していたことを踏まえ、橋下氏は「いざとなったら維新と組めばいいじゃないかということで安倍首相は自分の考えを出していける」』と述べている(リンク)。この記事で検証してきたように、安倍と橋下は緊密に連絡を取り合い、連携を進めてきており、橋下のこの発言は的を射ていると言える。

政権発足後、安倍の側近である菅官房長官も松井一郎・維新幹事長と頻繁に連絡を取り、石破幹事長は蚊帳の外に置かれた状態で、官邸主導で維新との連携話が進められてきている現状が報じられている(リンク)。

道州制についても同様に安倍自民と橋下維新は阿吽の呼吸で物事を急ピッチで進めている。1月10日、自民党道州制推進本部は「道州制基本法案」を通常国会に議員立法で提出する方針を明らかにした(リンク)。自民の動きに呼応するように、橋下徹大阪市長と村井嘉浩宮城県知事が共同代表を務める「道州制推進知事・指定都市市長連合」は2月12日に2回目の総会を東京都内で開き、地方の声を反映した道州制の早期実現を求める要請文をまとめている(リンク)。

新自由主義型の構造改革・規制緩和も今後推し進められていく模様である。前回の記事でも述べたように、安倍がTPP交渉参加表明をした3月15日の夜に開かれた産業競争力会議で安倍が今後5年を構造改革期間と位置づけ、労働移動を円滑に推し進めることを宣言した(リンク)。その中で民間委員の長谷川閑史・経済同友会代表幹事(武田薬品工業社長)は解雇の原則自由化を提唱している(リンク)。

こうした構造改革・規制緩和・道州制といった動きはすべてTPPとそれに付随する米国との事前交渉にリンクしたものであることに我々は注意を払わねばならない。たとえTPPが何らかの事情で頓挫したとしても、こうした政策が推し進められれば、TPPに加盟するのと同様の結果をもたらし、日本という国民国家は消滅し、資本の支配するネオ植民地となり果てる結果となるだろう。

今回と前回の記事で検証してきたように、安倍自民の掲げた「日本を取り戻す」などというのは全くのハッタリで、安倍政権は「日本を売り払う」政権であることが日に日に明らかになってきている。安倍政権は西田昌司や三橋貴明が振りまいたイメージである反新自由主義であるどころか、それとは全く正反対の1%のための新自由主義・市場原理主義を推し進める政権であることがおわかりいただけることと思う。このままいけば、来る参院選では安倍自民に票を投じようが、橋下維新に票を投じようが、恐らくもたらされる結果は同じである。参院選後には橋下維新とも連携し、さらに本格的な売国亡国政権となるだろう。

あまりにもあからさまな新自由主義売国政策を掲げる橋下維新の登場と、西田・三橋やチャンネル桜の宣伝で、橋下に対する警戒感から自民に投票した方も多いことと思う。しかしながら、故意かどうかは知らぬが、そうした西田や三橋の言説は結局のところ、選挙前から橋下と意気投合し蜜月関係を築いてきた安倍の新自由主義者としての本来の姿を覆い隠すことになってしまったと言わざるを得ず、彼らの責任は重大である。彼らを信じ、未だに安倍を信じている方々も多いことと思うが、そうした期待は早晩裏切られることになるということに早く気付いていただきたいと強く願う。現状では安倍内閣の支持率は7割を超え、来る参院選で安倍自民+公明+維新(+みんな+民主)の過半数を阻止するのは現実的に至難の業であるが、ぜひとも皆様に蹶起していただきたい。

<追記:3月27日>
安倍晋三に関して新たな情報が入ったので、リンクを貼っておきます。ぜひご一読くださいませ。
安倍晋三は朝鮮総連を落札した池口恵観の信者か」(WJFプロジェクト、3月27日)
朝鮮総連を落札した池口恵観がヤバい!小泉元総理と遠縁で安倍総理に辞任と復帰を進言、皇族とも密接!」(NAVERまとめ)
ウィキペディア「池口恵観

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安倍政権は紛れもない新自由主義政権である。茶番と嘘の上塗りとナイーブな傷の舐め合いをやめ、現実を直視せよ!

<当ブログ「橋下維新は答えではない!」シリーズ:橋下維新の正体↓>
その①ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける
その②形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている
その③選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影
その④【地下鉄利権】関西私鉄幹部が大量に大阪市参与に就任していたことが判明。裏で進められる公共財の解体と簒奪。/一刻も早く橋下リコール運動を開始すべし。
その⑤【大阪地下鉄民営化利権続報】在阪マスコミは関西私鉄の事実上支配下にある!マスコミが橋下維新・地下鉄「民営化」問題を報じない理由

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[安倍晋三による売国宣言]

なぜ書くのかと自問することがよくある。このブログを書き始めてから、時折自分のブログは日本の滅亡の歴史の克明な記録になるのではないかと感じることがよくあるからだ。安倍政権によって日本は確実に「資本によるネオ植民地化=韓国化」が進められようとしている。

2013年3月15日夕、中身を全く伴わぬ既に反対派に論破されたところの推進論と同じ内容の宣言文を、安倍晋三はなにやら悦に入ったような調子で読み上げた。

「TPPはアジア・太平洋の「未来の繁栄」を約束する枠組みです」
「こうした国々と共に、アジア太平洋地域における新たなルールをつくり上げていく」
「その先にある東アジア地域包括的経済連携/RCEPや、もっと大きな構想であるアジア太平洋自由貿易圏/FTAAPにおいて、ルールづくりのたたき台となるはずです」
「今がラストチャンスです。この機会を逃すということは、すなわち、日本が世界のルールづくりから取り残されることにほかなりません」
「TPPへの交渉参加はまさに国家百年の計であると私は信じます」

これまでのTPP反対派から提示された議論や指摘を悉く無視した、推進派のこれまで繰り返してきた空疎なキャッチコピーの羅列の如きこの駄文によって、日本は売り出されたのだ。

私が従来から安倍に対して抱いていた不安は選挙前の記事で既に書いておいたが、それが不幸にも的中した。かつここまでぬけぬけとやられると、何を言ってよいのやら言葉を失った。予想を大きく裏切って欲しいと内心はずっと思っていたのであるが、安倍はやはり従来からの言動の延長線上に、ブレることなく「スピード感をもって」売国TPP交渉参加へと突き進んだ。

そして何よりも絶望的な気分にさせられるのは、安倍が交渉参加宣言をした直後に行われた世論調査で安倍政権の支持率がむしろ上がって7割を超えるに至ったということだ。マスコミが数字に下駄をはかせている可能性もあるが、それを差し引いても6割はあるだろう。TPP反対派の声は広く国民に届かなかったと言って等しい。ネットは情報が玉石混交であるが、ネットの外の現実の世界はまるで別世界のようである。

民主党政権のひどさと、安倍政権発足早々の円安・株高を見て、疲弊した国民が藁にもすがる気持ちで安倍政権を支持するという心情は理解できないこともない。自民党にかつての「古き良き」時代の面影を見出だしている人たちもいることであろう。(尤もそのような自民党は小泉の時代に「ぶっ壊され」、失われてしまったものであるが)。
しかし株価やGDPは国民の生活の向上を示す指標ではないことは小泉・竹中の構造改革の後を見れば明らかで、(カラ求人を除く)実質の求人率・就職率・給与の上昇や失業率・非正規雇用・生活保護受給者の減少などが伴って初めて庶民の暮らしは向上に向かう。たとえ企業業績が快方に向かったとしても、それがこうした「庶民の為の指標」の動きを伴わず、株主配当と役員報酬と内部留保に充てられるのみでは、庶民の生活が良くなることはない。
そしてこうした国民の期待は、この後に来るであろう、規制緩和・構造改革・消費税増税・TPP加盟・道州制によって大きく裏切られることになるのではないだろうか。泣きを見るのは現在安倍政権を支持している大多数の庶民に他ならない。

安倍がTPP交渉参加宣言をした翌日、これまで最もTPP問題を詳しく報じてきた日本農業新聞は渾身の論説「主権放棄の売国許すな」を掲載し、TPP交渉加盟を決断した安倍を強く非難した。以下冒頭部分を引用する。

<引用開始>————————————————–
満腔(まんこう)の怒りをもって、安倍晋三首相の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加表明を糾弾する。表明は民意無視の暴挙であり、重大な公約違反と断ずる。国益に反する「壊国」協定に何の成算もないまま突き進むことは、主権放棄に等しい。情報開示や国民的議論がないまま、国家の根幹に関わる政治決断が下されたことは、不信任に値する。売国的参加に一片の大義なし。首相は国民に信を問え。
<引用終わり>————————————————–

また同日の日本農業新聞には田代洋一・大妻女子大学教授の談話も掲載された(リンク『田代洋一大妻女子大学教授に聞く 幻想の排除を 粘り強く訴える』にゃんとま~様によるまとめ)。この中で田代教授が訴える「まずは一切の幻想を捨てる」という点に感銘を受けた。「自民党への幻想」「聖域確保という幻想」「条件闘争という幻想」、こうした幻想を一切捨てて、推進派の仕掛ける分断の罠に陥らず、情報を自ら取りに行き、訴えを拡散することを徹底するよう、田代教授は述べている。

[安倍晋三:愛国者を騙る新自由主義グローバリスト]

さてTPPを阻止していく上での前提条件として、私が上の田代教授の話に付け加えるならば、「安倍晋三という幻想」も捨てよということである。安倍晋三はいかにも愛国者であるかのようなイメージが付き纏っているが、それは安倍が再軍備を主張し、国家主義的に聞こえる政策を主張をするタカ派の政治家であることに依るところが大きい。これは、国家が国民に対して大きな力を持つか、あるいは国民が力を持つのかという「国権論vs民権論」の中で論ずべき範疇のものである。国権論者やタカ派であることが即ち愛国者であることを意味するものではないのは明白だが、こうした国権論者には「愛国者」の称号が与えられて持ち上げるということがしばしば行われる。安倍の掲げる「美しい国」の中身が一体何であるのかを問うことなく、そうした称号が与えられているということであろう。ところが安倍は従来からTPPに賛成であり、かつ道州制にも賛成である。安倍は一見国家主義者に見えるものの、道州制にも賛成であることから実は国権論者でもないことになる。

私が見るところ安倍晋三は紛れもない新自由主義グローバリストである。事実を子細に分析していけば、逆に安倍が新自由主義者でないということを主張することの方が著しく困難であることがおわかりいただけることと思う。

私は衆議院選挙公示直前のブログ記事で以下のように書いた。少し長くなるが極めて重要な部分であるので引用する。

<引用開始>————————————————–

[安倍晋三に対する拭えぬ不安・危険だった東アジアサミット]

冒頭に述べたように、未来の党などが300人規模の候補者を擁立できないのであれば、安倍晋三が首相となって民自公体制が続くものと思われる。自民党内のTPP反対派が安倍を擁立したので様子を見守っていたのであるが、安倍は従来からTPP容認の立場であったし、最近になってTPP交渉参加容認の発言をしており、それが非常に気になる点である。

オバマが米大統領に再選された直後、狙いすましたかのように日本の大手マスコミは各社一斉にTPP推進キャンペーンを始めた。日米財界人会議が日本で開かれ、その後野田首相が東アジアサミットに出席するという日程の中で、このキャンペーンは張られた。野田に東アジアサミットの場で交渉参加表明をさせようという意図がありありとわかる露骨なキャンペーンであったのだが、安倍はこの最中に「TPP交渉参加容認発言」をしている。

TPP反対派は交渉に参加すれば抜けられぬことを知っているのであるから、本当に反対であるのなら、交渉参加容認発言は出ないはずである。ところが安倍はそれをした。そしてすぐさま米倉・経団連会長がそれを持ち上げるという展開になった。
その後、経済産業省側が「まだ事前交渉が終わっていないので交渉参加表明はできない」と言い出した。つまりこの一連のキャンペーンは、野田政権がマスコミを使ってやったものではなく、財界側がマスコミを使って行ったものである可能性が非常に高いと思われる。要は死に体の野田首相に最後の役目として交渉参加表明だけさせて使い捨て、交渉から抜けられなくしておいてから、次の安倍政権に交渉を引き継がせようという魂胆であったのだろうと思う。この過程に自民が一枚噛んでいるのかどうかはわからないものの、それではなぜ安倍はあのタイミングで交渉参加容認発言をしたのだろうか。

野田が交渉参加表明をこの時にできなかったのは非常に幸運であった。しかしまだ野田が首相である限り同様のことをする可能性は残されているわけであり、警戒を要する。 安倍はその後自民党内の反対派の突き上げを食らい、「聖域なき関税撤廃をするTPPには反対」という文言にとりあえずは落ち着いている。しかしTPPは関税だけが問題ではないのは明らかであり、この文言も相当に不十分で不安を惹起するものと言わざるを得ない。

<引用終わり>—————————

最近になってこの当時から安倍がTPP交渉参加宣言をするに至るまでの舞台裏の一端が読売新聞によって記事にされた。それによるとなんと安倍の盟友・麻生太郎が選挙戦のさなか、野田首相(当時)に電話して、TPP交渉参加を宣言するよう依頼していたというのである。

<引用開始>————————————————–
麻生氏は、TPPを国論を二分するやっかいな問題とみて、昨年、民主党の野田政権に片づけてもらおうと動いたことがある。衆院選の最中の12月、麻生氏は当時の野田首相に電話し、「TPPをやってくれ。それがあなたの最後の仕事だ」と迫った。「参加表明したら、私を支持してくれますか」と問い返す野田氏に、麻生氏は「選挙をやってるんだから、批判するに決まってるだろ」と素っ気なかった。結局、野田氏は参加表明を見送った。(読売3月16日
<引用終わり>————————————————–

このエピソードからわかるのは、やはり私の予想通り、自民はTPP参加表明という汚れ仕事を民主党政権にやらせ、政権復帰した後に「民主がやったものだから」ということにして責任を擦り付けつつ、交渉だけは引き継ぐという魂胆だったということだ。

以前の記事に書いた通り、2012年11月7日のオバマ再選から、8日~9日の日程で行われ「TPP交渉早期参加を求める決議」を採択して終了した日米財界人会議を経て、20日からの野田の東アジアサミット出席の時期を狙い撃ちしてマスコミによって大々的に行われた「TPP参加キャンペーン」はやはり財界主導のもので、そこに自民が噛んでいた可能性が高い。安倍・自民総裁は15日に日商会頭と会談し、TPP交渉参加に前向きな姿勢を伝え、日商の岡村会頭は「心強い」と安倍を持ち上げている(産経2012年11月15日)。また21日にも安倍は記者会見で「国益が守られれば交渉していくのは当然だ」と述べている(日経2012年11月21日)。

結局この時の財界・マスコミ主導のキャンペーンは不発に終わる。経済産業省が「事前交渉が終わっていないので参加表明できない」と言い出したからだ。つまりこのキャンペーンは官邸主導のものではなかったということを意味している。この時の財界人の反応が極めて感情むき出しで大人げなく、また傲慢そのものであったのが滑稽である。「せっかく機運が盛り上がっているのに」(荻田アサヒ会長)「本当にしゃくにさわる」(米倉・経団連会長)などのコメントからは、却って彼らがキャンペーンを張った張本人であるということが丸わかりである。また彼ら強欲資本の代表が相当に焦っている様子がわかる。新聞記事から引用する。

<引用開始>————————————————–
米倉経団連会長「本当にしゃくにさわる」と不快感を表明。アサヒグループホールディングスの荻田伍会長は「せっかく気運が盛り上がっているのに」と不満を隠さず、三菱商事の小島順彦会長も「タイミングを逸しない方がいい」と語気を強めた
三井住友フィナンシャルグループの奥正之会長は民主党内にTPP参加に対する慎重論があることから「党内配慮ではないか」と推察。JR東日本の大塚陸毅相談役は「参加の意思表示をすることが肝心だ。まず参加してから主張すればいい」と指摘し、三菱重工の大宮英明社長も「手足を縛られるわけでない。早く言った方がいい」と同調した。(産経2012年11月13日
<引用終わり>————————————————–

安倍はもうこの当時からTPP交渉をする気でいたことがありありと伺える。しかし交渉参加をすれば、恐らく自民は政権復帰しても、この問題で自分たちに批判の矛先が選挙民から向けられることがわかっていた。11月のキャンペーンが不発に終わって野田が交渉参加表明を見送ったことで、今度は自分たちで交渉参加表明をしなければならなくなる。交渉参加という結論は既に決まっているわけだ。焦った麻生は選挙戦さなかの12月に野田首相に電話で交渉参加表明をするよう依頼したのであろう。さすがに野田は自民にだけあまりにも虫のいい話で、自分は雑巾のように使い捨てにされることはわかっており、しかも財界からさんざん罵られコケにされた後であったので取り合わなかったというのが本音であろう。

jimin_kouyaku2この当時、安倍自民支持の論客や支持者からはさんざん「マスコミの偏向報道・捏造である」「安倍はバスが発車するのをやりすごそうと待っているだけ」などという主張が盛んにネットで流されたが、結果論的に見れば安倍自身は当初からTPP交渉参加で一貫しており、ブレていなかったわけである。

ご存知のように「聖域なき関税撤廃を前提にする限り反対」という玉虫色の公約を掲げた自民は衆院選で圧勝した。その公約は安倍が11月の会見で説明したように「国益が守られれば交渉していく」というのが本音の、早い話が二枚舌のものであったのだが、安倍自民支持の論客たちはこの点を強調してはこなかった。橋下維新への警戒感もあって、自民にTPP反対を期待して票を投じた人も多いことだろうと思う。

jimin_kouyaku安倍は政権発足直後に、よりによって竹中平蔵を経済財政諮問会議の民間委員に任命しようとした。これに驚いた竹中嫌いの飯島勲・内閣参与と麻生太郎・財務大臣がそれを阻止したという。安倍は渋々竹中を産業競争力会議の委員に任命した(日経1月1日付 / 全文)。竹中以外のメンバーは三木谷浩史・楽天社長、新浪剛史・ローソン社長、佐藤康博・みずほFG社長、坂根正弘・コマツ会長、秋山咲恵・サキコーポレーション社長、榊原定征・東レ会長、橋本和仁・東京大学大学院教授、長谷川閑史・武田薬品社長。後に岡素之・住友商事相談役を追加。つまり安倍はわざわざ新自由主義グローバリストやグローバル企業の財界人というTPP推進派ばかりを自分自身の手で集めたのである。

当初安倍が竹中平蔵を任命しようとした経済財政諮問会議の民間委員には、竹中平蔵の友人の伊藤元重・東大教授を指名している。伊藤は「TPP交渉への早期参加を求める国民会議」の呼びかけ人兼代表世話役である。「TPP交渉への早期参加を求める国民会議」はそのメンバーを見れば分かる通り、「国民会議」と名を冠しているが、実態は1%側グローバリストばかりが集うものである。伊藤はこの中でもTPP推進の最右翼と言える人物である。竹中を任命できなかった安倍は性懲りもなくまた新たな札付きの新自由主義グローバリストを任命したのである。竹中が経済財政諮問会議入りしなかったことに安堵する安倍支持者の声もあるが、安倍は産業競争力会議をフル回転させる気でいるし、また竹中の代わりに経済財政諮問会議に入った人物は竹中の友人であり竹中に匹敵するような人物であるという点を看過するわけにはいかない。

唯一新自由主義を痛烈に批判する藤井聡・京都大学教授が内閣参与に任命され、孤軍奮闘しているが、藤井の任命は藤井が策定に携わった「国土強靭化案」の頃からの関係が大きな要素と言え、当時の総裁は安倍ではなく谷垣であった。また反新自由主義派支持者のガス抜きを兼ねたようなものと言え、実質上藤井の政策提言が安倍政権に反映されているとは言えない状況である。当初は自民党の公約では公共事業を中心に積極財政を展開することが掲げられていたのであるが、実際に安倍政権がスタートしてみると、それは看板のみで中身のないものであることが次第に明らかになりつつある。当の藤井自身が公共事業費が実質増えていないことを訴えているという惨状である。

安倍はTPP交渉参加宣言を行った3月15日の夜に開いた産業競争力会議で、『今後5年間について産業再編の事業再構築や新規投資を進める「緊急構造改革期間と位置付けたい」と明らかにした。構造改革に伴う負担の軽減や円滑な労働移動が可能になるような政策パッケージを検討するという。「雇用支援策を雇用維持型から労働移動支援型へ大きくシフトさせていきたい」との意欲も示した』(日経3月15日)。

東田剛(中野剛志)がアベノミクスの三本の矢のうち積極財政がこけて金融緩和と構造改革だけになり、強欲グローバル資本だけが儲かるという指摘をしていたことを以前の記事でお伝えしたが、それが見事に的中しつつある。

3月15日のTPP交渉参加表明に関してもその舞台裏が読売新聞によって記事にされている。これによると、安倍の側近でTPP推進派の菅義偉・官房長官ですら「参院選前の交渉参加表明には慎重」だった。菅は「参院選後」を進言するが、「首相の熱意に折れた」という。安倍は1月盟友・麻生太郎に「2月の日米首脳会談直後にTPP交渉参加を表明する」旨を伝えていた。「のけぞった麻生氏は「首相がそう言うなら……(支持する)」と答えるのが精いっぱいだった」という(読売3月16日)。つまり安倍こそが最もTPP交渉参加に熱心で、それを主体的に進めてきたわけである。

そして安倍は、当ブログでその性格を既に指摘したところの新自由主義政党・橋下維新と蜜月関係にあり、安倍は「橋下氏は戦いの同志」と呼び、頻繁に連絡を取っている。2012年8月、安倍は橋下徹に新党合流を打診されている。安倍はそれを断ったものの、その直後の週刊誌のインタビューで安倍は民自公連立を解消して維新と連立する構想をぶち上げている。政権発足後もこの線で参院選後の協力関係を維新と協議している。日米首脳会談から帰国した安倍は真っ先に橋下に電話を入れている。維新への警戒から自民に票を入れた有権者も多いことと思うが、憲法改正・道州制そしてTPPと、両者の政策には大差がもはやないのであろう。実際は安倍が自民総裁でいる間は、自民と維新は連立に向かう可能性が高く、どちらに票を投じても同じことになるという事態になりつつある。私が先の衆院選でTPP反対を掲げる中道左派が壊滅したのを見て、頭を抱えたのはこのためである。これについては選挙後の記事ですでに述べたのでご参照いただきたい。この安倍と橋下の関係と共通点については重要であるが記事が長くなるので、次回の記事で詳しく述べることにしたい。

以上検証してきたように、安倍は当初から一貫してTPP交渉参加に前向きで、オバマと会談する前から既にTPP交渉参加を決意していて、それを聞いた麻生は「のけぞった」のである。
そして呼び寄せたブレーンも、打ち出す政策も純然たる構造改革・グローバリズム路線である。安倍晋三は愛国者を騙る対米従属の新自由主義者であり、安倍政権は新自由主義グローバリズム政権である安倍政権を支持することは即ち新自由主義グローバリズム政権を支持することに他ならない。そうでないと主張することの方が困難ではないか。我々はまずこの現実を直視することから議論を始めなければならない

[茶番と嘘の上塗りとナイーブな傷の舐め合いをやめ、現実を直視せよ!]

中野剛志と三橋貴明はTPP推進の新自由主義グローバリストを「売国奴」と呼んでいるが、この基準を適用するのであれば、TPPを推進し、新自由主義グローバリストをブレーンにかき集め、構造改革を推進し、道州制を推進する安倍晋三は紛れもない「売国奴」となる。

三橋はチャンネル桜の親米保守論者と同様、西田昌司議員の推す安倍への支持を強く訴え、あたかも安倍が首相になればTPPという悪夢から逃れられるかの如き幻想を振りまいてきた。しかし、その「愛国者」であるはずの安倍が「売国」政策を推進するに及び、三橋は大きな矛盾に陥っており、批判を浴びている。三橋は自民党に利用されたのかも知れないが、自分の誤りを認め謝罪し、安倍が三橋自身が定義するところの「売国奴」であることを率直に認めるべきであろう。TPP反対を主張しつつ安倍自民への支持を煽ってきた保守論者たちはこの点に関して完全に論理が破綻している。また彼らがTPP反対の国民を実際にはTPPを推進する安倍への支持に誘導してきたという問題の重大性を考えると、その責任は測り知れないものと言える。

三橋とは異なり、こうした自民への支持を煽る政治運動まがいの言論活動とは距離を置いてきた中野剛志(東田剛)は、橋下維新やみんなの党を批判するトーンに比べれば非常にささやかなものではあるが、安倍政権誕生直後から安倍政権を疑問視し、安倍がTPP交渉参加宣言をした後は安倍政権への批判を展開し始めている(東田剛「構造改革かよ」(2月6日)/「精神疾患」(3月13日)/「安倍総理の真意」(3月20日)。私は中野の姿勢に知的誠実さを感じる。

安倍がTPP交渉参加宣言をした今となっては、今後TPP反対派はかなり苦しい戦いを強いられることになるだろう。TPP反対を唱えていた保守論壇も恐らく安倍を批判する立場と安倍を支持する立場に分裂することであろう。

ただ、特にテレビやネットのメディア上でいやしくも言論活動をしている者たちは、サークル仲間の間のみでしか通用せぬ茶番と嘘とナイーブな傷の舐め合いはやめるべきである。つまりこの期に及んで、「安倍が新自由主義者である」乃至「安倍政権が新自由主義政権である」ということを認めず、(或いは最低限でも行うべき安倍政権が新自由主義であるか否かの検証すら行わず)、その点をタブーとして一切触れずに、相変わらず安倍が愛国者であるとして祭り上げるというのであれば、もはや客観的に政治を論ずる論壇の議論としては成り立ちえず、同時に言論人としては著しく誠実さを欠くということである。同時にそれは自分たちの責任を逃れるための保身のようにも見える。

そうした検証や事実の直視もなく、ただ「安倍さんを信じよう」などと述べる言説は、それはもはや議論ではなく宗教であり、彼らは単に「信者」の群れに対して「絶対矛盾の自己同一」を受け入れさせ、教祖様に対する質問を禁じ、ただ無批判の信仰を強いる布教活動を行うに等しいことになる。批判を受けた際に、その批判に対して正面から具体的に反論せず、「中共の工作員だ」「コミンテルンの陰謀だ」などと言うのは、教義の矛盾を指摘されたら「神を試すな」「信心が足りないのだ」「それは異端・邪教の教えだ」などと言う宣教師と重なる。既にそのような兆候は現れてきている。保守論壇はこれまで精力的にTPPの問題点を抉り出してきており、一定の敬意を払ってきただけに、こうした傾向は非常に残念に思う。

政治は宗教ではない。盲目的な信者になってはならない。さもなくば議論は普遍性を持ちえず、一部の「信者」を除き相手にされなくなるだろう。
政治の評論と現実に政治をどう動かすのかは無論次元の異なることで、実際の政治では複雑な戦術というものが駆使され、理路整然としたものではない。しかし評論家が政治を議論する場合は、事実を覆い隠すようなイメージや抽象論、人を陶酔させるための言葉遊びといった類を排し、率直に事実を見つめ検証することから始められなければならない。

これからの議論の大前提として、安倍政権が紛れもない新自由主義政権であるという事実だけは直視し、そこから議論を始めなければならないと私は強く思う。安倍政権を支持するという立場の論者は、自分が新自由主義政権を支持するということを明示し、その上で支持をすればよい。或いは、安倍政権が新自由主義政権ではないと考えるのであれば、そのことをなぜ安倍がTPPを蹴らずに交渉参加宣言をしたのかの理由も添えて(精神論の如き人を惑わす言説や「コミンテルンの回し者」などといった極めて稚拙なレッテル貼りを排して)具体的に説明していただければよいと思う。そこから議論を始めればよいのではないか。

続編記事⇒「安倍自民と橋下維新のウルトラ新自由主義亡国連立が近づいている。安倍と橋下を結びつけるもの

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完全崩壊したTPP推進派の論拠/現代日本の論理性の崩壊/今こそ声を届けよう

<当ブログ「橋下維新は答えではない!」シリーズ:橋下維新の正体↓>
その①ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける
その②形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている
その③選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影
その④【地下鉄利権】関西私鉄幹部が大量に大阪市参与に就任していたことが判明。裏で進められる公共財の解体と簒奪。/一刻も早く橋下リコール運動を開始すべし。
その⑤【大阪地下鉄民営化利権続報】在阪マスコミは関西私鉄の事実上支配下にある!マスコミが橋下維新・地下鉄「民営化」問題を報じない理由

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[震災から2年・紳士面した詐欺師たちと分断された民]

震災から2年が経った。それまでも一部の人たちの間で意識されつつあった日本の末期的な症状がこの震災を経てより多くの人々に認知されるところとなったのであるが、何よりも愕然とさせられるのは、「団結」「絆」「頑張ろう日本」といった表面的に語られるフレーズとは裏腹に、社会の疲弊が進み、国民の分断がかなり深いレベルで進行していたということも、この震災によって明らかになってきたのではないかということである。

中野剛志がTPP反対論を唱え始めたのは2010年末で、当ブログでTPP反対3部作(リンク1リンク2リンク3)を掲載したのが翌2011年1月、震災のおよそ2ヵ月前である。原発事故を伴った大震災が起こった後、流石にこれで政府も役人も目を覚まし、TPPなどというおよそ馬鹿げたものを断念して復興に専念するだろうし、原発も廃止に向かうだろうなどと私はその時は思ったのであるが、その見通しは非常に甘かった。

財界・政界・官界・学界・報道界や言論界のエリートと呼ばれる人たちが、復興が何よりも先に優先されるべき事態となってなお、TPPという、被災地の民に壊滅的打撃を与えるのは勿論のこと日本国民全体がもはや二度と立ち上がれなくなるであろう代物を、事もあろうに「復興のため」(日本経済新聞2011年4月19日社説)などと事実とは全く反対のことを主張してメディアを使った推進論の大合唱をする様を見て、彼らが、個々に差異はあれ、総体としては、実は大した国家観や哲学、そして何よりも社会全体を考える公共性を持ち合わせておらず、極めて利己的で不謹慎とも言える動機から民を詐欺的言辞で騙し、国家を食い物にして動かしてきたのではないかという、信じたくはない疑念が益々強まった。

「やったもん勝ち」「騙したもん勝ち」「自分さえよければそれでいい」といった軽佻浮薄でふざけた価値観に政官財界やマスコミのエリートの中心がかぶれているのかと想像すると恐ろしいのだが、あながち外れていない気がする。世界的に見てもクリントン・ブッシュ・小泉竹中・サルコジらが出てきた90年代あたりから特にそうした風潮が顕著になってきているように思う。

[ポストモダンというふざけた時代と論理性・倫理性の崩壊]

同時にそれは我々庶民の多くにも巣食うごく一般的な価値観であるのかも知れない。エリートが先に堕落したのか、民の堕落がエリートに反映されたのかという議論は鶏と卵の議論と同じで、問うてもさしたる意味もない。

ただ現実として言えるのは、「近代」の咀嚼を半ばに、80年代に「ポストモダン」という非常に嘲笑的かつふざけた時代に突入し、その「ポストモダン」ブームなるものは、説得力ある議論をもってしてではなく、ただ単に「近代」を根拠なく嘲笑い、建設・論理といったものを破壊し尽くしたということである。我々はその荒涼たる廃墟の中に取り残され、せっかくの「近代」の僅かばかりの果実すら手放そうとしているようだ。

調子に乗って最先端を走っていたはずが、いつの間にか、ぐるりと周り回って「前近代」--論理や建設が崩壊した廃墟の中に、巨大な力の横暴がオブラートに包まれて正当化され、アトム化され無力化された民にはシニカルな娯楽のみが与えられ、その象徴としてのネオンだけが不気味に輝く「前近代」--に行きついてしまうのではなかろうかと思う。しかもこの達成されつつある「新たな前近代」においては、もはや人は帰るべき場所すら持ってはいない。我々は一体何を目指してきたのであろうか。そしてどこへ向かうのであろうか。
政財官界・マスコミに君臨する戯れの度が過ぎたエリートたちはこの「ポストモダン」時代の産物なのだと考えると納得がいく。

理性的で論理的な建設的な思考という近代の遺産を見直すことを時間をかけてでも行ってゆかねばならない。

[完全崩壊した推進派の論拠/論理性の崩壊]

この2年間、推進論者や大手マスコミは極めて抽象的なTPP推進イメージキャンペーンを展開してきた。「日本は貿易立国である」「アジアの成長を取り込む」などという推進論(?)は、具体的な中身を伴わぬキャッチコピーの如きものであり、データを駆使した論理的反証によって悉く論破されてきた。そして反対論者からは夥しい数の危険性を指摘する意見がだされているにも拘らず、それに対する推進論者側による正面からの反論は皆無といって等しい状態で、反対論者との論戦から逃げ回っているというのが率直な感想である。つまり論戦にすらなっていないという異常な状態が2年以上も続いていることになる。

そして恐ろしいと思うのが、一体何がTPPのメリットであるのか、誰がどのような恩恵に浴するのか、何故にそこまでしてTPPに加入せねばならぬのかという理由説明が全くと言っていいほどないままに、交渉参加するかどうかについて意思決定が行われようとしているということである。これだけの数のデメリットや危険性が指摘されているにも拘らず、ただ「交渉によって聖域を勝ち取る可能性がある」という極めて不可解なこの一点を語るのみで、なぜ参加せねばならぬのかの理由の説明もなく、出口がない密室交渉参加が決められようとしているのだ。まさに論理性が崩壊しているのである。

しかも日本が交渉参加宣言を行ったとしても、事前交渉があるために、本交渉に入れるのは早くて今年9月の1回のみ。更に、後から交渉に参入したカナダ・メキシコに対しては、「〈1〉合意済みの部分をそのまま受け入れ、議論を蒸し返さない〈2〉交渉の進展を遅らせない〈3〉包括的で高いレベルの貿易自由化を約束する」(読売新聞3月8日付)といった条件を受け入れさせていたことが判明した。しかもカナダ・メキシコは「交渉終結権を手放したことによって、新たなルールづくりの協議で先発九カ国が交渉をまとめようとした際に、拒否権を持てなくなる」(東京新聞3月7日付)ことも判明した。

これに加えて、3月11日、民主党でTPP推進の旗を振っていた前原誠司が衆議院予算委員会で、「(野田政権が)最後まで(TPPへの)交渉参加表明をできなかったのはなぜかというと、米国の要求、事前協議の中身が余りにも不公平」であったからだと舞台裏を暴露した(リンク HEAT氏ツイート)。鈴木宣弘・東京大学教授によれば前原が暴露したことに対して米国が怒っているとのことである(リンク HEAT氏ツイート)。米国が怒っているという話が本当であれば、米国が無理難題を押し付けているという話も本当であろう。

こうしたことから、たった1度の交渉において「聖域」なるものを勝ち取る可能性はほぼゼロに等しいことが益々明白になった。さらに後から参加表明をしたカナダとメキシコは事前交渉において、「聖域を勝ち取る」どころか、米国らに過酷な条件を飲まされていたことが明らかになったのである。つまり交渉の余地など現実には残されてはいないのである。TPPはもはや「交渉に参加するか否か」ではなく、「他国が決めた内容を丸のみしてTPPに加入するか否か」なのである。「交渉力」だの「交渉によって聖域を勝ち取る」だのという推進派の最後の論拠も崩壊したことになる。

交渉に一旦参加すれば、撤退は事実上不可能であり、かつ野党の主勢力は民主党・橋下維新・みんなの党という新自由主義TPP推進勢力であることから、交渉が妥結すれば、現在での議席配分のままでは批准段階での否決はほぼ不可能である。つまり「TPP交渉参加」は、交渉が妥結する限り「TPP加盟」を意味することに等しい。

我々は抽象的な言葉で推進を主張する論者に対して、「TPPのメリットは具体的に何なのか、TPPによって一体誰がどのような恩恵を得るのか」を具体的に語ることをまず要求すべきであって、「聖域があるやなしや」ということ(もはや崩壊した論拠なのであるが)はTPP加盟を決める条件とはなりえないということを明確に示しておく必要がある。この線を譲ってはならない。

推進論者はなぜTPPに入りたいのかを具体的に語ることを決してせず、今後とも逃げ回ることと思う。なぜならば、TPPのメリットが巨大資本1%側にしかないことが明白になるからだ。推進論の最後の論拠が崩壊してもなおTPPに加盟するというのであれば、他に一体どんな理由があるというのだろうか。

TPPは単なる貿易協定ではない。推進論の論拠が悉く崩壊した後に残されたものは、「国家という枠組みの上位に多国籍資本が君臨し、民主的手続きによってそれを覆すことがもはやできぬようにした上で、99%の民の犠牲の上に1%だけの繁栄を目指す」新自由主義グローバリズムによる「売国」の本質である。同時に、彼ら推進論者が1%に仕える「資本の御用イデオローグ」であることが露呈してくる。

彼らは「非論理」を貫くだろうが、それに対抗するのは「論理」でしかない。こちらが相手の「非論理」の土俵に乗っても、話が噛み合うはずもない。相手を「論理」の土俵に引きずり出すしかないのである。

[声をあげること・声を届けることの重要性]

こうした「非論理」の前に民主主義は崩壊の危機を迎えている。橋下維新という究極のある意味でわかりやすい売国派が出現したせいで、それへの警戒感から安倍自民に投票した有権者も多いことと思う。しかしいざ自民が大勝し、安倍政権が誕生した途端、安倍は橋下維新の黒幕である竹中平蔵を筆頭に、楽天の三木谷浩史やローソンの新浪剛史らTPP推進の新自由主義グローバリストばかりを首相直属の諮問機関である産業競争力会議のメンバーに指名した。安倍は自民党内のTPP反対派が支持して総裁となったのであるが、従来から安倍はTPP賛成の立場であり、安倍の選挙前のTPPに関する言動から抱いた懸念は当ブログで既に皆様にお伝えした。予想通り安倍首相はTPP交渉参加に前のめりになっているのはもはや明白である。

jimin_kouyakuところが、安倍を支持したTPP反対派の自称保守の論客たちはなぜか安倍を非難せず、逆に「TPP交渉参加やむなし」などと最近になって言い出した。更には「安倍政権への批判は保守分断と見なす」などと逃げ口上なのか居直りなのかわからぬ暴論を唱えるに至っては、国民を愚弄するにも程があり言語道断である。この人たちの言葉を信じて自民政権がTPPを蹴るものと思って自民に投票した人たちはかなり多いことと思う。

我々が今なすべきことは、こうした論客に惑わされることなく、TPP反対の声をあげ、その声を地元選出の政治家たちに届け、叱咤激励することである。この写真のような公約を掲げて政権の座を獲得した政党がTPP参加を言い出すなど言語道断であり、決して許されることではない(論理性の崩壊である)。ぜひ皆様には諦めることなく、今こそTPP反対の声を緊急に届けて頂きたい。

このリンク先(カレイドスコープ様)に「TPP参加の即時撤回を求める会」の名簿及びFAX番号が掲載されています

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