Category Archives: マレーシア

マハティール元首相がTPPに警鐘、「我々は再度植民地化される」

<当ブログ重要記事> 世界的に見ても異常に高額な供託金制度が国民の参政権を侵害している/1%代理人ばかりが選出されるインチキ民主主義のカラクリ 供託金廃止運動のサイトが立ち上がりました(三宅洋平氏も署名済み) ⇒供託金をタダにしよう!または、限りなくタダに近くしよう! マレーシア・コタキナバルでTPPの第18回会合が7月15日から25日まで開かれたが、それに先立つ7月12日にマハティール・マレーシア元首相がブログでTPPに重大な警告を発した。それが若干編集されたものが同日付の現地有力英字紙「ニュー・ストレート・タイムズ」に掲載されている。幸いブログ「マスコミに載らない海外記事」様がマハティールのブログ記事を訳出してくださっているので、この記事の下に転載させていただく(ここではマハティールのブログの訳出部分のみ転載させていただくが、当該ブログ記事にはブログ主さまのコメントも書かれているので、そちらもご参照いただければ幸いである)。 拙ブログでは、マハティール元首相が2012年5月に来日し、国会議員と懇談した際に、「私が現役ならTPPに絶対参加しない」と述べたことをお伝えした。またマハティール(当時首相)が1997年から98年にかけてのアジア通貨危機の際に、IMF救済策を拒否し、国内のグローバル派(BKD)との戦いを制し、資本統制策と財政出動によって短期で危機を脱出することに成功したことを特集を組んでお伝えした。 マレーシアとは対照的に、同様の通貨危機に陥らされたタイ・インドネシア・韓国はIMF勧告に従ったがために、さらに大打撃を蒙ることとなったこともお伝えした。特に韓国はIMFの直接支配を受け、極端な民営化・構造改革・外資への門戸開放をさせられ、国内経済を多国籍資本に事実上乗っ取られ、ネオ植民地となり、未だにそこから抜け出ることができないでいることもお伝えした。これらの詳細に関しては以下の4本の記事をご参照いただければ幸いである。 IMFと戦い国民・国家を守ったマハティールに学ぶべし! ②IMF「救済策」が明暗を分けた ③:野党指導者アンワルとその「グローバル」人脈 日本の「韓国化」を阻止せよ!:TPPによって日本の「韓国化」「ネオ植民地化」完成を目論むBKDを討て! マハティール元首相「私が首相ならTPPに絶対参加しない」「日本人よ、いつまで米国の言いなりなのか!目を覚ませ!」 マハティールは今回の記事で、まずTPPが秘密交渉であること及びマレーシア政府の交渉能力そのものに率直に疑問を呈し、TPPの危険性に警鐘を鳴らし、かつマレーシアがこの条約によって再度植民地化されると述べている。当ブログの認識とも全く一致する。マハティールは、ISD条項などのTPPに仕掛けられた罠も完全に見抜いて警鐘を鳴らしている。アジア通貨危機当時、首相として、通貨危機そのものが多国籍資本とIMFによって仕掛けられたことを見抜き、それらと国内BKDとを敵に回して戦い、国家と国民を守ったマハティールの言葉だけに非常に重いものがある。 マハティールが「通商産業省が既にTPPに合意することに決めているのを私は知っている。省はいかなる反論も、決して受け入れようとしない」と述べているのは非常に印象深い。ここでマハティールが述べている通商産業省とは勿論マレーシアのそれであるが、全く同じことが日本の経済産業省についても言えるからだ。日本で新自由主義グローバリズムの旗を振る宗像直子などの現役経産官僚や岸博幸などの経産省OBは、なぜか揃いも揃って官僚時代に米国に公費留学しMBAを取得して戻ってきているのであるが(ちなみに同じ経産官僚でもTPP反対の急先鋒として知られる中野剛志は英国エジンバラ大学に留学し政治思想を専攻)、ひょっとするとマレーシアの通産官僚も日本と同じようなことになっているのかも知れない。 マレーシアの通産官僚がマハティールの苦言すら聞き入れないというのであれば、アジア通貨危機の教訓が全く生きていないばかりか、すでに日本と同様内側から切り崩され、骨抜きにされ、1%に仕えるBKDと化してしまっているのかも知れない。 しかし、マレーシアの状況は日本よりも数倍マシであろう。少なくともマレーシアではマハティールのTPPに関する鋭い分析と警鐘が単にブログでの発信だけに終わることなく、大手紙に掲載され、広く国民に発信されている。 それとは対照的に、日本は国家・国民を守る勇気と知性を持ち合わせたマハティールのような政治家が出ることもなく、愛国を気取りながら国を売る卑劣な売国奴が権力の座にある。そして大手紙・放送局はジャーナリズムを気取りながら、TPPの危険性について殆ど国民に報じず、根拠なき楽観論ばかりを垂れ流して国民を意図的に誘導するBKDプロパガンダ機関と成り下がっている。恥も外聞もない状態だ。マスコミがこのような状態で民主主義が健全に機能するはずがない。 先日日本郵政がアフラックと提携し、アフラックのがん保険を郵便局で販売することに合意したというニュースが報じられた。しかし殆どのマスコミは、この提携合意以前に、日本郵政が独自のがん保険を販売しようとしたところ政府の介入でそれを阻止されたという前段を詳しく報じていない。つまり日本政府はアフラックの独占を取り締まるどころか、日本郵政のがん保険市場参入を阻止し、アフラックとの提携に無理矢理追い込んだのである。つまり外資企業の市場独占を手助けしているのである。到底こんなものは「自由で公正な競争」とは程遠い代物だ。 そして驚くべきことにこの屈辱的な取り決めをさせられた後、来日した米通商代表部のカトラー次席代表代行が『日本郵政傘下のかんぽ生命保険は「民間企業との競争条件が平等ではない」と批判』(共同通信、8月9日)し、更に攻勢を強める姿勢を示している。日本政府はどれだけ見通しが甘いのであろう。あるいは確信犯でやっているのかと疑いたくなる。そして、この間の事情や客観的な分析を報じてこなかったマスコミも同罪である。 また、国家主権を多国籍資本の下に置くことを事実上制度化してしまうISD条項に関して、日本政府は賛成の立場であるという、開いた口の塞がらぬニュースも飛び込んできた。これは実は5月1日に森健良駐米公使が、ワシントンのセミナーで述べていたのだという。それが最近になって発覚した。これに関しては東田剛氏(恐らく中野剛志)が記事にしているので、そちらもご参照いただきたい。 エリートの堕落とモラル喪失は恐らく戦後始まって以来のレベルであろうと思う。間もなく日本は敗戦記念日を迎えるが、日本はずっと占領軍に基地を持たれた属国状態で、今度はいよいよ多国籍資本のネオ植民地に成り下がろうとしている。国を守るために最後まで戦った英霊たちに彼らエリートと呼ばれる人種は一体どうやって顔見世できるというのだろうか。 国民はいい加減マスコミやエリートに対する信頼や認識を改め、自ら行動を起こさねばならない。何でもエリート任せにして惰眠を貪っていては、このまま国は売られてしまい、植民地化されてしまうことだろう。 マハティール元首相ブログ 7月12日(「マスコミに載らない海外記事」さまより転載) 「THE TRANS PACIFIC PARTNERSHIP」 ————————————— 1. 通商産業大臣は、通商交渉は秘密裏に(担当官僚によってだろうと私は推測するが)行われなければならないと断言した。国民的論議がなされてはならず、政府内部でさえ議論されてはならないのだ。 2. もし実際にそれが習慣なのであれば、それは良い習慣だとは思わない。マレーシア政府が交渉した通商や他の協定の実績を検討してみよう。さほどマレーシアの役に立ったようには見えない。実際、協定類で、マレーシアは不利な条件を飲まされる結果となっているように見える。 3. 最初に、シンガポールとの水契約を見てみよう。マレーシアは原水1000ガロンを3セントで売ることに合意した。引き換えに、マレーシアは、12パーセント、あるいはそれ以下の処理済み水を、50セントで購入できる。価格改訂には、両国の合意が必要だ。 4. もしマレーシアが、価格を、1000ガロン6セント(つまり100パーセント)に上げれば、シンガポールは、同じ比率で、処理済み水1000ガロン、1ドルに値上げできる。これではマレーシアに恩恵はない。それで我々は決して価格再交渉をしようとしていない。 5. 最初の協定は、2011年に期限が切れたが、我々は全く再交渉しなかった。次の協定は、2060年に期限が切れる。そこで、生活費はおそらく何層倍も上がっているだろうのに、原水1000ガロンにつき、3セントの収入を得ることとなる。 6. マレーシアが原水価格を上げた場合に、シンガポールが水価格を改訂するのを防ぐべく、ジョホールは自前の浄水場建設に十分な資金を与えられた。シンガポールからの供給に依存する必要がなくなれば、シンガポールに処理済み水価格を上げさせずに、原水価格を上げることが可能になろうというわけだ。 … Continue reading

Posted in anti TPP, ネオリベ, マスコミ問題, マレーシア, 偏向報道, 反ネオリベ, 反TPP, 反新自由主義, 新自由主義, 日本, 日本社会, 民主主義

マハティール元首相「私が首相ならTPPに絶対参加しない」「日本人よ、いつまで米国の言いなりなのか!目を覚ませ!」

<当ブログ「橋下維新は答えではない!」シリーズ:橋下維新の正体↓> その①ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける その②形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている その③選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影 その④【地下鉄利権】関西私鉄幹部が大量に大阪市参与に就任していたことが判明。裏で進められる公共財の解体と簒奪。/一刻も早く橋下リコール運動を開始すべし。 その⑤【大阪地下鉄民営化利権続報】在阪マスコミは関西私鉄の事実上支配下にある!マスコミが橋下維新・地下鉄「民営化」問題を報じない理由 [マハティール元首相が来日] 先日マハティールのIMFとの戦いを中心にブログに書いたが、その後なぜかマハティールと日本に関連するニュースが舞い込んできた。偶然なのだが、驚いている。以下の記事もご参照いただければ幸いである。 当ブログ「IMFと戦い国民・国家を守ったマハティールに学ぶべし!」シリーズ その①:「政治の季節を迎えたマレーシアとマレーシア政治概説」 その②:「IMF「救済策」が明暗を分けた」 その③:「野党指導者アンワルとその「グローバル」人脈」 こちらもついでにどうぞ。続編記事のような形になっています↓ 「日本の「韓国化」を阻止せよ!:TPPによって日本の「韓国化」「ネオ植民地化」完成を目論むBKDを討て!」 前回の記事で少しだけご紹介したが、JB Pressにマハティール元首相の長いインタビュー記事が5月19日付で掲載された。その後マハティール氏は日本に来日し、23日にマレーシア議連の招きで日本の国会議員に対して講演を行った。25日には第18回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社・日本経済研究センター共催)で講演している。 この国際交流会議でのマハティールの発言を日本経済新聞が報じている。 <引用開始>—————————- マレーシアのマハティール・ビン・モハマド元首相は25日、第18回国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社・日本経済研究センター共催)で講演し、中国への外交姿勢について「中国が世界で自国製品を売れる市場を壊すことはない。敵と考える必要はない」と強調した。 アジアの安全保障については「紛争は平和的に解決すべきであり、安定につながるシステムを作る必要がある」と指摘。日中韓三国の関係では「緊張を減らし、善隣友好関係を築く義務がある」と述べた。 一方、アジアでの影響力確保を目指す米国の動きについては「軍事力で敵味方にアジアを分断するようなことをすべきではない」と注文をつけた。 環太平洋経済連携協定(TPP)については、「小さい国が巨人である米国と組むのは不平等だ。米国より小さい相手国にハンディキャップを設けるべきだ」と述べ、市場開放に一定の条件をつけるべきだとの見解を表明した。 <引用終わり>————————- このフォーラムでマハティール氏はどこまでTPPに関して突っ込んだ発言をしたのか不明である。仮にしていたとしてもTPP推進派である日本経済新聞共催のフォーラムであるし、また、報じているのも日本経済新聞であるから、何か重要な点が省略されている可能性がある。 [マハティール氏が重大発言「私が首相だったらTPPに絶対参加しない」] 実はこれに先立つ23日の議員懇談会において、マハティール元首相はTPP交渉にマレーシアが参加していることについて尋ねられ、「私が首相だったらTPPに絶対参加しない」と発言していたことが判明した。この懇談会に参加した国会議員がこれを伝えている。 三宅雪子衆議院議員のツイッターより。 <引用開始>—————- 「マハティール元首相との懇談会。「私が首相だったらTPP参加しなかった」に一同息を飲む。「アメリカは自国の利益だけを考える国」とも。野田総理に言って聞かせて欲しい。」 <引用終わり>————– また、首藤信彦衆議院議員もブログでこの時の模様を記している。 <引用開始>—————– 「マハティール元首相の言葉が心にしみる」 マレーシア議連で訪日中のマハティール元マレーシア首相を招き、日本とアジア太平洋の未来について話を聞く。現職時のあのはち切れるようなオーラはなかったけれど、86歳「カクシャクタル」と修飾語がつくような姿だった。部会や委員会が重なる中でも多くの議員がつめかけたけど、出席者の全員が「政治家とはこうあるものだ」と感じたのじゃないだろうか。 発展のモデルを日本にもとめ、日本が変節し西洋化したので、「古い」日本のモデルを求めたと、現在の日本にやんわりとしかし強烈な皮肉を述べていた。質疑で、TPPにマレーシアが参加していることを聞かれ、「私が首相だったら、絶対に参加しなかったろう」と述べていた。アメリカはアジアを分割して統治する方向で手を突っ込んでくるとも言っていた。中国の脅威に対するコメントでは、中国はいまだかってマレーシアを侵略したことはない、脅威とは考えない、そういうことは中国の利益にならないからだ...と分析していたが、最後に、もう一度マイクを握ってこう言った「日本は石油を止められて、戦争に走った。中国をそういう状況に追い込んではいけない」。 物静かに、単純に誠実に応答していたが、彼の言葉は乾いた砂にしみる水のように我々の心に染み入った。 <引用終わり>————– また、マハティール氏をこの日の懇談会に招いたマレーシア議連の加藤学衆議院議員もブログにこの時の模様を書いている。 <引用開始>—————– 本日、来日中のマハティール元マレーシア首相を国会にお呼びして、議員との意見交換会を開催しました。国会議員が40人近く出席し、マハティール氏のアジアの価値を大切にする一貫した考えに耳を傾けました。アメリカ発の実物経済ではない金融資本主義への警告、または中国脅威論をあおることの無意味さ、日本が働くことの倫理観をベースにした日本流の発展モデルから離れた時から、日本が弱体化している点などを指摘しました。 … Continue reading

Posted in anti TPP, マレーシア, 脱デフレ, TPP, 偏向報道, 原発, 反TPP, 反新自由主義, 放射能, 政治, 政治・時事問題, 日本, 日本社会

日本の「韓国化」を阻止せよ!:TPPによって日本の「韓国化」「ネオ植民地化」完成を目論むBKDを討て!

<当ブログ「橋下維新は答えではない!」シリーズ:橋下維新の正体↓> その①ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける その②形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている その③選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影 その④【地下鉄利権】関西私鉄幹部が大量に大阪市参与に就任していたことが判明。裏で進められる公共財の解体と簒奪。/一刻も早く橋下リコール運動を開始すべし。 その⑤【大阪地下鉄民営化利権続報】在阪マスコミは関西私鉄の事実上支配下にある!マスコミが橋下維新・地下鉄「民営化」問題を報じない理由 前回まで3回にわたってマレーシアに関する記事を書いた。その②とその③において述べたことは、ハゲタカファンドとIMFがアジア諸国に仕掛けたアジア通貨危機の中で、マレーシアのマハティールはその罠を看破し、海外勢とつるんだ国内IMF従属派との権力闘争に打ち勝ち、IMF策とは真っ向から反する性質の独自の緊急経済政策を導入することで危機を短期に脱することに成功したのに対し、タイ・インドネシア・韓国はIMF救済を受け入れたがためにさらに国民は苦しめられることになり、韓国に至っては国内経済を事実上外資に乗っ取られ、外資が経済を牛耳るようになった結果、政治までコントロールされるに至ったということだ。 現在日本の大手マスコミは米韓FTAを締結した韓国を羨望の眼差しで眺め、「韓国に遅れをとるな」などと絶叫をしながら、なおかつ具体的なメリットをなんら提示することなくTPP加盟を煽っているわけだが、米韓FTAとはその実態を見れば「韓国植民地化」の総仕上げであることがわかる。 (* なおこちらにマハティール元首相の最新インタビュー記事が掲載されていますので、ご参照ください。) [米韓FTAに盛り込まれた「毒素条項」] 今年3月に発効した米韓FTAは韓国国民にとっては一方的に不利な内容のものとなっている。随分前にネットで情報が出回っていたのでもうご覧になられた方も多いと思うが、米韓FTAに盛り込まれた所謂「毒素条項」についてあるサイトに以下の情報がまとめられて掲載されていた(元々は日経ビジネスオンラインに出ていた記事からの抜粋のようだ)。 <引用開始>——————————– (1)サービス市場開放のNegative list: サービス市場を全面的に開放する。例外的に禁止する品目だけを明記する。 (2)Ratchet条項: 一度規制を緩和するとどんなことがあっても元に戻せない、狂牛病が発生 しても牛肉の輸入を中断できない。 (3)Future most-favored-nation treatment: 未来最恵国待遇:今後、韓国が他の国とFTAを締結した場合、その条件が米国に対する条件よりも有利な場合は、米にも同じ条件を適用する。 (4)Snap-back: 自動車分野で韓国が協定に違反した場合、または米国製自動車の販売・流通に深刻な影響を及ぼすと米企業が判断した場合、米の自動車輸入関税2.5%撤廃を無効にする。 (5)ISD:Investor-State Dispute Settlement。 韓国に投資した企業が、韓国の政策によって損害を被った場合、世界銀行傘下の国際投資紛争仲裁センターに提訴できる。韓国で裁判は行わない。韓国にだけ適用。 (6)Non-Violation Complaint: 米国企業が期待した利益を得られなかった場合、韓国がFTAに違反していなくても、米国政府が米国企業の代わりに、国際機関に対して韓国を提訴できる。例えば米の民間医療保険会社が「韓国の公共制度である国民医療保険のせいで営業がうまくいかない」として、米国政府に対し韓国を提訴するよう求める可能性がある。韓米FTAに反対する人たちはこれが乱用されるので はないかと恐れている。 (7)韓国政府が規制の必要性を立証できない場合は、市場開放のための追加措置を取る必要が生じる。 (8)米企業・米国人に対しては、韓国の法律より韓米FTAを優先適用 例えば牛肉の場合、韓国では食用にできない部位を、米国法は加工用食肉として認めている。FTAが優先されると、そういった部位も輸入しなければならなくなる。また韓国法は、公共企業や放送局といった基幹となる企業において、外国人の持分を制限している。FTAが優先されると、韓国の全企業が外国人持分制限を撤廃する必要がある。外国人または外国企業の持分制限率は事業分野ごとに異なる。 (9)知的財産権を米が直接規制 例えば米国企業が、韓国のWEBサイトを閉鎖することができるようになる。韓国では現在、非営利目的で映画のレビューを書くためであれば、映画シーンのキャプチャー画像を1~2枚載せても、誰も文句を言わない。しかし、米国から見るとこれは著作権違反。このため、その掲示物い対して訴訟が始まれば、サイト閉鎖に追い込まれることが十分ありえる。非営利目的のBlogやSNSであっても、転載などで訴訟が多発する可能性あり。 (10)公企業の民営化 <引用終わり>——————————– TPPにおいて盛り込まれることが有力視されているISD(ISDS)であるが、注意を要する点は、これは投資家(即ち現地に投資をする企業や金融)が国家を訴えることができるという規定であって、その逆ではないということだ。つまり国家が係争に敗れた場合、賠償金を支払うのはその国の国民なのである。 … Continue reading

Posted in anti TPP, ネオリベ, マレーシア, TPP, 反ネオリベ, 反TPP, 反新自由主義, 政治, 政治・時事問題, 新自由主義, 日本, 日本社会, 民主主義 | 9 Comments

IMFと戦い国民・国家を守ったマハティールに学ぶべし!③:野党指導者アンワルとその「グローバル」人脈

<当ブログ「橋下維新は答えではない!」シリーズ:橋下維新の正体↓> その①ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける その②形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている その③選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影 その④【地下鉄利権】関西私鉄幹部が大量に大阪市参与に就任していたことが判明。裏で進められる公共財の解体と簒奪。/一刻も早く橋下リコール運動を開始すべし。 その⑤【大阪地下鉄民営化利権続報】在阪マスコミは関西私鉄の事実上支配下にある!マスコミが橋下維新・地下鉄「民営化」問題を報じない理由 今回の記事は前前回及び前回の記事の続きで、マレーシアの野党連合指導者アンワル・イブラヒム元副首相について書きたい。新たに見つけた資料を読むのに時間がかかり、記事を書くのが遅くなってしまった。 アンワルについて述べる上で欠かせないのはそのグローバル人脈である。アンワルはイスラム主義政党出身のエルドアン・トルコ首相と親しい関係にあるが、その反面、アジア通貨危機の際にIMF専務理事だったカムドシュ、クリントン米国政権のアル・ゴア副大統領(当時)やサマーズ財務副長官(当時)らとも親交があり、そして何よりも驚かされるのは、ユダヤ系のネオコンで「イラク戦争の建築家」であるポール・ウォルフォウィッツ元米国国防副長官・元世界銀行総裁と親友関係にあるということである。アンワルは絶大な人気を誇る一方、イスラム教を国教とするマレーシアにとってシオニスト、イスラエルは敵であり、ウォルフォウィッツたちとの関係からアンワルはユダヤの手先ではないのかという疑念が常に付きまとう政治家である。私もマレーシアにいる友人たちから常に二分したアンワル評を聞かされてきた。非常に評価の難しい政治家である。 [アンワルとIMFとマハティール:グローバル派と国民経済派の戦い] アンワルは1947年生まれで、先に述べたウォルフォウィッツは1943年生まれ、ゴアは1948年生まれで、この3人はほぼ同じ世代に属する。アンワルはマレーシアの最高学府とされるマラヤ大学を1971年に卒業し、前年に結成されたABIM(マレーシア・イスラム青年運動)の書記長として活躍、若いうちから頭角を現した。都市型中産階級を代表する近代的なイスラムによってマレー人の生活を向上させることを掲げ、青年層の支持を獲得していく。 マハティール首相(当時)はアンワルに注目し、1982年に与党UMNOに迎え入れた。同年行われた下院選挙で当選して政界入りを果たす。それ以降アンワルはマハティール政権下でトントン拍子に出世をしていく。1983年に文化・青年・スポーツ大臣にいきなり就任、1984年には農業大臣、1986年には教育大臣に就任した。1991年には財務大臣に就任、1993年には副首相も兼任するまでになった。マハティールとは親子のような関係であったという。マハティールも自らの後継者にアンワルを指名するつもりであったのだろう。 アンワルが蔵相だった時期に、彼は世界銀行、IMFなどの職務に携わることになり、「グローバル人脈」が形成されていくことになった。アジア通貨危機が進行中の1998年3月にはアンワルは世界銀行-IMF開発委員会議長に就任している。 2007年にイタリアで開催されたれた倫理と経済に関する国際フォーラムを紹介しているエッセイがあり、そのフォーラムで講演を行ったアンワルとカムドシュ元IMF専務理事について触れられている。筆者はこの二人の関係を以下のように紹介している。(なお筆者のマルゲリタ・ムーニーという人は宗教社会学者であり、この逸話もこの論説のテーマである信仰心と倫理の文脈で書かれているということに注意を払う必要がある。政治学関係の論説ではない。) 「ミシェル・カムドシュ元IMF専務理事とアンワル・イブラヒム元マレーシア副首相は共に信心深い信者である。彼らはIMFで働いている際に友人となり、お互いの信仰について語り合い、伝統を異にする(カトリックとイスラム)にもかかわらず多くの共通点を見出した。」 カムドシュIMF専務理事が1998年1月にマレーシアを訪れた際の記事(New Straits Times 1998年1月16日)では、カムドシュがアンワル財務大臣の打ち出した危機対策を評価していることを述べ、アンワルが政府歳出18%カットや公共事業の中断などの厳しい対策を採ることを発表したことを紹介している。 ところがマハティールは経済危機当初にアンワルが主導したこれらの政策を「アンワル、カムドシュ、ソロス… 1997年通貨危機との戦い」(2011年11月28日)という回想文の中で批判している。少々長くなるがここから引用する。 ——————————- 以前に私はカムドシュに会ったことがあり、彼は好人物に思えた。財務大臣兼副首相としてアンワルはIMFトップ(であるカムドシュ)にかなりの頻度で会談していた。私は通貨の投機取引は不必要であり発展途上国の経済に打撃を与えるので禁止してほしいとカムドシュに伝えてくれるようアンワルに依頼した。アンワルが私のメッセージをカムドシュに伝えてくれたのかどうかはわからないが、通貨の投機取引を禁止する手立ては全くとられなかった。 ——————————- <中略> ——————————- アンワルは国内で「IMFに頼らぬIMF式解決策」と知られるところの政策をやり始めた。しかしながら、ファンダメンタルでは我々は経済の問題には直面していなかったのだ。我々は対外債務を返済するために資金をIMFから借りる必要もなかった。それまでの借り入れは大した額ではなかったし、支払期限の迫ったものは殆どなかったのである。期限の迫ったものであっても、我々は支払うことが可能であった。しかし、我々がIMFから資金を借り入れる必要があるのかないのかということに関係なく、アンワルはマレーシアがIMFの助言を受け入れなければならないと感じたのだ。 我々の経済運営に対する国際的な信用を維持するためには、彼らの望むように経済運営を行い、彼らの言うことに従うべきであるとアンワルは信じていた。我々はまだ病気になってもいなかったのであるが、彼はIMFの薬が国際的停滞という病から立ち直らせることに役立つと考えたのだろう。だから彼は金利を引き上げ、財政支出をカットしたのだ。 その措置は政府職員の給与を支給するための財源を政府から奪ってしまうことになると、私はアンワルに警告をした。彼はまた、不良債権であると認定するまでの債務不履行の期間を6ヵ月から3ヵ月に短縮した。これによって銀行は大量の不良債権を抱え込んでいるということにされ、借り手を倒産に追い込むことになった。ビジネスは減速した。これによって本来の病が訪れたのである。IMFの薬は治療法などではなく、これこそが病の原因であったのである。しかしアンワルはその路線を推し進めたのである。 ——————————- ‘Tun Dr Mahathir : Anwar, Camdessus, Soros… Fight the Currency Crisis … Continue reading

Posted in マレーシア, 政治, 政治・時事問題, 民主主義 | 5 Comments

IMFと戦い国民・国家を守ったマハティールに学ぶべし!②IMF「救済策」が明暗を分けた

<当ブログ「橋下維新は答えではない!」シリーズ:橋下維新の正体↓> その①ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける その②形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている その③選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影 その④【地下鉄利権】関西私鉄幹部が大量に大阪市参与に就任していたことが判明。裏で進められる公共財の解体と簒奪。/一刻も早く橋下リコール運動を開始すべし。 その⑤【大阪地下鉄民営化利権続報】在阪マスコミは関西私鉄の事実上支配下にある!マスコミが橋下維新・地下鉄「民営化」問題を報じない理由 今回は前回の記事の続きである。97年にアジアを襲ったアジア通貨危機に対してマハティール・マレーシア首相(当時)はIMF支援を拒否し、独自の経済政策を行うことになる。IMF救済策を受け入れた国々とで明暗が分かれることになる。この記事の本題に入る前にフランス大統領選について述べたい。この記事で述べる内容と密接に関連する内容であるからだ。 [民衆のちゃぶ台返し:フランス大統領選・ギリシャ議会選「金融支配にNO!」] フランス大統領選挙でオランド候補が勝利したとの嬉しいニュースが入ってきた。僅差の勝利ではあるが、現職候補を倒すのは31年ぶりのことであるから画期的である。サルコジの新自由主義グローバリズム路線が否定されたことになる。 またギリシャ議会選挙でも左右両極の政党が躍進し、大連立与党が過半数に達しない見通しとなった。ギリシャは緊縮財政路線と引き換えの「救済策」を国民投票にかけようとしたが、サルコジ・フランス大統領(当時)とメルケル・ドイツ首相の介入によって潰され、与野党が大連立を組みその救済策の実行に当たっていたが、国民はそれに怒り、連日激しい抗議デモを繰り広げていた。政権の枠組みがどのようになるか情勢は流動的であるが、「救済策」は否定されたわけであり、ギリシャはユーロ離脱に向けて動き出すことになる可能性が十分でてきた。 欧州各国はサルコジの主導で「緊縮財政路線」を受け入れたものの、フランス国民もギリシャ国民も、そのサルコジの置き土産として策定した路線にNOを突きつけたわけである。オランダでもこの緊縮財政路線をめぐって閣内が紛糾し、内閣が崩壊している。そもそもユーロ導入によって各国の中央銀行がなくなりヨーロッパ中央銀行に一元化されるなかで、財政政策で各国に裁量権を与えず、しかも緊縮財政路線を推し進めること自体が現実離れしているように思える。 今後ユーロが崩壊する可能性も十分あると思うが、それは各国が中央銀行を取り戻すことでもあるわけである。 田中康夫・衆議院議員のツイッターより引用する。 —————————- フランソワ・オランド候補 「私の真の敵対者。それは名前も顔も持たず、党派も持っていない。選挙に名乗りを上げる事はなく、従って(選挙で)選ばれる事もない。にも拘らず我々を支配する。敵対者、それは金融界だ」 —————————- オランド氏には、支配体制側の攻撃を受けて崩壊した鳩山政権や、「チェンジ」に失敗して金融界に取り込まれたオバマ大統領のようにならないよう、くれぐれも気をつけてほしいと願う。変革を支持したフランス民衆もしっかりと新政権を支えてほしい。 前置きが長くなった。話をマレーシアに戻そう。 今回なぜマハティールがIMF及びハゲタカ資本と対決した話を書こうと思ったのかは、フランス大統領選挙でオランド候補が勝利するだろうと予測していたからである。マハティールが採った危機対処法はIMFのそれを真っ向から否定するもので、しかもマレーシアはそれによって危機を短期に脱することができた。マハティールは巨大資本の投機取引規制を訴えたにもかかわらず、グローバリズムで世界を飛び回る資本には規制が及ばず、あちこちで危機を引き起こし、そしてそれへの対処法としてIMFなどが打ち出すのは、相も変らず庶民を痛めつける「緊縮財政路線」なのである。IMFの「救済策」を受け入れた韓国やインドネシアはその後一体どうなったというのか。 根本的な原因である巨大資本とグローバリズムそのものへの規制をしようという話には決してならないのであるから、彼らの主張する「現実的」なるものが実際は「現実逃避」に他ならないのではないだろうか。あるいは「確信犯」なのではないかという疑念も強くなる。そもそも彼らは既にマハティールに敗れているのである。であるからこそ、グローバル金融界や御用エコノミストにとって耳の痛いマハティールとアジア通貨危機の話を再度ここで書きたいと思うのだ。 [アジア通貨危機とマハティール] 1997年7月東南アジアを通貨危機が襲った。タイバーツが暴落し、それがマレーシア・インドネシア・韓国に瞬く間に飛び火した。マレーシアの通貨リンギットは1米ドル=2.50リンギットから1米ドル=4.20リンギットと1年で40%も暴落した。 マハティール・マレーシア首相(当時)はそれまでペトロナス・ツインタワーに象徴される巨大プロジェクトを推進し、マレーシア発展の象徴として国威発揚にもつながってきていたのだが、新行政都市プトラジャヤの建設やショッピングモール建設などのプロジェクトが一時凍結に追い込まれた。しかしマハティールはそれに屈することなく、あくまでマレーシアの自力での解決を模索し、IMF(国際通貨基金)やヘッジファンドを敵に回して戦うことにしたのだ。 マハティールは通貨危機の原因をヘッジファンドによる投機取引が原因であると看破し、ジョージ・ソロスを名指しで「ごろつき」と罵倒した。倒産する企業が増え、通貨危機がマレーシア経済に悪影響を及ぼす中、マハティールは98年9月資本が海外に逃げ出すことを阻止するために、短期資本取引規制という両刃の剣ともなる策を思い切って導入する。結果として投機資本を狙い打ちにして打撃を与えることにもなった。投機資本を排除して純粋な投資のための資本のみを受け入れ、内需を刺激して経済を回すという性格のものであった。 そして通貨リンギットの暴落を阻止するために、1米ドル=3.80リンギットという固定レートを定めた(* なお、その後固定相場制から通貨バスケット制へ移行し、現在は1米ドル=3.05リンギット前後となっているが、リンギットの国外持ち出しには制限が設けられている)。マハティールはさらに金利の引き下げを行うと同時にインフラ開発の公共事業を継続し、内需の刺激を図った。 一方、IMF支援を受け入れた韓国・タイ・インドネシアは、支援と引き換えに、緊縮財政と通貨価値維持のための高金利政策、外資への市場開放などの急進的な新自由主義的構造改革を受け入れさせられている。 こうしたマハティールの大胆な策はグローバリズムと市場自由化の流れと完全に逆行するものであったため、自由市場万能を奉じるエコノミストたちや投資家達から一斉に非難を浴びせられる。英エコノミスト誌はIMF救済を受け入れたインドネシアを持ち上げる一方、マレーシアをこきおろした。また、1998年11月に開催されたAPECでマレーシアを訪れていたクリントン米政権副大統領のアル・ゴアが、ホストであるマハティールの面前で、「タイや韓国などの民主主義国家は、自由のない国家よりも経済危機にうまく対処している」と、およそ外交儀礼をあえて踏みにじってまでマレーシアをこきおろす発言をし、物議をかもした。 さらにマハティールの政策は国内でも反発が出た。マハティールは1998年9月1日に一連の資本統制策と対ドルレート固定を発表したが、その前日には中央銀行総裁が抗議して辞任。副首相のアンワルはIMF支援を支持して抵抗した。アンワルは次期首相となるのが確実視されていた人物であるが、カムドシュIMF専務理事やサマーズ財務副長官と親交があり、IMFの推し進める市場原理主義的な構造改革と緊縮財政が不可欠と考えていたため、前年からマハティールとの不和が目立つようになっていた。そしてマハティールは危機対策を発表した翌日の9月2日アンワル副首相を解任、その翌日の9月3日にアンワルを政権与党UMNOから除名した。下野したアンワルは反政府運動を開始、デモの規模は拡大して不穏な情勢となり、デモ隊がUMNO本部や首相公邸に向けてデモ行進を始めるに及び、マハティールは治安維持法でアンワルを逮捕・拘束した。アンワルは後に同性愛と職権乱用の容疑で起訴され、職権乱用で有罪となった(なおアンワルに関しては次回の記事で詳しく述べたい)。このマハティールの強権的手法には非難が集まったが、マハティール自身が自らの後継者としていたアンワルを解任までしなければいけなかったのはどうしてなのだろうか。そこまでして彼が断固として拒否したIMF「救済策」とは一体何であったのか。 [軍配はマハティールに。IMF救済策受け入れが明暗を分ける] マハティールが一連の経済対策を実行した結果、内需主導で短期にマレーシア経済は回復軌道に乗った。GDPは98年第4四半期にはマイナス11.2%まで落ち込んでいたが、99年第1四半期にマイナス1.5%、第2四半期にはプラス4.8%に回復した。貿易収支も98年に黒字に転換し、99年9月には株式売却益海外送金禁止の資本規制が導入から1年で撤廃されている。その後も今日に至るまでマレーシア経済は順調に推移している。 一方IMF救済策を受け入れたタイ・インドネシア・韓国はどうなったであろうか。90年代のタイは好景気で、通貨バーツはカンボジアやミャンマーなどの周辺諸国でも流通し、「バーツ経済圏」を形成していた。97年にタイバーツがヘッジファンドに売り浴びせられた後、タイ中央銀行は外貨準備を切り崩してバーツ買い介入をし、ヘッジファンドとの壮絶な戦争状態になるが、バーツ下落は止まらず1米ドル=25バーツだったものが1米ドル=50バーツと大幅に下落し、事実上自力で買い支えることができなくなった。タイはIMFに支援を求め、その結果受け入れさせられた緊縮財政と高率の金利のために総需要が減少し、倒産・リストラの嵐に見舞われ、街は失業者で溢れかえった。マレーシアと全く逆の政策を行い、逆の結果となったと言える。また通貨危機に対処できなかったために97年末チャワリット政権は崩壊している。99年ごろから輸出を中心に経済は回復の兆しを見せ、2001年からのタクシン政権下で公共事業を積極的に行い、好景気となる。しかしタクシンが追放された後、政情不安定な状態が続いてきた。 インドネシアはタイとは少々異なる経緯で少し遅れて通貨危機に見舞われた。通貨危機とIMF支援策によって社会不安に見舞われ、大規模なデモが発生、暴徒化し、30年以上も君臨してきたスハルトは98年3月の選挙で大統領に7選されたばかりであったが、2ヵ月後の5月に辞任に追い込まれた。その後を継いだハビビ政権下でも社会不安が続いた。失業者は増え、貧富の差は拡大し、社会問題となっている。 韓国はこれら3つの国の中で最も打撃を蒙ったと言えるのではないだろうか。韓国が最もIMFの救済策に忠実に従ったということも、被害を大きなものにしていると思われる。韓国の危機は財閥グループや起亜自動車の経営悪化に端を発し、1997年11月までに格付け会社ムーディーズが韓国の格付けをA1からBaa2にまで段階的に引き下げた結果、株式の下落に拍車をかけた。多くの企業が倒産し、失業者で溢れることとなった。97年12月に韓国はデフォルト状態となり、IMFと合意を結び、IMF管理下に入る。この合意は「財閥解体」「金融機関のリストラと構造改革」「通商障壁の自由化」「外国資本投資の自由化」「企業ガバナンスの透明化」「労働市場改革」などの過酷な新自由主義的構造改革が柱となっていた。2001年8月に3年8ヶ月にわたるIMF管理から脱したものの、その間に国営企業は民営化させられ、外国資本に対して国内市場を全面的に開放させられた結果、金融と大企業が外資に乗っ取られてしまった。つまり国内経済そのものが外資に乗っ取られてしまったことを意味している。その後一時期経済が持ち直したかに見える時期もあったが、2003年ごろから金融不安に見舞われるようになった。輸出産業は好調であるが、それが全ての労働者に職を与えうるはずもなく、新規大学卒業者が就職先を見つけるのは困難な状態が続いている。韓国も日本と同様に富裕層と貧困層の格差が顕著となり「二極化」が社会問題となっている。 韓国が韓国国民にとって圧倒的に不利な内容の米韓FTAを締結した背景には、韓国金融機関や主要企業が外資に支配されているということが非常に大きい。政治家の多くはこれらの企業に「買われた」も同然の状態なのだと想像する。 [国を守るという意味] これらの国々の経緯を見るとき、あたかも投機筋や格付け会社とIMFは最初から示し合わせてでもいたかのような展開となっており、実際にそういう指摘も一部でなされている。たとえ経済指標が数字の上で回復したのだとしても、国民が安心して働き生活することができないような社会になって、本当に回復したなどと言えるのであろうか。最終的に誰が利益を得たのかを見れば、そこに住む国民ではなく、外国資本であるのは明らかである。 当初マハティールは「世界の常識」に異を唱えてIMFに楯突いた変人として扱われ、非難を浴びたが、マハティールは当初からヘッジファンドの投機取引が通貨危機の原因であること、IMF救済策がいかなる結果を招くのかを見抜いて、その逆を行く経済政策を果敢に行うことでマレーシア及び国民を守ったのだと言えるだろう。その後ジェフリー・サックスやポール・クルーグマンといった経済学者もIMFの救済策に対して反対の立場を表明している。 日本も韓国ほどひどい状態ではないが、外資に半ば乗っ取られたも同然となっている。以前の記事にも同じ事を書いたのでそちらもぜひご参照いただきたいが、橋本内閣で進められた規制緩和と小泉内閣で進められた構造改革で、外資の乗っ取りが一気に進んでしまった。賃金は上がらぬ一方、企業役員の報酬はうなぎのぼりとなって、貧富の差は極端に開いた。地方は疲弊し、地域社会は崩壊の危機を迎えている。失意のうちに自殺を遂げる人たちが毎年3万人に上るという異常事態がずっと続いているというのに、「自己責任」という名の無責任論が流布され、抜本的な対策は採られぬままである。「自殺を未然に防ぐ」などというのは対処療法にしか過ぎないのであり、根本的な解決にはならないのである。 … Continue reading

Posted in anti TPP, ネオリベ, マレーシア, TPP, 反ネオリベ, 反TPP, 反新自由主義, 政治, 政治・時事問題, 新自由主義, 日本, 日本社会, 民主主義 | 9 Comments

IMFと戦い国民・国家を守ったマハティールに学ぶべし! ①政治の季節を迎えたマレーシアとマレーシア政治概説

<当ブログ「橋下維新は答えではない!」シリーズ:橋下維新の正体↓> その①ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける その②形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている その③選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影 その④【地下鉄利権】関西私鉄幹部が大量に大阪市参与に就任していたことが判明。裏で進められる公共財の解体と簒奪。/一刻も早く橋下リコール運動を開始すべし。 その⑤【大阪地下鉄民営化利権続報】在阪マスコミは関西私鉄の事実上支配下にある!マスコミが橋下維新・地下鉄「民営化」問題を報じない理由 今回はちょっと趣を変えて、マレーシアのマハティール首相(当時)がアジア通貨危機にどのように対処したのかということを、マレーシア情勢とともに書きたいと思う。なぜなら骨抜きにされてしまった現在の日本人がここから学ぶべきことが多いと感じるからだ。 本稿はマレーシア事情にあまり詳しくない方にも容易にご理解いただけるよう、3回にわけて書くことにする。最初の記事(今回の記事)では、最近発生した大規模反政府デモとマレーシア政治の概略について、2回目の記事では本稿のメイントピックであるマハティールとIMFとの対決について、3回目の記事では野党指導者アンワル・イブラヒムについて述べたい。 今回の記事の特に後半部は少々退屈なものになると思うが、以降の記事を読む上での予備知識として有用であると思うので、ご了承いただきたい。 [政治の季節を迎えたマレーシア] 総選挙が今年か来年に予定されているマレーシアで4月28日、マレーシア主要各都市及び海外20カ国あまりで、”Bersih”「クリーン」と題した大規模反政府集会が一斉に催された。政治改革・選挙制度改革を求めたものとして各国メディアが報じたが、オーストラリア企業Lynasがマレーシア・パハン州に建設中(現在建設が中断)のレアアース精錬工場が精錬の際に放射性物質を出すという問題が、福島原発事故を経て大問題化し、それに対する抗議も今回のデモの大きなテーマの一つとなっている。前回2008年の総選挙で大躍進した野党各党も今回のデモを全面的に支援している。 首都クアラルンプールでの集会には10万人以上が参加した。参加者は黄色のシャツに身を包み、当初は和やかなムードで行われていたが、治安部隊と衝突し、治安部隊側は催涙弾を発砲、放水車が導入され、多数の逮捕者・負傷者が出た。デモ隊の中に政府側が忍び込ませたと思われる多数の活動家たちがいざこざを起こし、そこに警官隊が襲い掛かるということが行われたと参加者サイドから多数の報告が出て、撮影された写真がフェイスブックで出回っている。 取材していたメディアの記者も警官隊に暴行を加えられた結果、中華系の新聞を中心にこの問題を大き報じ、却って政府側にはマイナスに作用している。以前の記事にも書いたが、マレーシアでは新聞・テレビというメディアはその殆どが政府系で、そのためインターネット・メディアが都市部で飛躍的に伸びていたが、ここにきて新聞も政府の統制が徐々に及ばなくなってきていることが伺える。 変化を求める機運が年々高まってきているのは事実で、今後の展開次第ではマレーシアで政権交代が起こってもおかしくない情勢になってきたように思える。 しかし、私個人としては今回のデモに対し、今ひとつ釈然としない印象を持っている。それは現在のナジブ首相が政権運営において大きな失政があるとは言いがたいからだ。経済も好調であり、なぜ今変らなければならないのかの積極的理由が実はあまり見つけにくい状況である。 この問題は現在調べている最中で、3回目の記事で少し触れることになると思うが、野党連合のカリスマ指導者であるアンワル・イブラヒム元副首相という政治家をどう評価するのかという問題に大きく関わっている。現在進行形の事象に分析を加えるのは非常に難しいことである。 [マレーシアの政治概略] マレーシアは調査によってばらつきはあるが、概ねマレー系約5割、中華系3割弱、インド系約1割の他にオランアスリと呼ばれる先住民系や、タイ系住民、ボルネオ島のサバ州・サラワク州を中心にキリスト教系の先住民が暮らす多民族国家である。マレー系国民は全てイスラム教徒で、国教はイスラム教であるが、世俗主義でその他の人々には信教の自由が認められている。そのため、ボルネオ島先住民を中心に多数のキリスト教徒(カトリック及び宗派が非常に多いプロテスタント)がおり、中華系を中心に仏教徒・道教徒、インド系を中心にヒンズー教徒(南インド系が中心)や少数ながらシーク教徒がいる。またマレー系以外でもイスラム教に改宗した人たちも多い。 1957年にマラヤ連邦が独立し、その後63年にシンガポール・英領北ボルネオ・英領サラワクが加わり、マレーシアが成立。しかし、政治路線の対立から65年にシンガポールがマレーシアから事実上追い出される形で、リー・クアンユーに率いられ分離・独立している。以後も民族間の軋轢は続き、69年の総選挙直後にマレーシア史上最悪のマレー系と中華系の民族衝突事件が起こっている。 民族問題はセンシティブな問題とされ、公の場で口にすることがタブー視されている。民族融和という課題は常にマレーシアにつきまとう問題である。政党は主に政策別ではなく民族別に構成されている。ボルネオ島のサバ州・サラワク州では民族間の軋轢は小さいが、半島部では民族間の相互不信の傾向が強く、軋轢が表面化するのを避けるために、基本的に他の民族の事柄には介入しないというのが通常のスタイルである。衝突事件を経た後のマレーシア人のひとつの知恵であると言える。 マレーシアで採用されている選挙制度は小選挙区制であるが、極めて政党の多い国である。それはマレーシアが多民族国家であることと、歴史的な経緯が関連している。政策別というよりは民族別に政党が作られ、主にこれらの多くの政党が連合してバリサン・ナショナル(BN、国民戦線)というプラットフォームを形成し、独立以来名称は変っているがほぼ同じ枠組みで政権を担ってきている。その中核を占めるのがUMNO(統一マレー国民組織)で、その他の主要政党としてMCA(マレーシア華人協会)、MIC(マレーシア・インド系会議)、グラカン(マレーシア人民運動党)があり、他サバ州・サラワク州の多数の小政党が加わっている。これらの政党集合体が与党連合BNを形成することで、政治は事実上独占されてきたといっていい。歴代首相は常に最大与党のUMNOから選ばれてきた。 一方野党は中華系が主体のDAP (民主行動党)、UMNOから分裂したイスラム原理主義のPAS(全マレーシア・イスラム党)、そして次回の記事で述べるが、アンワル元副首相が率いるマレー系主体のPKR(人民正義党)があり、現在パカタン・ラクヤット(PR、人民同盟)というプラットフォームを築き、与党連合BNとの対決姿勢を鮮明にしている。 22年間君臨したマハティールが2003年に引退した後、アブドラ・バダウィを経て、現在のナジブ・ラザクへと政権がやはり同じ与党の枠組みで引き継がれている。アブドラは当初その清廉なイメージで絶大な人気を誇り、2004年総選挙を与党連合の大勝に導いたが、任期中には引退したマハティールがアブドラの政策に苦言を呈するなど軋轢が表面化、終盤には人気が凋落し、2008年の選挙ではそれまで与党連合が保持していた議席3分の2を割り込む、マレーシアの選挙としては大敗といえる結果となり、2009年に辞任した。 ナジブ・ラザクが首相の座に就く前は、フランスからの潜水艦購入時のスキャンダル疑惑や、それに関わったモンゴル人女性通訳とのスキャンダル疑惑、及び実際に起こったその女性の爆殺事件への関与疑惑などの噂がインターネットで盛んに流された。しかし、政権に就いたナジブは現在のところ無難に政権運営をしており、大きな失政もない状態で、マレーシア経済は好調を保っている。前任者のアブドラよりもはるかに良いというのが率直な印象だ。 野党側は与党連合の金権汚職体質を批判するために「クリーン」というスローガンを掲げ、パカタン・ラクヤット(PR、人民同盟)というプラットフォームを築いてはいるものの、野党各党の掲げる政策はバラバラで、統一性のないものである。華人系のDAP(民主行動党)はシンガポール与党の人民行動党に近い政党で、UMNOから分裂したイスラム原理主義のPAS(全マレーシア・イスラム党)との政策の隔たりは大きい。その間をアンワル・イブラヒム元副首相率いるマレー系のPKR(人民正義党)が取り持ち、選挙協力体制を整えることで、野党連合はかろうじて機能している。 しかし、野党側に好意的なインターネット・メディアが都市部を中心に普及し、2008年の総選挙で野党連合は一気に82議席を獲得、州議会選挙でも13州のうち5州を制し、大躍進した。そして上に述べたようなデモ・集会を定期的に行うことで支持を拡大している。今年か来年に行われるはずの総選挙はどうなるのか予測のつかない状態になってきたといえる。 <続編記事> 「IMFと戦い国民・国家を守ったマハティールに学ぶべし!:②IMF「救済策」が明暗を分けた」(5月8日) 「IMFと戦い国民・国家を守ったマハティールに学ぶべし!③:野党指導者アンワルとその「グローバル」人脈」(5月18日) (註:マレーシアでは民族問題を扱う際、「エスニック・グループ “ethnic group”」とは言わず、「民族 “race”」という言葉を用いるのが一般的で、社会科学の用語としては違和感を持たれる方もおられると思うが、本稿もそれに従って表記している。) ↓↓日本ブログ村政治ブログランキング このボタンをクリックしてご支持いただくことで、情報をより多くの方々に拡散することができます。ご協力お願いします。

Posted in マレーシア, 政治, 政治・時事問題, 民主主義 | 7 Comments