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世界的に見ても異常に高額な供託金制度が国民の参政権を侵害している / 1%代理人ばかりが選出されるインチキ民主主義のカラクリ

<8月9日追記> この記事を出した後、Yoshida Umeさまが供託金を廃止するための署名運動を立ち上げてくださりました。供託金の問題に選挙戦のさなか言及していた三宅洋平氏も署名し、拡散に協力くださっています。ぜひ皆様にもご協力いただければ幸いです。以下のサイトで署名できます。 供託金をタダにしよう!または、限りなくタダに近くしよう! [被選挙権を制限する供託金制度] 前回の記事で書きたかった話を今回書きたい。 「参政権」という言葉を聞くとき、殆どの人が真っ先に思い浮かべるのは、選挙権のことであると思うが、投票する権利である「選挙権」に加え、立候補する権利である「被選挙権」も参政権の重要な一部である。 大日本帝国憲法の下に置かれた帝国議会での選挙権は当初直接国税を既定の額以上を収めた男子のみに与えられていたが、普選運動の盛り上がりに連れて徐々にその範囲は広められ、1925年(大正14年)の衆議院選挙法改正で20歳以上の男子全てに選挙権が与えられた。これは普通選挙と呼ばれているが、選挙権は依然として男子に限定された制限選挙であった。戦後新憲法の下では、選挙権は20歳以上の日本国籍保有者に与えられている。 もう一つの参政権である「被選挙権」については、現在では投票日時点の年齢で25歳以上の日本国籍保有者に衆議院議員・都道府県及び市町村議会議員・市町村長の選挙に出馬する権利が与えられ、30歳以上の日本国籍保有者に参議院議員・都道府県知事の選挙に出馬する権利が与えられることと教科書的には説明されている。 一見すると、戦後日本は高度に開かれた民主主義を普通選挙によって実現しているように見える。しかし「被選挙権」に関しては戦前から一貫して事実上制限されており、その制限は戦後においても取り払われたとは言い難い状況である。この「被選挙権」を制限しているのがここで取り上げる供託金である。 供託金制度は男子普通選挙と同時に導入されたものである。売名行為をするためだけに立候補をするような泡沫候補を排除するという名目でこの高額な供託金が導入されているのだが、これは当時盛り上がっていた無産者運動の候補者を排除する目的であったのは明らかである。 この「被選挙権」を事実上制限する供託金制度は戦後になっても廃止されることなく、しかも額面が高騰し続けていることが上の表からわかる(サイト:「選挙供託金制度」参照)。現在の供託金の詳細は以下の通りとなっている(ウィキペディアより)。 [世界的に見ても異常に高い日本の供託金] 供託金制度は日本に限った制度ではないが、下の表からもわかる通り、日本だけ世界的に見ても異常に高額の供託金を課せられていることがわかる。シンガポールは供託金が高額であるが事実上一党独裁の国家であり、開かれた民主主義の国とは言い難い。また韓国・台湾が高額であるが、詳細は知らないが、長らく日本の植民地であったことと関係があるかも知れない。 いわゆる西側先進諸国ではイギリス・カナダ・アイルランド・豪州・ニュージーランド等に供託金制度があるが、日本とは物価水準を考慮に入れても比較にならないほど安い金額が設定されていることがわかる。簡単に言えば、日本の市議会議員選挙に出るための供託金だけで、イギリスでは3回国政選挙に出ることができる。日本の衆議院選挙小選挙区に1回出馬するための供託金で、イギリスではおよそ39回も国政選挙に出ることができるのである。比例重複であれば、イギリスではその倍の78回選挙に出ることができるのだ。 また米国・フランス・ドイツ・イタリアには供託金制度そのものがない。つまりこうした国々では、日本と比べるとはるかに容易に国民が選挙に出ることができるのである。日本の供託金がいかに高額で馬鹿げたものであるかがこのことからもわかる。被選挙権は年齢を満たせば与えられるのではなく、実際には300万円ないし600万円ものカネが供託金として準備できる者のみに与えられているのである。この異常に高額な供託金によって日本の選挙は普通選挙ではなく、事実上の制限選挙になってしまっているのだ。 バブルに沸いた80年代ならまだしも、こんなデフレ経済で庶民が喘いでいるご時世で一体どこの庶民がポッと300万から600万のカネを用意できるというのだろうか。しかもバブル経済が崩壊した1991年2月以後も、1992年に供託金は200万円から一気に300万円まで引き上げられているのだから驚きである。 [憲法に違反する供託金制度] 法の下の平等を規定した日本国憲法第14条の第1項では「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」とされている。 また、両議院の議員及び選挙人の資格を規定した日本国憲法第44条では「両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない」と定められている。 被選挙権を異常に高額な供託金によって制限する現在の供託金制度は、これらの条文にも明らかに違反していると言えるのではないだろうか。 高額なカネが用意できる才能と、優れた政策・法律を立案する能力とは本来全く関係のないことであるのは明らかである。売名行為の為だけに立候補する類の泡沫候補を排除するのが本当の目的であるのならば、米国やフランスで導入されている「一定数の有権者からの推薦署名を集める」といった措置で代替できるものである。またウィキペディアによれば、「イギリスでは供託金が低く日本よりも簡単に立候補できるため売名候補は多いものの、それにより目立った弊害が起きているとは認識されていない」。 つまりこれは組織力・資金力のない候補を排除するものでしかない。巨大資本が政治を牛耳るのに誠に都合の良い制度である。中間団体が弱体化してしまい、資本の力がかつてないほど強大化した現在、もたらされるのは資本による政治の露骨な買収である。 [中間団体の弱体化、個人のアトム化と日本型民主主義の衰退 / 1%による政治の買収] 従来も供託金が高額であったにも拘らず、さして問題視されることがなかった背景には、それまで中間団体が資金力もあり、それなりに力を持ち、日本の政治が比較的バランスの取れたものであったということが考えられる。中間団体は政党に対して影響力を行使しえたため、アクター間の押し合いへし合いは結果としてバランスをとることに寄与した。また中選挙区制という日本独特の選挙制度も、この日本型民主主義と呼ぶべき微妙なバランスの維持に寄与してきたと言える。 戦後長らく自民党の一党独裁体制であったが、最大野党として社会党が君臨し権力の監視機能を果たし、その中でマスコミも権力監視の一定の役割を果たしてきたと言える。自民党の中の派閥が事実上の政党の役割を果たしており、派閥抗争は政権交代が起こらぬ中で政治の流動性を維持する役目を果たしたと考えられる。当時は官僚もマスコミもまだ国民を裏切ってはいなかった。 しかしバブル崩壊後、ビッグバンを経て外資による国内経済乗っ取りが進むと同時に、中間団体は「抵抗勢力」「既得権益者」として叩かれ弱体化、労働組合も終身雇用制の崩壊と正規雇用の減少と並行して急激に弱体化した。中間団体が弱体化することで、個々人におけるアトム化が特に都市部において顕著となった。従来保たれていたアクター間のパワーバランスがここで一気に崩壊し、(外資も含めた)巨大資本の力だけが突出することとなった。マスコミの新自由主義への「転向」はこうした事情を背景にしていると私は考える。そして勝者総取りの小選挙区制が、これまでの共存型の日本型民主主義の破壊を加速したと言える。 中間団体が弱体化する一方で、巨大資本の力だけが突出するようになった今日の状況で、今回の記事で検証してきた高額の供託金はどのような意味を持つだろうか。それは1%巨大資本による政治の買収であると私は思う。 安倍自民は、「古き良き自民」の復活とTPP反対を託した地方の人々の願いを踏みにじり、竹中平蔵や伊藤元重といった新自由主義者やグローバル資本の代表たちをブレーンに起用し、TPP交渉に加盟、更に構造改革・道州制を推し進めようとしている。つまり安倍政権は、地方や国民に寄り添う政権なのではなく、巨大グローバル資本に寄り添う政権であることはもはや明白である。 一方の中道左派野党は、今回の参院選でその弱体化が顕著に表れた。地方組織が脆弱なだけでなく、もはや候補を擁立する力がないのである。選挙費用がかかるのみならず、最初に供託金を用意できなければならないことも重くのしかかる。このまま手をこまねいていては、敗北が弱体化を招き、更なる敗北を呼ぶ負のスパイラルから抜けられなくなるだろう。共産党ですら近年では候補者数を減らす傾向にある。 中道左派が益々弱体化する一方で、みんなの党・橋下維新・民主という新自由主義勢力が政界再編で結集しようとしている。つまり今後国民の前に提示される選択肢は「新自由主義の安倍自民」か「新自由主義の野党連合」か(あるいは政権を取る気もないガス抜きのための共産党)の選択、つまり「1%による二大政党制」というおぞましい構図である。 中間団体が淘汰に追い込まれた後に残るのは、どちらも上位1%支配層の利害を反映する勢力でしかない。どっちを選んでももたらされる結果に大差はない。政権交代が起ころうが起こらまいが、政治を実際に牛耳るのは巨大資本であり、もはやここには庶民の選択の自由はないのである。その時点で民主主義はインチキであり、茶番となる。 ここに至って、新たな政治勢力が出現するのを大きく阻む高額な供託金という壁に直面するのである。現在その権力を手にしている1%側の利害を代弁している政党は、決して供託金を廃止しようとしないだろう。これは彼らのパトロンである巨大資本が権力を維持するために必要な経費なのである。 かつて2008年に一度だけ当時の自民党政権が供託金を3分の2まで引き下げようと試みたことがあった。これは当時既に資金難から擁立候補数を絞り込む傾向にあった共産党に候補を多数擁立させ、民主党の政権奪取を阻止するのが狙いの、自民党の利害を著しく反映したものであった。このとき、政権交代を目前にした民主党(代表:小沢一郎)は反対に回っている。その後2009年7月衆議院が解散されたため廃案となった(リンク)。 供託金を廃止するためには、裁判で違憲判決を勝ち取るか、あるいは供託金廃止を掲げる政治勢力に権力を取らせて公職選挙法を改正するしかない。 我々はなんとしても地方・中小企業者・サラリーマン・非正規雇用・各種中間団体といった99%の利害を代表する政治勢力をこの3年間で結集しなければならないのは明らかである。私はその運動の核になるのは山本太郎であると思っている(これについては次回の記事で述べる予定)。なんとか最後の力を振り絞って旗を掲げ、候補者を選出し、資金を集めるということを着実に進めていかなければならない。そして、新たな政治勢力を旗揚げできる暁には、世界的に見ても異常かつ憲法の趣旨にも明らかに違反している供託金の廃止をその公約に掲げて頂きたいと希望する。 <参考サイト> 選挙供託金制度 … Continue reading

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安倍自民圧勝と冬の時代の到来 / 山本太郎当選の意義:オールタナティブ運動の核となれ

[参院選:立法府の9割を新自由主義勢力が占める結果に / 窮地に陥ったTPP反対運動] 参院選が終わった。マスコミの事前の予想とほぼたがわず、自民の単独過半数はならなかったものの、自公で単独過半数を達成し、衆参のねじれが解消された。自公が圧勝した昨年末の衆院選、先の都議会選挙と、安倍自民への追い風がずっと続いている状態である。維新・みんなも公示前勢力を上回った。自民や民主の中にTPP反対派がいるとされるが、安倍政権は今回の選挙で事実上信任された形となった。いよいよ夏本番だが、日本には冬の時代が訪れようとしている。 TPP反対の民意を投票結果に反映させることができなかったばかりか、却って新自由主義グローバリズム勢力を伸長させることとなった。私も含め、ネット言論の非力さを痛感する。そしてこれは既に当ブログ記事「TPP反対運動が失敗する理由」にて述べたことだが、TPP反対運動を統一できずに、党派・団体別にバラバラで行っている現在のTPP反対運動の生ぬるさを認識せざるをえない。党派団体の壁を越えられなかった「不作為の作為」の招いた結果であると言えるだろう。今後の見通しは暗いものと言わざるを得ない。 第一次安倍内閣が短命に終わったのは2007年の参院選で大敗したことが大きな原因である。今回の参院選で大勝し衆参のねじれを解消したことで、安倍政権は長期政権となることが予想される。何らかの事情で衆議院が解散されない限り、今後3年は選挙がない。選挙でTPPの賛否を国民が判断する機会がもはや失われたといって等しい。 TPP反対派は国政選挙においてその民意を票に反映させ形にすることに失敗し続けている。昨年末の衆院選ではまだ「騙された」という言い訳もできたが、安倍政権がTPP推進に邁進しているさなかに行われた今回の参院選ではそうした言い訳はもはやできないことは明白であった。推進派の思う壺である。 今回の選挙においても自民から比例区候補者で唯一TPP反対のJA出身の山田俊男は前回の45万票よりは大幅に得票を減らしたものの、33万8千票を集め、同党2位で余裕の当選を果たした。選挙前に既にこの問題を指摘したが、その集票力によって同党から出馬した他の推進派候補の当選に寄与したことになる。例えば、推進派であるワタミの渡辺美樹は10万票、最下位当選の太田房江は7万7千票だけで当選した。この意味は、緑の党から立候補した三宅洋平が、ほぼ渡辺美樹と太田の票をあわせた票数である約17万7千票を獲得したが、党への基礎票が少なく落選したという事例からもよくわかることである。 多数の推進派候補が当選した一方、民主党時代からTPP反対運動に多大な貢献をしてきた山田正彦元農水相(みどりの風・比例)がわずか4万4千票しか得られず落選したということも、TPP反対派が今回の選挙でなんら有効な対策を打ち出せていなかったということを示唆している。 (私は今回山田正彦元農水相への投票を呼びかけ、ツイッターやブログを見てくださった方から山田氏へ投票したという声も寄せて頂いた。当ブログ推奨投票先に投票して下さった方々にこの場を借りて感謝申し上げる。) TPPを推進する自民・公明・維新・みんな・民主という新自由主義勢力をあわせると、参議院の91%をも占める状態となった。衆議院ではこれらの政党で衆議院の93.5%を占めている。TPP交渉がもし妥結し、批准に持ち込まれる事態となれば、否決はほぼ不可能となったと言える。安倍政権にお墨付きが与えられたことでTPP反対派は益々窮地に追い込まれる形となった。このような状態でTPPを潰すためには、海外の団体と協力してTPP交渉そのものを潰しにかかることと同時に、秘密交渉であるところのTPPの情報をできるかぎり収集し、安倍政権・自民党の掲げた政策や衆参農水委員会での決議との矛盾を突き、抗議運動を拡大していくほかない。 日本は今回マレーシアで行われているTPP交渉に日程の途中である7月23日午後、「鶴岡公二首席交渉官が交渉の前提となる守秘契約に署名し日本が12か国目の交渉参加国となった」(読売新聞、7月23日)。 前回の記事でもお伝えしたように、今回の交渉では最重要の関税に関する協議は日本が参加する前にすでに終了しており、日本が参加するのは「交渉」なのではなく、実際は日本への「説明会」なのである。日本ができるのは23日午後に開示された情報を大急ぎで翻訳して情報収集し、24日25日に参加国から説明を受けるだけなのだ。マスコミはこの重大点に関して報道せず、あたかも日本がすぐさま各国との交渉に参加するかのような印象を与える報道に終始している。 日本は既に決まった内容に関して蒸し返して再交渉をすることは認められていない。内容も事前に開示されぬものに対して、これまでに決まったことを全て受け入れるという約束をして交渉に参加するというのだから、愚の骨頂である。しかも妥結すれば内容は4年間非公開とされる。その一方で、一握りの選ばれた大企業の代表は事前に内容を知らされているのである。この交渉の性質自体が、TPPが99%のためのものではなく、1%のためのものであることを強く示唆していると言えよう。 [戦争のできる国へ /武器輸出三原則撤廃・集団的自衛権容認・憲法改正] 安倍首相は参院選の勝利を受けて、選挙戦の間は明確に訴えていなかったきな臭い政策を次々と発表した。選挙翌日の22日、安倍は武器輸出三原則の撤廃の指針を表明(共同通信、7月23日)、また現在の憲法の政府解釈で禁じられている集団的自衛権の行使をできるように解釈を変更する方針も示した(東京新聞、7月23日)。 また共同通信による今回の参院選当選者と非改選の議員をあわせた全参議院議員へのアンケート調査で、全体の72%にあたる196人が憲法改正に賛成という結果が発表された(共同通信、7月22日)。 多くの国民が危機感すら感じない状態のまま、日本は新自由主義コーポレートファシズムと呼ぶべき方向へと急激に、着実に向かっている。TPPが一握りの多国籍資本が国家の上位に位置して、国家と国民を食い物にするのと同様に、軍需産業がその儲けのために国家に戦争をさせ、それを「愛国」の名の下に国民に強いるということが行われるといったことになりかねない。「戦争は公共事業」に「兵役は貧者救済」に、そんなグロテスクな未来図が見えてくる。この国は一体だれのものなのか。 関連記事『日本が「死の商人」に-安倍政権、武器輸出三原則撤廃を目指す』(志葉玲) [中道左派の壊滅と共産党の伸張] 今回の選挙でも先の衆院選や都議会選挙の流れがそのままで、自公が圧勝し、みんな・維新が漸進し、共産党も伸張する一方で、民主が大敗し、中道左派が壊滅状態に追い込まれた。中道左派勢力は先の衆院選で弱体化し、候補も十分たてられず、選挙協力も不十分で、またその政策も十分有権者に伝わっていなかったことが想像される。有権者は中道左派にも民主と同じ罪を着せたのであろう。比例で社民が1議席を取るのがやっとで、生活の党もみどりの風も候補者全員が落選の憂き目にあった。社民党は1議席獲得で非改選をあわせて3議席、生活の党は獲得議席ゼロで非改選の2議席のみとなった。そしてみどりの風は議席そのものがゼロとなり、参議院から消滅、谷岡郁子は代表を辞任した。みどりの風は衆議院に亀井静香・阿部知子の2名を残すのみで、政党要件を失い、党の存続自体が難しい情勢となっている。 一方、全国組織を維持し、資金力もある共産党は都議会選挙で勢いをつけ、東京・京都・大阪というかつて共産党が知事を輩出したことのある定員が複数の選挙区で当選者を出し、比例でも5人当選し、計8人が当選した。中道への期待が民主党政権の失敗によって、自民・みんな・維新へと流れた多くの票と、共産党に流れた少数の票とに分かれた格好である。 民主の大敗は想定内のことであるが、日本の民主主義にとって中道左派が壊滅することはとてつもなく大きい意味を持つ。私が推奨していた舟山康江(みどり・山形)・森ゆうこ(生活・新潟)は激戦の末敗れ、山田正彦(みどり・比例)・亀井亜紀子(みどり・島根)・三宅雪子(生活・比例)といった筋金入りのTPP反対派候補も敗れることとなった。 今回の参院選の前に山本太郎が「このままだと根絶やしにされる」と警鐘を鳴らし、これら中道左派や共産党に統一戦線を組むことを提唱したのであるが、各党はそれぞれの事情や思惑(そして個人的な人間関係もあるだろう)によって共闘を拒否した。生活・みどり・社民の3党は選挙協力をしたが、それは部分的なものにすぎない。一番の失敗例は社民党が候補を立てて現職・森ゆうこ(生活)の足を引っ張った新潟選挙区で、結果、森も社民候補も共倒れとなった。 この表は今回の参院選比例区の得票と獲得議席数である。生活・社民・みどり・大地・緑の党の5党からの当選は社民の1議席だけであるが、すぐ右の表に示したように、これらの党の票をあわせたら、3議席は獲得できていた計算になる(その場合、1議席目は三宅洋平に、2・3議席目は社民党候補に回る形になる)。もし共闘が実現していたなら、相乗効果も出て、それ以上の議席を獲得できた可能性もある。中道左派は勢力が弱体化してもなお共闘すら実現できなかった結果、山本太郎が選挙前に危惧した通り、文字通り「根絶やし」にされてしまった。 選挙戦のさなかから選挙が終わってもなお、山本太郎への執拗なネガティブキャンペーンが展開されているのだが、選挙後生活の党支持者の一部からも山本太郎への批判が再び噴出しているようだ。これらの批判者たちは昨年末の衆院選のあと、未来の党が失敗したのは山本太郎に引きずられたのが原因(これに対する私の反論は既に過去記事で述べた)だとして、純化路線で参院選に挑むことを主張していた。そして今回の参院選では、党が勝手連的に山本太郎を支援するということのみに留め、山本太郎の提唱した統一戦線については拒否し、これら山本批判者たちの主張する通り各党が純化路線で参院選に挑み、結果敗れたのでる。 ここに至って、組織的背景を持たず、ボランティアのスタッフに支えられ、草の根運動的に東京の有権者の間に支持が広がって当選を果たした山本太郎を、この期に及んで批判するのは筋違いではなかろうか。しかも山本太郎の出馬した東京選挙区では生活の党は候補者を擁立しておらず、なんら敵対するような関係にはなかったにもかかわらずである。こうした批判は如何にその批判を尤もらしく理論づけようとも、選挙直後という時期が時期だけに、第三者が見るとそれは山本太郎への嫉妬と勘繰られる恐れもある。他者を批判するよりも、何故に自党の訴えが有権者を動かせなかったのかを見つめなおすことが、今後の立て直しに必須なのではないだろうか。今後TPP・消費税増税・原発再稼働・憲法改正といった重要課題が目白押しの状況で、敵を見誤るべきではない。 生活の党には国会で働いて頂きたい人材が豊富なのだが、このように周りでゴタゴタが続いていて、残念ながらどうにもならない様相を呈してきていると思う。衆院選の未来の党の失敗のあと、一部の支持者が不正選挙騒ぎを起こし、そして選挙期間中に某陰謀論者一派が党の候補に接近し食い込むという騒動があり、参院選が終わってみれば、支持者はなぜか山本太郎支持派と批判派に分かれてしまった。党とは直接関係のない話で更に分断を深めているのである。弱り目に祟り目である。残念ながら当分の間は党勢を立て直すのは難しいだろうと思う。下手をすると、今後橋下維新やみんなの党が仕掛けてくるであろう民主を巻き込んだ政界再編に飲み込まれてしまう可能性すらある。 逆に山本太郎は、頼まれもしないのであれば、山本の側から生活の党にアプローチをかける必要はなく、当分近づかない方がむしろ身の為である。再度野党共闘の話が出るのだとしたら、その時は中道左派政党の側が山本太郎に頭を下げてお願いするのが筋ではなかろうか。これらの政党は2度にわたり山本の統一戦線の提唱を蹴ったのだから。 [山本太郎が当選したことの意味: 「もう一人じゃない」。しかし「いまだに一人」] さて今回の参院選は安倍自民を是認する風が強い中での選挙、つまり当ブログの主張からは大逆風の吹きすさぶ中での選挙であったが、全体としてみれば悲惨な結果となった。私が強く推奨した候補の中で唯一当選を果たしたのが山本太郎である。私たちのために立ち上がってくれたその勇気とあわせ、心から祝福をさせていただきたい。また山本太郎を支えたスタッフの皆様、山本に票を投じた有権者の方々に感謝の意を表する。 山本太郎の当選が意味するものは、上記のように日本の民主主義がどんどんとデッドロックに陥り、多くの人が共産党に投票するほどまでに、もはや希望の芽が見いだせないものとなりつつある中で、山本太郎という存在が、政治と言うものを従来とは全く異なる新たな視点で捉え直し、ひょっとしたらどこかの地点でひっくり返す起爆剤になるのではないかと予感させるものがあったという点だと思っている。少なくとも私は山本太郎が昨年の衆院選に出馬するときの模様を見てそう思った。 山本太郎は多くの人のバックアップで当選した。その意味で「もはや一人ではない」。しかし、山本太郎が当初声を掛けたところの、国会で組むべき中道左派の候補が壊滅状態となってしまい、その点で「いまだに一人」と言える状態だ。中道左派の壊滅は本当に痛手である。これまで山本太郎には選挙で戦うための参謀が必要であったのだが、ここからは政治全体を見渡すことのできる目の効くいい参謀が必要になる。また実務に通じた経験豊かな秘書も必要になるだろう。 山本が組むべき中道左派がほぼ壊滅状態となってしまったことで、山本は野党連合を作るといった当初の構想は当面は考えず、田中康夫がやっていたように他党の政治家と連携しつつも機動力を生かして、一人でできること、おもしろいことをどんどんやっていったらいいと思う。 記事下で紹介する動画で山本を激励している作曲家のなかにし礼が奇しくも同じことを言っているのであるが、山本太郎の賞味期限は、山本がどこかの勢力に抱き込まれ、他の党が抱える類の単なるタレント政治家のような、毒にも薬にもならぬこじんまりとまとまった存在と化した瞬間に切れると思う。恐らく聡明な山本本人も重々承知していることと思う。 私が山本太郎にぜひやっていただきたいと思うのが、これまでやってきたように草の根レベルの活動を続け(つまり雲の上の人とならず)、ネット配信を充実させるとともに、言いたい放題のネット討論番組を企画して流していただきたいということである。テレビ新聞で名を馳せたような人たちではなく、三宅洋平やフリージャーナリストや政治ブロガーや無名の研究者や他党の政治家たちを招き、議論をし、質問を受け付け、一般支持者も議論に加わるというものを、定期的にやっていただければと願う。 そしてもう一つ山本太郎にぜひやっていただきたいのが、以前にも同じことを書いたのだが、亀井静香に個人的に弟子入りすることである。周囲に異論もあるかも知れないが、これだけはどうしてもやっていただきたい。江川紹子が山本太郎に小沢一郎か共産党への弟子入りを勧めているのだが、それは山本太郎には似つかわしくない。山本太郎をスケールの小さいものへと変化させ、賞味期限切れを早めてしまうことになりかねない。 また上に述べたように、山本太郎自身は小沢一郎に迷惑をかけたつもりはないはずであるが、小沢一郎の支持者の一部から山本は反感を持たれている。共産党にしても、一部の支持者が熱心に山本太郎へのネガキャンを選挙戦中に行っていた。そうしたことを鑑みれば、どちらも山本が選択すべきものではないのは明白だ。 恐らく山本太郎が最もウマが合い、かつ学ぶところの多い政治家が亀井静香だと私は思う。山本は参院選も亀井の盟友・山田正彦と共闘して戦ったこともあり、山本が亀井の門を叩くのは至極自然である。冬の時代を耐えるため、人々を勇気づけるために、ぜひとも亀井静香X山本太郎のコラボレーションを見せて頂きたい。そしていつまでも賞味期限の切れない政治家になって頂きたいと願う。 山本太郎の支持者の皆様におかれても、この状況では山本がたった一人で国会で活動せざるを得ず、掲げた政策の実現は早期にはほぼ不可能であることを念頭においた上で、叱咤激励しつつ粘り強く支援していっていただきたいと願う。ふわっとした民意ではなく、それを形のあるものにしていくことが山本太郎にはできると私は思う。有権者にも忍耐強さが求められる。山本太郎一人を屋根の上に上げて、梯子を外すまねをしてはいけない。山本太郎を皆で守り、育てる心意気で支えよう。 … Continue reading

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TPP交渉撤退の民意を投票に反映させるのは今しかない!「地方の反乱」を! / TPP:都市部でより深刻な影響が出ることが試算で明らかに / 米国「全品目が対象」「再交渉、蒸し返しを認めぬ」

<当ブログ参院選シリーズ> ①奢り高ぶる安倍自民・壊滅に向かう健全野党と危機に陥る民主主義/私の山本太郎擁護論(6月5日) ②【参院選】「地方の反乱」こそが日本を守る。ふざけきった安倍・新自由主義政権を信任してはならない!<比例代表・全選挙区推奨候補リスト付>(7月9日) ③【続報・参院選】自民党全候補者78名中TPP反対はたったの7名であることが判明 /それでもまだ安倍自民を支持しますか?(7月11日) ④【参院選】比例区・一人のTPP反対派を当選させるために複数の推進派を当選させてしまう戦術をJAは見直すべきである(7月14日) ⑤新自由主義ファシズム体制完成を目論む安倍自民 / 山田正彦・山本太郎らを国会に送り抵抗の橋頭堡を築くべし!(7月17日) <当ブログ重要記事> 安倍政権は紛れもない新自由主義政権である。茶番と嘘の上塗りとナイーブな傷の舐め合いをやめ、現実を直視せよ! 安倍自民と橋下維新のウルトラ新自由主義亡国連立が近づいている。安倍と橋下を結びつけるもの TPP反対運動が失敗に終わる理由。本当にこのまま国を売られてよいのか。 当ブログによる参院選全選挙区・比例区推奨候補リスト(記事下部) [米通商代表「全品目が交渉の対象」「再交渉、蒸し返しを認めぬ」] TPPの第18回交渉が7月15日からマレーシアで始まった。日本が交渉に参加するのは早くて23日の午後からであるのだが、実は今回の会合の日程では最も肝心な関税交渉(市場アクセスの会議)が19日までに終了してしまっているのである。 米国通商代表部(USTR)のフローマン代表は18日、オバマ政権の通商政策について下院歳入委員会で証言した。この中でフローマン代表は日本のTPP交渉参加を巡る事前協議で、『「日本はすべての品目を交渉のテーブルに乗せる事で合意した」と述べると共に、「農業分野の例外品目を事前に設ける合意はない」と強調』(TBS、7月19日)すると同時に、『「(まとまった交渉文書の)再交渉も、蒸し返すことも日本に認めない」』(読売新聞、7月19日)とし、交渉の年内妥結を「実現可能」としている。 安倍首相は日米首脳会談終了後、「聖域なき関税撤廃が前提でないことが確認できた」などとしていたが、日本は米国側との事前交渉において聖域の確保の確約を取れなかったばかりか、全品目を交渉の対象にすることに合意していたことが明らかにされたわけである。安倍首相の弁は参加ありきの詭弁的言辞にすぎぬのは明らかであろう。 現在進められているTPP交渉において農業分野の交渉がどこまで合意されたのかは不明であるが、既に妥結した内容に関しては再交渉の余地はないことは明らかだ。また参加各国は年内妥結を目指していることから、日本がこれまでの協議内容を今回の交渉で知りえたとしても、殆ど日本側の意向を反映させるのは現実的に厳しいことも明白である。 衆参両院の農水委員会は「重要品目の関税撤廃からの例外確保ができないと明らかになった場合は即時脱退も辞さない」と決議していたが、今回の交渉日程が終われば、現実的に日本側が短い交渉で例外品目を設けさせることのできる可能性はほぼゼロに等しいことが明らかになるだろう。この際に衆参の農水委員会は具体的な行動をとるであろうか。 安倍自民が今回の参院選で勝利を収めれば、そうした行動は起こされず、グローバリズム関東軍と化して暴走する経産官僚や、安倍首相の抱える新自由主義ブレーンや、さんざんTPP参加を煽ったマスコミ論客たちが、またもやその文学的才能を発揮して新たな詭弁をひねり出すということが行われるだけであろうと私は思う。 自民党はこうしたことも既に見越した上で、今回の参院選の公約から「重要品目の関税撤廃からの例外確保」を外しているのだ。既に当ブログ記事で述べたように、今回の参院選で自民党が擁立した全78名の候補でTPP反対の候補はたった7名しかいない。比例区では反対はJA出身の山田俊男候補ただ一人だけであり、しかも山田候補に個人名で投票しても、他の推進派の当選に寄与してしまうのである。反対派を多数擁立しているのであればまだしも、実際には反対派はごく少数であり、党として安倍自民はもはやTPP推進勢力となったと考えるのが妥当である。 もう彼らの詭弁に淡い期待を抱いて騙されるのはやめる時だ。今後3年選挙が行われないだろう現実を考えれば、ここで安倍・新自由主義政権に信任を与えてはならないのである。 [TPPは地方に加え、都市部にも甚大な被害をもたらすことが試算で明らかに] 約900名の有識者が名を連ねる「TPP参加交渉からの即時脱退を求める大学教員の会」のTPP影響試算・大学教員作業チームはこれまで3度にわたり、TPPによる日本への影響を試算し、発表してきた。これらは極めて深刻な内容なのであるが、これを報じてきたメディアは日本農業新聞・IWJ・しんぶん赤旗のみである。これは極めて異常な事態であり、会の呼びかけ人である醍醐聡・東京大学名誉教授も驚くと同時に、大手マスコミに対して鋭い批判を自身のブログで浴びせている。 これまでの試算発表で明らかにされた重要な点は以下の通りである(「大学教員の会」ホームページ及びIWJ記事から要点を抜粋)。詳細はリンクをつけた同会のページ及びIWJのページをご参照いただきたい。また「大学教員の会」ホームページに詳しい資料が掲載されている。 これを見れば、TPPがまさに1%の利益のために、99%の人々が犠牲にされるという代物であることがありありとわかる。醍醐名誉教授も7月13日のブログで以下のように述べている。全く同感である。 「TPPは農業の問題といって傍観しているわけにはいかない。わが国の国民益を投げ捨て、アメリカ企業や多国籍企業に営利の機会を広げる売国的なTPP交渉から即時脱退することこそ日本の国民益を守る唯一の道なのである」 <第1回目試算発表 5月22日> 全産業で10兆5000億円減、GDP4兆8000億円減、190万人が雇用喪失 ・「政府統一試算」 ベースによる農林水産物等の生産減少額(2兆9,680億円)により、全産業の生産減少額は、約10兆5千億円にのぼる。 ・「政府統一試算」でいう農林水産物の生産減少額は、他産業への影響からの「跳ね返り効果」5千億円を含めて、最終的に約3兆4,700億円の減少 となる。 ・就業者に与える影響(雇用効果)は、「政府統一試算」の対象品目の生産に係る農林水産業で約146万人、全産業で、約190万人の減少となる。 ・企業・家計の所得など国民総生産(GDP)に与える影響は、約4兆8千億円の減少となり、GDPを1.0%押し下げる。 ※ GDPは、09~11年度平均約489兆円(内閣府経済社会総合研究所) ・生産減少、就業者数の減少を通じた家計消費の減少額は、約2兆7千億円となり、GDPの1.0%低下のうち、0.6%分の寄与となる。 「大学教員の会」リンク IWJ記事リンク … Continue reading

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新自由主義ファシズム体制完成を目論む安倍自民 / 山田正彦・山本太郎らを国会に送り抵抗の橋頭堡を築くべし!

<当ブログ参院選シリーズ> ①奢り高ぶる安倍自民・壊滅に向かう健全野党と危機に陥る民主主義/私の山本太郎擁護論(6月5日) ②【参院選】「地方の反乱」こそが日本を守る。ふざけきった安倍・新自由主義政権を信任してはならない!<比例代表・全選挙区推奨候補リスト付>(7月9日) ③【続報・参院選】自民党全候補者78名中TPP反対はたったの7名であることが判明 /それでもまだ安倍自民を支持しますか?(7月11日) ④【参院選】比例区・一人のTPP反対派を当選させるために複数の推進派を当選させてしまう戦術をJAは見直すべきである(7月14日) <当ブログ重要記事> 安倍政権は紛れもない新自由主義政権である。茶番と嘘の上塗りとナイーブな傷の舐め合いをやめ、現実を直視せよ! 安倍自民と橋下維新のウルトラ新自由主義亡国連立が近づいている。安倍と橋下を結びつけるもの TPP反対運動が失敗に終わる理由。本当にこのまま国を売られてよいのか。 当ブログによる参院選全選挙区・比例区推奨候補リスト(記事下部) マスコミ各社が自民の圧勝の予測を伝えている。以前当ブログでお伝えした週刊現代の予想や従来のメディアの報道よりは若干控えめなものの、自公で70議席台に乗せ、安定多数を確保するのは確実とされている。 しかしこれらの予想は高い投票率を想定したものではない。各紙の報道においても、「ただ、投票態度を決めていない有権者が一定数おり、流動的な要素もある」(産経新聞、7月16日付)、「投票態度を明らかにしていない有権者は選挙区選で約3割弱、比例選で約2割弱おり、情勢はなお変わる可能性がある」(読売新聞、7月17日付)というように、有権者の動向で情勢が大きく変わる可能性を示唆している。情勢を大きく変えることができるか否かは有権者にかかっている。ぜひご家族・ご友人・ご近所にお声掛けの上、投票に行っていただきたいと切に希望する。 [中道左派が壊滅すれば、新自由主義勢力だけが残る] 当ブログでお伝えしてきたように、このままの情勢で中道左派が壊滅状態に追い込まれれば、立法府は新自由主義勢力によってほぼ占拠されるという恐るべき事態になる。 マスコミは安倍自民と公明を「与党」、民主を「野党」、みんな・維新を「第三極」として、あたかも対立構図が存在するかのように描くが、これは資本にとっては誠に好都合な構図であり、罠である。早い話が興行プロレスである。 第三極は純然たる新自由主義政党で、安倍自民も民主も新自由主義色が非常に濃く、全てTPP推進勢力である点で違いはない。みんな・維新の「第三極」は事実上政権与党の「新自由主義サイドからの応援団」なのであり、民主も新自由主義色の強い人ばかりが党の分裂を経て残った。安倍自民は再三にわたってお伝えしている通り、もはや新自由主義色を隠そうともせず、暴走を始めた。 参院選で共産以外の中道・左派が淘汰されれば、せいぜい国民に残される選択肢は、安倍自民・橋下維新の「極右風新自由主義」か、民主・みんなの「リベラル風新自由主義」か、絶対に政権を取らない(つまり体制にとって脅威とはならない)共産か、という選択肢だけになる。 共産党は不満層のガス抜きの役割を果たすのみで、決して政権を取ることはなく、事実上の新自由主義一極体制が構築されることになるだろう。99%側を代弁する勢力が淘汰されるという状態に追い込まれ、1%側の利害を代表する勢力しか選択肢がなくなるのである。米国のように。 今回の参院選で安倍自民を勝たせるのは非常に筋が悪い。今後3年選挙が行われないだろうから、致命的である。TPPで多国籍資本によるネオ植民地化が完成し、かつ軍国化・警察国家化が一気に進むだろう。資本が国家を食い潰すのに他ならぬものが、皮肉なことに「愛国」の名において進められる。一定数の大局を見据えぬ「愛国馬鹿」が釣られる。世間はマスコミに乗せられ、「アベノミクス」で浮かれているが、このままでは恐らく「アベノドリル」という大量破壊兵器によって甚大な被害がもたらされることになるだろうと思う。 「我々は自由主義を選んだんだから、自由主義社会にすべきで、それはイコール競争社会なんだから下流にいれば飯が食えなくなって野垂れ死にするしかない」 これは自民党が比例区で擁立したワタミの渡辺美樹候補の言葉である。これは安倍晋三が政権発足直後にブレーンに招き入れた竹中平蔵の言葉「みなさんには貧しくなる自由がある」「貧しさをエンジョイしたらいい」に通じるものがある。ワタミの出馬は安倍が直々に要請したものであり、安倍自民のカラーを如実に反映したものだ。つまり安倍カラーはブラックということを示唆している。 マスコミの選挙情勢報道が正しいのだとすれば、多数派の国民はいま、国民がメシが食えなくなるのを当然視し正当化するような人物・政党に票を投じて信任を与えようとしているのである。前回の記事でお伝えした通り、現行の選挙制度では、比例で自民党と書いて投票しようが、ワタミ以外の個人候補者名で投票しようが、ワタミの当選に貢献することになる。 [本性を現した安倍自民 / 新自由主義コーポレートファシズム体制の完成が近づいている] <安倍が9条改正を明言 / 石破が国防軍命令に従わぬ兵は極刑に処すと発言> 7月15日、安倍晋三が憲法9条改正を明言した(産経新聞7月16日付)。また石破茂・自民党幹事長は出演したBS番組において、国防軍及び軍事法廷の設置を明言し、命令に従わぬ者には最高刑(死刑なら死刑、無期懲役なら無期懲役。懲役300年なら懲役300年)などと発言した(velvetmorining blog様 16日付)。憲法96条の改正だけだと安易に思って高を括っていたら、一気に9条改正まで進められることになるだろう。(石破幹事長の問題発言の動画リンク。2分10秒頃から。) このような軍国化の動きに対して、千葉県議を30年務めた自民党千葉県連元幹事長が、共産党の機関紙しんぶん赤旗に寄稿し、今回の参院選で共産党への投票を公然と呼び掛けているのだという(リンク)。世間はマスコミに乗せられてアベノミクスで浮かれているが、保守でも真摯に国の行方を心配する良識のある人ほど、安倍自民の危険性を察知し危惧しているのだろう。自民党に長く貢献した人物が共産党への投票を呼びかけるほどであるから、相当な危機感である。拙ブログの危機感とも一致する。 私自身は9条改正よりも何よりも、自主防衛の確立こそが最も肝要であると考えている。在日米軍の総撤退をさせ、独立することがまず達成されなければならない。議論があってよいと思うが、自衛隊のみで自主防衛が確立できるのであれば、わざわざ9条を改正する必要もないと考える。 たとえ軍隊を持ってもそれをもってして独立国家になりえないのは、隣国の韓国を見れば明白だ。韓国は軍隊があり男子徴兵制のある国だが、米国から独立できず、有事指揮権は米軍が持ち、そして米韓FTAによって多国籍資本のネオ植民地化が達成された。昨今の改憲論は本末が転倒しており、騙されぬように注意を払う必要がある。 <戦争は起きるのではなく、起こされる / 「戦争は公共事業」に、「兵役は貧者救済」に> いま日本の改憲論者は在日米軍撤退に関して全く触れぬまま、9条改正などと馬鹿げたことを言っているのだが、これは対米従属を固定したままの状態で、戦争ビジネスで儲けたい軍需産業の要求を反映したものだと思う。武器輸出解禁の動向からこうした方向性が察知される。 TPP反対を掲げつつ、TPP推進の安倍を熱狂的に支持し、読者に矛盾を飲みこませ、安倍支持へと巧みに誘導してきた三橋貴明は、『日本経済と国防の教科書』という著作で、防衛費の増額でデフレ脱却ができるなどと主張しているのであるが、三橋がこれまで担ってきた役割や上のような事情を考慮すれば、その主張からきな臭さと胡散臭さを感じ取ることができるであろう。 … Continue reading

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奢り高ぶる安倍自民・壊滅に向かう健全野党と危機に陥る民主主義/私の山本太郎擁護論

<当ブログ「橋下維新は答えではない!」シリーズ:橋下維新の正体↓> その①ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける その②形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている その③選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影 その④【地下鉄利権】関西私鉄幹部が大量に大阪市参与に就任していたことが判明。裏で進められる公共財の解体と簒奪。/一刻も早く橋下リコール運動を開始すべし。 その⑤【大阪地下鉄民営化利権続報】在阪マスコミは関西私鉄の事実上支配下にある!マスコミが橋下維新・地下鉄「民営化」問題を報じない理由 [壮絶な参院選選挙予想・自民党の圧勝と新自由主義翼賛体制の成立] 7月の参院選の選挙予想が週刊現代(5月25日号)と産経新聞(5月29日付)で出ていたのでご紹介したい。産経の方は比例代表のみの予想である。週刊現代の方は各選挙区も含めた詳細な予想が出ている。 なお参議院は定数242で任期は6年。衆議院のような任期途中の解散はなく、定数の半分を3年ごとに改選する方式。選挙は都道府県ごとの大選挙区(定数1~5)と全国区の比例代表制(非拘束名簿)の並立制で、選挙区と比例の重複立候補はできない。 この資料の見方―左の「現有議席数」は現在の議席であり、すぐ右の「非改選」は現有議席数に占める非改選議席数。「予想獲得議席数」は今回の選挙で獲得が予想される議席数。先程の非改選議席数と予想獲得議席数を併せたものが太字で示した「予想議席数」となる。この「予想議席数」が次期参議院の勢力分布の予想となる。「予想議席数」から「現有議席数」を引くと、今回の選挙での増減の予想となる。 右側の累計は与党の自民・公明(青色)及びそこに「ゆ党」である維新・みんな・民主を足していった累積議席数とそれが全議席に占める割合、さらに完全野党と言える共産・生活・社民・みどりの累積議席数と割合を「与ゆ党」と「野党」にわけて表示。 <予想される自民の圧勝> 週刊現代は、自民党は選挙区の1人区全てで勝利し、2~5人区の全てでも当選者を出す「完全勝利」という圧勝を予測している。もちろんこれは単なる調査に基づく予想でしかなく、これがそのまま当たるとは限らない。投票率が上がれば、大きく異なる結果となる可能性もある。しかし現在の内閣支持率の高さやマスコミの報道も鑑みれば、7月までに波乱が起きず、このままの情勢であるとしたら、これに近い結果となるのではないかと私は思う。 大きく異なるとすれば維新が獲得議席を減らす可能性があるということであろう。週刊現代の調査では2~5人区で維新の候補の当選が見込まれているが、ひょっとすれば調査の時期が古く、直近の橋下徹の騒動の余波を反映していない可能性がある。他の政党が付け入るチャンスがあるとすればこうした選挙区であるはずだ。 しかし、週刊現代よりも調査データが新しいと思われる産経の比例代表の調査の1月と5月を比較すれば、維新が徐々に支持を失っている分を他の野党が吸収できず、自公が吸収していることが見て取れる。生活がかろうじて1議席を取れるかどうかというところである。 仮にこの選挙予測で示された通りの結果になれば、最初の表で示したように、自民は単独過半数を獲得し、公明とあわせて安定多数を確保する。さらに維新あるいはみんなの党のいずれかの協力を取り付けることができれば絶対安定多数を確保する。 そしてみんなの党と維新の双方の協力を取り付ければ、参議院の3分の2を制することとなる。憲法96条の改正について、維新はそもそも賛成である。みんなの党に関しては党首の渡辺喜美が「公務員制度改革などが実現しない場合は反対する考え」(毎日、5月10日付)を示しているものの、憲法改正そのものについて反対しているのではない。 民主は改憲に反対するということを参議院選の公約に掲げることにしている(ANN、5月31日)。しかし民主党内部でも改憲派はおり、一旦改憲案が提出されれば、それをきっかけに党が二分する可能性もある。 <新自由主義翼賛体制の成立> 民主党はそもそも政権与党時代から、菅・野田内閣のTPP推進・消費税増税という財界マスコミ重視・反国民生活路線によって党内で二分し、その結果民主党内の意見集約をせず、党内反対派を干しあげ、野党である自民党・公明党と「民自公」協力関係を築くという、非常に歪な形で自民・公明と協力関係を維持してきた間柄である。こうした経緯から民主党も健全な野党と呼ぶには程遠く、与党と野党の間の「ゆ党」と呼ぶに相応しい。 また極端な新自由主義・構造改革路線の政策を掲げる維新とみんなの党はそもそもから政策に大きな隔たりはなく、両党は共同公約を掲げるべく作業を進めてきた。選挙協力が破談になったのは橋下徹の一連の慰安婦騒動のためである。そして従来から指摘してきた通り、安倍晋三と橋下徹は蜜月関係にあり、安倍は橋下を「同志」と呼んできた。安倍政権が維新のブレーンだった竹中平蔵を起用し、TPP推進・道州制推進・構造改革推進・憲法改正という新自由主義路線に突き進み、もはや自民と維新の路線は同じものとなってしまった。みんなの党も維新も当然健全な野党とは言えず、民主党よりもより自民に近い「ゆ党」と言えるであろう。これら政策的に同質的な自民・公明・維新・みんな・民主をあわせると、なんと参議院の94%を占めるという恐るべき事態になろうとしている。 マスコミは国民に対して、あたかも自民・公明の与党に対して、民主・みんな・維新が野党として存立しているかのように構図を描いて報じ、維新・みんなを「第三極」などと名付け、朝日新聞などはあたかも民主が「リベラル勢力」であるかのような取り扱いをしているが、こうしたマスコミの報道は欺瞞も甚だしく、実態を覆い隠してしまうものだ。 TPP反対派の国民が非新自由主義グローバリズムの選択を託して誕生させた安倍政権が、政権発足と同時に瞬く間に人々を裏切って新自由主義グローバリズム路線に走った今となっては、これらの政党は表面に見える差異はあれど、全てバックボーンは新自由主義によって貫かれており、もはや大きな違いはないといっていい状況である。 このまま参院選に突入すれば、衆参ともに立法府が新自由主義勢力によってほぼ占拠されるという異常事態が訪れることになる。 <TPPの批准阻止は絶望的・日米協議を潰すべし> このような状況下で、TPP交渉が妥結すれば、批准阻止は絶望的である。安倍政権がTPPを推進している以上はたとえ自民党の半数がTPP反対を言っても、実際に批准で造反し反対に回るのはごく少数にとどまることが予想される。自民が選挙予想の通り圧勝すれば、安倍政権の基盤は盤石となり、造反はより難しいものとなる。しかも名目は「野党」とされる民主・維新・みんなが賛成に回れば、自民から多少の造反が出たとしても容易に過半数を取れてしまう。衆議院においても同様で、条約の批准は衆議院の優越が認められている。 繰り返しになるが、安倍政権発足直後からの暴走ぶりを見てもわかる通り、TPPで被害を蒙ることが必至の中間団体は選挙に際してより高いハードルを設定しなければ、また容易に裏切られることになるであろう。自民が圧勝すれば、それは安倍政権の信任であり、安倍政権の進めるTPP・道州制・新自由主義構造改革も全て信任されたと見做される公算が高く、少なくともマスコミはその論調で報じ、ムードを作ってくるに違いないからだ。 TPPが潰れる可能性があるとすれば、交渉そのものが妥結しないこと、そして日米協議が合意に至らないことである。TPPは表面上の報道とは異なり、実際は交渉が難航していると言われる。交渉が決裂すれば、TPPは潰える。しかし我々が注意を払わなければならないのが日米交渉である。TPPが潰れたとしても、日米交渉が残れば、日米FTAに持ち込まれる可能性がある。グローバル資本による韓国のネオ植民地化の総仕上げである米韓FTAと同じ結果になることが予想される。我々は今後自民党の圧勝がそのままTPP信任と見做されぬよう工夫を凝らすとともに、TPP反対派を一人でも多く当選させ、かつ日米協議の動向を監視し、これを潰すべく戦術を転換していく必要がある。 [調子に乗り傲慢になる自民] <ブラック・ワタミを参院選の看板候補として比例で擁立> 「自民党はブラック企業対策として、社名の公表も含めて検討すべきだとする提言をまとめた。今夏の参院選の公約にも反映させる方向」(弁護士ドットコム)という記事は5月28日付のものであるが、驚くべきことに自民党は7月の参院選で、ネット上では「ブラック企業」として名高いワタミ会長の渡邉美樹を比例で擁立することを決めた。安倍晋三が直接会って出馬を要請したという(記事リンク)。 ブラック企業対策を公約に盛り込む政党が、党の顔である看板候補としてブラック企業の経営者を擁立するというのであるから、まさに「安倍こべ」であり、「ブラック・ジョーク」そのものである。こんな党が掲げるブラック企業対策なるものも有名無実のもので、却ってブラック企業にお墨付きを与え跋扈させるものになるだろうことは想像に難くない。 *関連記事『ワタミ社内文書入手 渡辺美樹会長が「365日24時間死ぬまで働け」』(週刊文春、6月5日) <反旗を翻したJA山形県連と農家を恫喝した自民党・西川公也衆議院議員> 5月30日、山形県農協政治連盟が反TPPを掲げる現職でみどりの風政調会長の舟山康江の推薦を決めた。翌31日、自民党TPP対策委員長の西川公也衆院議員が来県。『米沢市内で農業関係者や地元議員ら約50人を前に「いま自民党を敵にして農業が大丈夫だと思っているのか」と、県農政連の対応に怒りをあらわにした』(毎日新聞6月2日)。 選挙の際には支持者にペコペコと頭を下げる政治家も、一旦権力を手にすれば豹変するという見本のようである。一体何様のつもりなのであろうか。彼らはTPPに邁進する安倍の暴走を体を張って止めようとしただろうか。民主党政権時代の山田正彦元農水相を筆頭に民主党TPP反対派の方が断然TPP阻止のために努力をしたと言える。自民党に政権交代をしてからというもの、権力中枢からの情報が全くといっていいほど出てこなくなったのはどうしてなのか。 私はJA山形の英断に心から拍手を送りたい。また、舟山康江氏の健闘を祈る。こうした動きが大きくなることで、前述の選挙予想も覆ることにつながり、またTPP反対の民意を選挙結果に反映させることができるであろうと思う。他のJAもJA山形に続くべきであろう。 [選挙協力すらままならぬ野党の惨状と山本太郎の奮闘] ここで論じる野党とは民主・維新・みんなの党というTPP推進を掲げる新自由主義「ゆ党」のことではなく、TPP反対を掲げる非新自由主義勢力の生活・社民・みどり・共産のことである。上記の選挙予想では、これらの政党の予想獲得議席数は全国組織を維持している共産党の5議席のみで、辛うじて生活が比例で1議席取れるかどうかという情勢である。そして非改選の議席を含めた予想議席数ではこれら全ての政党をあわせても12議席・全体の5%という存亡の危機に立たされている。 一般国民にすればなぜこれらの政党が選挙協力を大々的にしないのか謎であると思う。党の当事者・関係者にすれば護持すべき主張やプライドといったものが当然あるだろう。しかし、一般国民の殆どは例えば社民党と共産党の政策の差異、みどりの風と生活の党の政策の差異を明確に説明することができるであろうか。 … Continue reading

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石原慎太郎の「愛国」は「有罪」である。領土問題の火遊びよりも復興が先だ。

<当ブログ「橋下維新は答えではない!」シリーズ:橋下維新の正体↓> その①ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける その②形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている その③選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影 その④【地下鉄利権】関西私鉄幹部が大量に大阪市参与に就任していたことが判明。裏で進められる公共財の解体と簒奪。/一刻も早く橋下リコール運動を開始すべし。 その⑤【大阪地下鉄民営化利権続報】在阪マスコミは関西私鉄の事実上支配下にある!マスコミが橋下維新・地下鉄「民営化」問題を報じない理由 ブログの更新がすっかり遅くなってしまった。 さて、皆様もご存知の通り、中国における反日デモは過去最大の規模となり、一部は暴徒化し、現地の日系企業やデパートなどが襲われる事態となった。在留邦人の生活に多大な支障をきたしているほか、日本車に乗っていた中国人までもが、自称「愛国者」に襲われ、意識不明の重体になったとの情報も出ている。 日本製品を買った中国人までもが同じ中国人に襲われるというニュースによって、今後日本製商品を買い控えたり、日系スーパーやデパートの利用を控える傾向が中国人消費者の間に出たとしてもなんら不思議ではない。今回の暴動の背景には、中国国民の間で広がる格差への不満があり、「日本車を買えるような富裕層」への反感もあるとのことであるが、暴動による物理的被害に加えて、今後もたらされるであろう影響を考慮に入れれば、今回の一件による損失は計り知れないものとなっている。 中国に対する好悪というものも人によってまちまちであろうが、中国は現在日本の最大貿易相手国であるという現実から目を背けると、「国益」を大きく損ねることになりかねない。仮に事態がエスカレートし、日本企業が中国で商売をできない状況になったとして、利益を得るものは誰なのかということに注意を払うべきである。石原慎太郎のような対中関係をひたすら悪化させようとする勢力の主張する「国益」とは一体何なのであろうか。日本企業や在留邦人や日本製品の消費者まで襲われるというのが、「国益」だというのであろうか。 [猪瀬直樹の見苦しい言い訳] 猪瀬直樹・東京都副知事は中国におけるデモが暴徒化したニュースが流れた後、ツイッターで以下のようにツイートをしている。以下引用する。 「尖閣買収そもそも論。石垣市の漁船は5トン、無線機1W、漁業資源が豊富な尖閣まで行くのはリスクが高い。中国や台湾の大きな船が操業している、無線も10W。そういう事情があり石垣市長が小さな船だまりと電波塔があればと求めていたところ、地権者との連絡が山東昭子議員経由でできそう① ②山東昭子議員から石原知事へ。石原知事は地権者と会ったのが1年前。地権者は相続の問題が発生する前に譲ると言った。ふつうならそこからすぐに展開するはずがうなぎのようにぬるぬるとしている。負債があるからだが調べればわかる。資産もあるからバランスシートで見ると10~15億円。③ ③地権者は手付金を要求したが、納税者への説明責任と民主主義のルールの基づいた手続きのためそれはできない、島を調査し財産価格審議会に諮り適正価格を示し議会の議決を要する旨を伝えた。すると野田政権が地権者が大儲けできる金額20億5000万円+αを提示して地権者に接近した。④ ④地権者から東京都へという国内の所有権移転にすぎない話がいきなり国有化となった。賃貸料年額約2500万円から国有化するなら意味がなければ。野田・石原会談で船だまりは前向き検討する、近く返事をするだった。しかし外務省は官邸の言うことを聞かない。官邸には全く威光がないのだ。⑤ ⑤外務省は中国に何らかの形でお伺いを立てたが役人は余計なことで失点したくないので形通りで引っ込んだ。では何のために札束で国有にしたのかさっぱりわからなくなった。宙ぶらりんな政府の姿を晒して中国側に足下を見透かされただけだった。国有化の語感は中国では全然違う。口実をつくった。⑥ ⑥香港の活動家を上陸させたのは野田政権・外務省の明らかな判断ミスだった。領土問題は既成事実がつくられると、さらにつぎにはエスカレートする。水際で処理すべきだった。繰り返すが、尖閣が自国の領土、だから日本企業への暴行・略奪をしてよい、では論が立たない。あとは中国人の誇りの問題。」 早い話が猪瀬は、都による尖閣購入は「地権者から東京都へという所有移転にすぎない話」であり「国有化」とはわけが違うと主張しているのだが、石原都知事のぶちあげた尖閣購入はそのような政治色のないものではないことは明らかだ。猪瀬の論理は政府に責任をなすりつけて、都は責任から逃れようという魂胆が丸見えの言い訳に過ぎない。 「尖閣国有化」という言葉が独り歩きしているが、そもそも今回の反日デモ・暴動を誘起した直接的原因は石原慎太郎・東京都知事が言い出した東京都による尖閣買収とそれへの募金騒動であったことは言うまでもない。石原は一部のメディアと結託して尖閣の都による購入をぶち上げ、さらには上陸が許可されていない尖閣に上陸すると公言し、「逮捕してみろ」と日本政府を挑発してきた。 仮に猪瀬の言うように都が所有していれば、日中関係は平穏に過ぎるというのであろうか。きっと石原はまたもや「都の所有した」尖閣に上陸したりして、より日中関係を悪化させる結果を招くであろうことは想像に難くない。従来散々日中関係を悪化させる言動を行ってきた石原は、尖閣を購入してさらに中国を挑発する愚行をやりかねないと政府や官僚は判断し、石原の暴走を防ぐためにやむを得ず国有化に踏み切ったというのが真相であろう。猪瀬は国有化した政府を非難しているが、そもそも、もし石原がこのような真似をしなければ、最初から政府は国有化をしなかったであろう。 猪瀬の論理は倒錯しており、当事者意識もそこには感じられない。単なる責任逃れのための言い訳のようにしか聞こえない。尖閣購入のために行われた募金が今後どうなるのかわからぬ状態であるが、子どもじみた言い訳をしている暇があるのなら、暴徒に襲撃された商店や企業への献金でも募るべきではないのだろうか。 [日本に有利であった「尖閣棚上げ論」] 二国間あるいは多国間における領土問題というのは珍しい話ではない。A国とB国の間に領土問題があり、A国が実効支配している。そしてA・B両国の間で領土問題については棚上げし、友好関係を促進することで両国が合意していたとする。これはA国の実効支配を事実上認めているものであり、A国にとっては非常に都合のよい合意である。 この場合、A国にしてみれば、自分が実効支配しており、かつB国も事実上その支配を黙認しているようなに土地に関してわざわざ「これはA国の領土であり、B国の領土ではない」と派手に喧伝することは、単にこの問題を顕在化させ、B国の国民のA国に対する反感を高め、両国間の関係を悪化させることにしかならない。今回の石原都知事が引き起こした騒動はまさにそのケースであると言える。 [尖閣問題の発端は前原の火遊び/油を注いだ石原] そもそも尖閣諸島は沖縄返還まで米国の統治下にあった。沖縄の返還の際に米国が尖閣諸島を沖縄の一部として共に日本に引き渡したのである。孫崎亨・元外務省国際情報局長はこれを米国の仕掛けた領土問題の罠であると指摘している。1978年の日中平和友好条約締結時に、鄧小平の提案によって尖閣問題は「棚上げ」することが決められた。事実上日本の実効支配を中国が容認したことになる。漁船の操業に関しては従来は海上保安庁は漁船を追い払うことはしたが、拿捕するような真似はしなかった。 この方針を転換し、尖閣諸島を政治問題化したのは、民主党対米従属派の筆頭であり、当時海上保安庁を所管する国土交通省の大臣であった前原誠司である(当時菅直人内閣)。2010年9月7日海上保安庁は巡視艇に衝突した漁船の乗組員を逮捕し、一気に政治問題化したのは皆様の記憶に新しいことと思われる。 中国漁船船長の逮捕から釈放までの経緯でビデオ流出問題などがあり、仙谷由人と馬渕澄夫に対して責任追及の声が上がったにもかかわらず、なぜか一番の当事者であるはずの前原に対して責任を問う声はメディアや政治家の中から出ず、前原は9月17日の内閣改造で外務大臣に就任している。 この背景には、東アジア共同体構想を打ち上げ、普天間基地の辺野古移転に反対し、県外か海外への移設を目指した鳩山政権の対米自立派と、対米従属派との暗闘があったものと思われる。マスコミと対米従属派は自主外交路線の鳩山政権を激しく攻撃して倒し、菅を傀儡として担いだのだ。 尖閣漁船事件が起こった当時、マスコミからは「日米同盟の重要性が再確認された」などというキャンペーンが盛んに行われた。尖閣事件の後、前原が外務大臣に横滑りした直後に、なぜかアーミテージが折りよく来日し、在日米軍に対する「思いやり予算」増額を要求したのであるが、アーミテージはブッシュJr政権の要人ではあったがオバマ政権とは関係のない人物である。しかもこの尖閣問題は基地問題が大きな争点となった沖縄県知事選挙の投票が迫った中で引き起こされた。 前原によって引き起こされた一連の騒動が下火になって、ようやく落ち着きを取り戻そうとしていた矢先に、今度は石原慎太郎によって再び油を注がれたといえるだろう。 [米軍は日本を守るのか/「日米同盟の重要性再確認」キャンペーンの虚妄] さて、尖閣問題が前原によって引き起こされたとき、マスコミや対米従属派論客から盛んに「日米同盟の重要性が再確認された」との説が流布されたのであるが、果たしてこれは真実であろうか。 2005年に日米間で合意された「日米同盟~変革と再編」には、日本周辺の島嶼部は日本側が防衛することが明記されている。そして米軍はたとえ尖閣諸島が軍事占領されたとしても、米議会の承認がない限り出動することはない。さらに、今月17日来日したパネッタ米国防長官は「主権に対する紛争は、いずれの国の肩も持たない。平和的解決を望んでいる」と語り、米国は尖閣問題が紛争に発展しても中立を保つとの立場を明らかにしている(関連記事リンク)。 これらのことからわかるのは、尖閣をめぐって日中双方が紛争を起こしたとしても、米国は主体的に関わることはないということである。島嶼部防衛は日本側がすることとされ、米軍は議会の承認なしに出動することはなく、また現政権はこの問題に対して「中立」の立場をとることを表明しているのである。日本の対米従属派からは尖閣問題を機にさかんに「日米同盟の重要性」や「日米同盟の深化」なるものが唱えられるのであるが、実際には尖閣の防衛には役に立たないものであることがわかる。 [対米従属派による改憲論の危険性/米国からの独立はなく米国の使い走りで局地紛争をする羽目になる] 近年になって愛国的な装いをつけた憲法9条改正論が唱えられているのであるが、このことにも我々は注意を払う必要がある。従来の「自主憲法制定」というのは対米独立派が中心に唱えていたものであるからである。「自主憲法制定」と「米国からの独立(駐留米軍の撤退)」は表裏一体のものであったのだ。ところが現在は対米従属派が憲法9条改正を狙っている。これは危険極まりないという他ない。 米軍の完全撤退のないままに、軍を持つことになったとしたら、恐らく引き起こされる結果は、米国の指図のままに世界各地の紛争に派兵を強いられることとなるだろう。このことは隣国の韓国を見れば明らかである。恐らく軍需産業は武器の販売・輸出で儲けたいのであろうが、貧困層の受け皿は兵役という恐ろしくグロテスクな構図になるに違いない。田中康夫は「米国は戦争が公共事業」と喝破したが、そのようなことが日本においても起こることになるだろう。このような改憲は断固拒否すべきであることは明らかである。 少なくとも憲法9条を改正したいというのであれば、国内に駐留する米軍の完全撤退・米国からの独立というものが担保されぬ限り、非常に割の合わぬ取引となる。現在愛国者よろしく勇ましい改憲を唱えている人たちに、ぜひ訊いていただきたいと思う。あなたの唱えている9条改正は在日米軍の撤退と表裏一体のものであるのかと。 … Continue reading

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【大阪地下鉄民営化利権続報】在阪マスコミは関西私鉄の事実上支配下にある!マスコミが橋下維新・地下鉄「民営化」問題を報じない理由(橋下維新は答えではない!④)

今回の記事は橋下維新による地下鉄「民営化」問題の続報である。この記事を読まれる前に以下の記事をお読みいただけると幸いである。特にその③とその④が重要である。今回はその続編記事であるので、先にこの2つの記事をお読みいただきたい。 その①ファシストは人々の心に巣食うファシズムに囁きかける その②形骸化する民主主義:選挙で選ばれぬ人たちが政治を動かしている その③選挙で選ばれぬ新自由主義者たちによって売りに出される大阪:大前研一と竹中平蔵の影 その④【地下鉄利権】関西私鉄幹部が大量に大阪市参与に就任していたことが判明。裏で進められる公共財の解体と簒奪。/一刻も早く橋下リコール運動を開始すべし。 その③において、橋下維新の超巨大化した「選挙によって選ばれたのではない」ブレーンたちの背景を検証し、橋下維新の「決定する民主主義」なるものの実態が民主主義の形骸化と骨抜きであることを指摘すると同時に、彼らは小泉・竹中の構造改革を推し進めた新自由主義にかぶれた元官僚たちや、大前研一のマッキンゼーを主とした外資コンサルタントの集団であることを指摘し、橋下維新の政治の危険性に警鐘を鳴らした。 その④において、新たに大阪市の参与に私鉄各社から幹部が大量に就任していた事実が判明したということをお伝えした。地下鉄「民営化」利権を狙ったものと考えるのが妥当であろう。その際に、阪急・阪神・京阪・近鉄・南海の各社から幹部が参与に就任しているが、「民営化の先輩」であるはずのJR西日本からは誰も招かれていないということも指摘した。完全黒字経営を達成し、市の財政に寄与している大阪市民の誇るべき財産と言える大阪市営地下鉄を何故に「民営化」しなければならないのか理解に苦しむ。実体は公共財産の「私物化」「簒奪」に他ならないのではないか。 もっと不可解であるのは、なぜマスコミが橋下維新の抱える異常なまでに肥大化した、民主主義的正統性も甚だ疑わしい新自由主義ブレーン集団の問題や地下鉄「民営化」の問題に関して一切報じず、ひたすら橋下を結果として応援するような報道に終始するのかということであった。 今回の記事はその④の続きにあたる。今回この件を調べていて、その謎が氷解した。 [関西私鉄は在阪マスコミを支配している] マスコミがCMを出すスポンサー企業に対して辛辣な報道をできないということは日常茶飯事である。関西私鉄各社も積極的にテレビCMを出しているのであるが、今回の話はそのレベルで済む話ではない。関西在住の方々の多くは周知の事実であるのかも知れないが、関西私鉄各社は在阪テレビ局の株を握る大株主で、テレビ局各社に社外取締役を恒常的に出すほどに密接な関係にあることが判明したのである。取締役が指定席として用意されており、資本提携関係にある私鉄各社の役員がテレビ局の役員を兼任するのだ。関西テレビに至っては、阪急阪神グループのグループ企業であり、直接支配をされていたということが判った。以下、在阪テレビ局各社がどのように支配されているのかを、私が調べてわかった範囲で見てみることにする。 なお読売テレビだけは読売グループの一員であるということだけで、謎に包まれた部分が多く、いくら調べても詳しいことはわからなかった。取締役のメンバーすらわからなかった。読売テレビが他の放送局と異なり、後から東京から大阪に進出してきたという歴史的経緯とも関連していると思われる。以下の記述は読売テレビに関してやむを得ず内容の薄いものとなることをご了承いただきたい。詳細がわかれば、新たに書き加える。情報をツイッターなどでお寄せいただければ幸いである。 以下のデータはネット上で公開されている有価証券報告書とウィキペディアに基づいている。テレビ局各社の名称の右に付したウィキペディアのリンクを別ページで開いて記事を追っていただきたい。役員人事に関しては有価証券報告書などを参考にしたが、人物のデータが古い可能性もある。ここで何よりも重要であるのは、人物名そのものではなく、テレビ局に大株主である電鉄会社役員が就任するための社外取締役「指定席」が用意されているということである。 <毎日放送> ウィキペディアへのリンク/有価証券報告書へのリンク ウィキペディアをご参照いただきたいが、毎日放送は毎日新聞・TBSの系列であるが、株式は他社と比較してかなり分散している。筆頭株主はソニーの4.4%で、上位5社は同等の比率で推移。そこから3%台から1%台へと漸減していっていることがわかる。金融系や地元エネルギー企業の関西電力・大阪瓦斯、電通・博報堂などの株保有が目立つが、この記事の文脈で注目すべきは京阪電気鉄道株式会社(京阪電車) 318,169株(1.2%)と近畿日本鉄道株式会社(近鉄電車)289,110株所有(1.1%)と、これらの電鉄会社の持株も1%を越えているということである。 そして社外取締役に小林哲也(近畿日本鉄道(近鉄電車)代表取締役社長)と藤原崇起(阪神電気鉄道(阪神電車)取締役社長)が就いていることが注目に値する。 <朝日放送> ウィキペディアへのリンク/有価証券報告書へのリンク 朝日放送は朝日新聞系列で、グループ内の相互持合いが強いことがわかるが、上位10社の中に近鉄電車の連結子会社の完全子会社である近鉄バスが入っている(持株比率1.9%)。 そしてこちらも社外取締役に山口昌紀(近畿日本鉄道取締役会長)と坂井信也(阪神電気鉄道取締役会長)が就いている。 <関西テレビ> ウィキペディアへのリンク 関西テレビはフジ産経グループの影響が強いが、この会社は阪急阪神ホールディングスの持株法適用会社であり、阪急阪神東宝グループのグループ企業である。つまり阪急阪神グループの直接支配下にあるということである。阪急阪神ホールディングス株式会社の持株比率は19.10%である。説明に多くを費やす必要もないだろう。 現在の取締役メンバーは調べてもわからなかったのであるが、2007年の資料によれば、高井 英幸(東宝(株) 代表取締役社長)と井潟 英司(阪急電鉄(株) 常務取締役)が社外取締役に就いていることから、やはり指定席があるものと考えられる。 <読売テレビ> ウィキペディアへのリンク 前述の通り、読売テレビに関しては電鉄会社との関係は不明。取締役メンバーも見つけることができなかった。ウィキペディアの記述からは読売新聞・日本テレビのグループ企業であることが明確にわかる。詳しくはウィキペディアの同ページの「開局までの経緯」をご参照いただきたいが、読売テレビは大阪では後発のテレビ局で、東京から来た「外様」であることと関係しているものと思われる。 ひとつ読売テレビに関して指摘しておかなければならないのは、同テレビ局の看板番組である「たかじんのそこまで言って委員会」が橋下徹を事実上後押ししたと言っても過言ではないということだ。司会者の辛坊次郎はその橋下贔屓で知られ、昨年の大阪ダブル選挙に知事候補として出馬が取りざたされたこともあった。 <テレビ大阪> ウィキペディアへのリンク テレビ大阪は大阪府を放送対象とするUHF局で、日本経済新聞・テレビ東京系列である。ここで注目に値するのは「大阪府・大阪市、近畿日本鉄道など大手私鉄も出資している」ということである。 実際、社外取締役には大阪府と大阪市の関係者が就く指定席がある模様で、大阪市・大阪府の意向を無視できないであろうことは容易に想像がつく。またこちらの資料(いつの時点のものか不明)では、社外取締役の中に辻井昭雄(近畿日本鉄道相談役)の名前があり、さらに梶本徳彦(大阪府元副知事)と井越將之(大阪市元副市長)の名前が見出される。ちなみに辻井昭雄は朝日放送取締役なども歴任している。 以上この節で検証してきたように、在阪テレビ局各社は私鉄各社の多大な影響力下にあるということがわかる。突出しているのが、経営統合した阪急阪神および近鉄で、その次に京阪の力が強い。南海の影響力はさほど認められず、テレビCMなどのスポンサーとしてのそれに限定されるようだ。 [仮説:マスコミは共犯関係にある:地下鉄「民営化」問題は報じられることはない] 当ブログ「橋下維新は答えではない!」シリーズはネット上ではそれなりの反響をいただいているのであるが、その③の記事で指摘した民主主義を破壊する大量のブレーンの問題や、その④の続報記事で指摘したJR西日本を除く関西私鉄各社の幹部が大量に大阪市参与に就任していたという、恐らく地下鉄民営化利権がらみであろう問題を、その後マスコミが報じたという話は一向に聞かれない。もう既に私鉄各社の幹部は参与に就任しており、地下鉄「民営化」の話は急ピッチで進められているのだ。マスコミは相も変らず橋下市長個人のパフォーマンスばかり報じるのみで、大阪維新の会の持つ本質については報じないのである。私個人がインターネットで調べられるようなレベルの話を、日常から取材をしている現場の記者が知らないはずがない。この記事で検証してきたような事実を鑑みれば、この問題はマスコミにとっては触れてはならないタブー中のタブーなのかも知れない。関西テレビに至っては、阪急阪神グループの傘下にあるのだから、報じるはずがない。 地下鉄がどのような形で売却されるのか実態を知ることはできないのであるが、仮に大阪市営地下鉄の民営化利権を手に入れるのが、上記の関西私鉄各社であるのであれば、あまりにもあからさまではないか。マスコミが決して報じることがないのをいいことに、参与として入ることで、白昼堂々給料までもらいながら、利権分配を話し合っていることになるのであるが、これはまさに「官民癒着の談合」を市庁舎で開いていることに他ならない。あまりにあからさまで陳腐なので、私としてもこうした仮説は信じたくないのであるが、今のところこういう風に推測するのが自然であると思う。 仮にこの仮説が合っているのだとすれば、これは地下鉄利権に留まる話ではなくなる。テレビ局は政治的中立が義務付けられているにも拘らず、今後とも橋下維新を事実上支援する報道を繰り広げることになるだろう。昨年のダブル選挙の時の関西マスコミの報道も実際にそうではなかっただろうか。そうであるならば、地下鉄「民営化」利権の話はかなり前から周到に根回しされていた可能性がある。選挙で勝たせたご褒美に、約束された地下鉄利権を戴くというのであろうか。 小泉純一郎の郵政選挙は実際にそうであったのだし、橋下のブレーンたちは実際に郵政民営化という名で国民の郵政資産を外資ハゲタカに叩き売ろうとした連中であるのだから、残念ながら実際にありうる話なのだ。また、以前の記事その②でも指摘したように、橋下が大阪府知事選に立候補した際に人材派遣会社のパソナの南部靖之が橋下支援をしているが、橋下が知事に就任したのち、パソナは大阪府から事業を受注しているという事実も忘れてはならない。 「二重行政の解消」「公務員の非公務員化」などというなんとなくわかったようなキャッチ・フレーズの裏で、実際に彼らが目標にしているのは地下鉄などの大阪市民の公共資産の解体・叩き売りである可能性が十分に考えられるのだ。恐らく地下鉄に留まることはないだろうし、彼らが国政で権力を握ればもっとひどいことになりかねない。小泉政権が郵政民営化においてやろうとしていたこと、そして世界中で新自由主義者たちが行ってきた公共領域の解体の事例を見れば、警戒しても警戒しすぎるということはないのである。 … Continue reading

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