末期症状に陥った国とどう向き合い何をなすべきなのか 孫崎亨氏連続ツイート「戦い、敗れし者へ」に思う

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孫崎亨氏(@magosaki_ukeru)の非常に印象深い連続ツイート「戦い、敗れし者へ」(4月9日)と「戦い敗れた人達へ」(4月10日)を読んだ。ここに全文引用するので、ぜひご一読いただきたい。

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[戦い、敗れし者へ] (孫崎亨氏連続ツイート 4月9日)

韓国首相に怒るな。事実なのだから。韓国の首相は7日の国会答弁で「日本が無能」と言った。世界中、福島原発の処理で日本政府の能力のなさに、ここまでひどいかと驚愕している。しかし、これは何も原発問題だけでない。象徴的に現れただけだ。日本は、今、待ったなしで、繁栄から転げ落ちている。全ての分野で事態を正視し、変革を必要としている。最適の人材が任に当たるべきである。日本で菅首相が首相に最適な人間とは誰も思わない。しかし、現に彼は首相である。代わる人間が出ても最適ではない。外務大臣も同じ。

日本人と結婚している中国人女性が通訳の経験を次のように言った。「中国では組織(国家)の上へ行けば行くほど聡明な人が出て来る。日本は上へ行けば行くほど馬鹿が出て来る」。この中国人女性に怒るな。事実なのだから。しかし日本の悲劇はこの状況がほぼ全ての組織に該当する。変革が強く求められる。

では社会は今、その方向に動いているか。朝日新聞会社案内2011年「ジャーナリズムの使命」で「ジャーナリズム本来の使命が権力の監視にある」と書いている。この機能を果たしているか。スローガンは空々しく響く。そうお思いでしょう、朝日新聞の記者。御用学者は花盛り。正当な事実認識すら出来ぬ、許されぬ日本になった。

待ったなしで変革が求められる状態下、twitterで書いたように、日本社会のどの分野であれ「立ち上がろうとする者が出ればこれに被害を与えるシステム」だけは完璧に、見事に、機能している。特に最近は酷い。個々の政治家が敗れ、個々のジャーナリストが破れ、個々の公務員が敗れている。持ち場から追われている。今後も敗れていくだろう。

田村隆一の「幻を見る人」〈1956年〉をふと想い出した。

幻を見る人空から小鳥が墜ちてくる
誰もいない所で射殺された一羽の小鳥のために 野はある
窓から叫びが聴えてくる
誰もいない部屋で射殺されたひとつの叫びのために 世界はある
空は小鳥のためにあり 小鳥は空からしか墜ちてこない
窓は叫びのためにあり 叫びは窓からしか聴えてこない
どうしてそうなのかわたしには分からない
ただどうしてそうなのかをわたしは感じる
小鳥が墜ちてくるからには高さがあるわけだ
閉ざされたものがあるわけだ
叫びが聴えてくるからには
野のなかに小鳥の屍骸があるように
わたしの頭のなかには死でいっぱいだ
わたしの頭の中に死があるように
世界中の窓という窓には誰もいない

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[戦い敗れる人達へ](孫崎亨氏連続ツイート 4月10日)

「立ち上がろうとする者が出ればこれに被害を与えるシステム」だけは完璧に、見事に、機能している。それで昨日田村隆一の詩で締めくくった。しかし、それは戦いの戦列から去れと言っているのではない。敗れることを「想定して」戦列へというつもりである。それで次を引用したい。

須賀敦子著『遠い朝の本達』:(サンテグジュベリの『戦う操縦士』から)堀口大学の訳文をそのまま引用してみる。

「建築成った伽藍内の堂守や貸椅子係の職に就こうと考えるような人間は、すでにその瞬間から敗北者であると。それに反して、何人であれ、その胸中に建造すべき伽藍を抱いている者はすでに勝利者である」

自分が、いまも大聖堂を建てつづけているのか、それともその中にちゃっかり座り込んでいるか、いや、もっとひどいかも知れない。座ることに気をとられるあまり、席が空かないかときょろきょろしているのでないか。自分がこうと思って歩き始めた道が、ふいに壁につきあたって先がみえなくなるたびにわたしは思い出し、これを羅針盤のようにして、自分がいま立っている地点を確かめた

この台詞を若者に読んでもらって欲しい。

またベネディクトは『菊と刀』で「日本人の行動は末の末まであたかも地図のようにあらかじめ決められている」「日本人が誠実であるという語を用いる際の意味は地図の上に描き出された道に従うということである」としたが、今日本に求められているのは地図を書くことにある。

また丸山真男著『日本の思想』は「徳川時代のような社会を例にとってみます。この社会では権力関係も、モラルも、一般的なものの考え方の上でも、何をするかということよりも、何であるかということが価値判断の重要な基準になるわけです。各人がそれぞれ指定された“分”に安んずることが社会秩序にとって生命的な要求になります」と記述。

日本の社会では“分”に安んずることが求められる。努力するとすれば、より上の“分”を得る努力。“何をするか”ではない。しかし、日本社会は“分”を得る努力だけしていれば急速に衰退してしまう。それが今だ。かつそれは数々の敗れし者があって初めて、その上に築かれる。

<引用終わり>—————————————————–
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[敗れるのは挑戦者なのか、国そのものなのか]

孫崎氏は「しかし、これは何も原発問題だけでない。象徴的に現れただけだ。日本は、今、待ったなしで、繁栄から転げ落ちている。全ての分野で事態を正視し、変革を必要としている」とするが、しかし変革をしようとシステムに挑む者は潰されるという「立ち上がろうとする者が出ればこれに被害を与えるシステム」が見事に機能しているため、実際に変革が実行されることはない現状を指摘している。

私は人生の成り行き上、海外から日本を見ている。日本にいなければわからないことも多いが、外に身を置くことである種の客観性を持って見ることができる立場であると思う。無力感と戦いながら、海外から自分の国が壊れていく様子を見ている。これは原発事故の問題だけの話ではなく、国全体が壊れていっていることを意味している。

震災後、経団連の会長の私には醜悪にしか思われない発言や、カネに買われたマスコミや御用学者やテレビ知識人の無責任に思われる論調・発言、何かに気兼ねしたかのように積極的に発言をしない政治家たちの様子から、一部の人たちはこの国の末期症状に気がつき始めたが、これらの症状は震災の前にすでに出始めていたものである。鳩山政権の改革が、孫崎氏やカレル・ヴァン・ウォルフレン氏の指摘する「立ち上がろうとする者が出ればこれに被害を与えるシステム」によって見事に叩き潰され、こうして日本はせっかくの改革の機会を逸した。菅政権は改革潰しを果たした既得権益勢力が担ぎ出した政権であるが、このタイミングで震災が起こったことが被害を増幅していると思う。孫崎氏はこのことを痛切に感じておられるのだと思う。

変革への戦いに挑む者は排除され敗れる。しかしその結果誰も変革をする主体が実権を握ることなく、日本という国そのものも敗れるような気がする。今我々が目撃しているのはそんな光景だと思う。長らく続いてきたシステムそのものの根本的な改革、国を根底から作り直すほどの改革がない限りは、この国はもうもたないのではないだろうかと思う。これは政治家がよく口にしてきた「改革」「変革」「維新」といった、既に色褪せてしまったうわべだけの小手先のパフォーマンスとは性質が異なる。

4月9日の孫崎氏のツイートはかなり悲観的な響きがあったが、翌10日のツイートでは、負けるのがわかっていても、戦列を離れるのではなく、戦いを挑めと訴える。挑む者がいなくなれば、変革など成し遂げられるわけもない。

1945年の敗戦の時は米国による「上から」そして「外側から」の占領改革が行われた。官僚機構の温存など中途半端になったものも多いし、全ての占領改革がよい結果をもたらしたとは必ずしも言えないだろうが、少なくとも軍部解体、農地改革、財閥解体、公職追放、憲法改正などの諸改革は、おそらく当時の日本人の手ではできなかっただろうと思う。今は誰も占領改革をする主体など存在しない。日本人自身の手で「下から」そして「内側から」主体性をもって行わなければならないのは明らかである。孫崎氏はこうした状況を鑑みた上で、敗れるのは承知していても声をあげて戦えと悲壮に訴えておられるのであろうと思う。今すぐの勝利を目指すのではなく、将来にその可能性を残し、次世代に今のようではないよりよい社会を引き継ぐために。

孫崎氏のツイートから以上のようなことを思った。安部公房の次の一節も思い浮かんだ。

死の舞踏でも、下手に踊るよりは上手に踊ったほうがせめてもの慰めである。
夢の中で幻の越境者が夢を見る
……

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